田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

エノキハイボフシ

2014-12-27 | 虫こぶ

エノキハイボフシ 2014.9.9 津市美杉町八知

エノキハイボフシは、フシダニの1種によってエノキの葉に形成される袋状の虫こぶ。葉表に不規則な形に突出し、曲がったり、捻じれたりして先端は丸みを帯びる。生態は不明。本州、四国、九州に分布する。

参考:日本原色虫えい図鑑


エノキハイボフシ 2014.11.12 亀山市椿世町


エノキハイボフシ 2014.9.9 津市美杉町八知


エノキハイボフシ 落葉したエノキの葉に 2014.11.12 亀山市椿世町

ヨモギの虫こぶ3種類

2014-11-18 | 虫こぶ
2014.11.12 亀山市椿世町の農道で,ヨモギに作られた3種類の虫こぶを見つけた.


ヨモギハベリマキフシという虫こぶ.ヨモギクダナシアブラムシがヨモギの葉に作らせる虫こぶで,1年中見られるという.ときには葉全体が巻縮するようだ.

ヨモギハベリマキフシ


ヨモギクキコブフシという直径10㎜ほどの虫こぶ.ヨモギの茎の側面にできる.ヨモギクキコブタマバエが形成者.成熟した虫こぶは裂開し,虫室が出現する.幼虫越冬.


ヨモギハシロケタマフシというヨモギの葉裏ときに葉柄につくられる球状の虫こぶ.白色の微毛が密生.初夏から秋まで見られる.形成者はヨモギシロケフシタマバエ.


ヨモギハシロケタマフシ


ヨモギハシロケタマフシ

シキミハコブフシ

2014-11-16 | 虫こぶ

シキミハコブフシ

2014.9.15 菰野町田光の林縁でシキミの葉に虫こぶが出来ているのを見つけた.
シキミタマバエによってモクレン科シキミの葉表面・裏面にできる虫こぶである.未熟時は黄緑色,成熟すると黒褐色になる.終齢幼虫は虫こぶの中で越冬.1虫室に1幼虫が入っているらしい.


シキミハコブフシ 2014.9.15


シキミハコブフシ 2014.9.15 葉裏にも葉表にもできている

イスノキハタマフシ

2014-10-15 | 虫こぶ

イスノキハタマフシ 2014.7.17

虫こぶハンドブックによると,イスノキハタマフシは,イスノキの葉の表面側には半球形,裏面側にはやや円錐状に突出する虫えい.直径は7㎜前後.黄緑~緑色で,赤褐色を帯びる.4月に伸びる1番枝の葉に虫えいが形成される.形成者はヤノイスアブラムシ.


イスノキハタマフシ 2014.9.28

イスノキエダナガタマフシ

2014-09-24 | 虫こぶ

イスノキにできる虫こぶ,イスノキエダナガタマフシ 2014.9.28

イスノフシアブラムシの寄生によってイスノキの小枝にできる緑色の虫えい.先端部が大きくなって,まるでイチジクの果実のように見える.また,先端部に小形のトゲ状突起を持つことが多い.表面は無毛.イスナガタマフシの異名がある.
 
イスノフシアブラムシNipponaphis distyliicola Monzenは,盛岡高等農林学校の門前弘多博士が1934年に記載した種.門前博士は岩手大学の名誉教授でもあり,虫こぶに関する研究業績が大きい.宮澤賢治の作品の一つ,「毒蛾」に登場するブンゼン博士とは門前博士だとする説もあるようだ.
古い知り合いに盛岡出身の門前姓がいたが,ひょっとして門前博士の子孫かも.


イスノキエダナガタマフシ 2014.9.28


イスノキエダナガタマフシ 2014.8.7 



イスノキエダナガタマフシ 2014.8.7

イノコズチクキマルズイフシ

2014-09-23 | 虫こぶ

ヒナタイノコズチ(ヒユ科)の茎の節の部分にできた虫こぶ.イノコズチクキマルズイフシという.2003.10.18 鈴鹿市

イノコズチクキマルズイフシは紡錘形~準球形の虫えいで,緑色であるが,赤みを帯びることもある.直径10㎜,長さ20㎜前後.虫えい内部には数個の虫室があり,各1匹の黄色幼虫が見られる.形成者はイノコズチウロコタマバエ.(虫こぶハンドブック)


ヒナタイノコズチ(ヒユ科)の茎の節の部分にできた虫こぶ,イノコズチクキマルズイフシ.2014.9.19 志摩市


ヒナタイノコズチ(ヒユ科)の茎の節の部分にできた虫こぶ,イノコズチクキマルズイフシ.2014.9.19 志摩市

フウトウカズラハチヂミフシ

2014-09-22 | 虫こぶ

フウトウカズラハチヂミフシは,フウトウカズラクダアザミウマ(形成者)によりコショウ科のフウトウカズラの葉にできる虫こぶである.

2014.9.19 志摩市志摩町御座の岩井崎方面に出かけ,フウトウカズラの葉に虫こぶができているのを見つけた.
虫こぶハンドブックによると,葉の縁が葉裏側に巻かれ,さらに葉身全体が複雑に巻縮する虫こぶ.大きさや形は変化が多い.虫えい内部には多数の幼虫・成虫がみられる.虫えいを形成しないが,虫えいの組織を食べて育つ,形成者と近縁なフウトウカズラヤドリクダアザミウマという寄居者(同居者)がいる.




虫こぶアカザクキツトフシか

2011-09-15 | 虫こぶ

白塚海岸で,アカザかシロザか判然とはしないが,とにかくアカザ科アカザ属の茎が赤く膨れているのを見つけた。
ツツミノガ科のアカザフシガによって作られたアカザクキツトフシという虫こぶではないかと思うが,アカザクキツトフシをネット検索しても1件しかヒットしない。アカザクキツトフシとすると,この虫こぶの中にアカザフシガの幼虫か蛹が入っているはずだ。

アカザフシガの幼虫はアカザの茎を食べるようだが,この日に見たアカザ属の葉には何者かに食べられた痕がたくさんあった。
複数種の虫がアカザ属の植物を頼りに暮らしているようだ。
2011.9.5



ヨモギクキマルズイフシ

2011-07-08 | 虫こぶ


野に出ると,ヨモギの株が大きくなってきているのに驚くこの頃である。ヨモギは虫こぶの種類が多いので,よく株を覗き込んでは虫こぶを探すことにしている。

この日はヨモギマルフシミバエが作るヨモギクキマルズイフシという虫こぶを見つけた。

『虫こぶハンドブック』によると,「茎が球形~卵形に肥大し,直径8㎜,長さ10㎜前後。虫えいの壁は厚く,内部に淡黄色の1幼虫が見られる。7月に羽化。」
2011.7.4

里山の虫こぶ2種

2011-05-13 | 虫こぶ

ナラメリンゴフシ

津市片田田中町の丘陵地を歩いた。虫こぶを2種類見つけたので紹介する。
コナラにはナラメリンゴタマバチが作ったナラメリンゴフシを1個見つけた。

クリ畑ではクリタマバチが作ったクリメコブズイフシをたくさん見つけた。『虫こぶハンドブック』によると,クリの新芽にできる虫こぶで春の萌芽当初はこのように桃赤色だが,やがて緑色に変わっていく。1940年頃に中国から侵入してきたという。

2011.5.7

クリメコブズイフシ


クリメコブズイフシ


クリメコブズイフシ

ブナハウラカイガラフシ

2010-12-31 | 虫こぶ


青山高原には伊賀市側だけでなく津市側にもブナの木が有る。植物に詳しい方にこれがブナの木ですと教えてもらった,その株元にブナの葉がたくさん落ちていて,よく見ると虫こぶが付いている。葉表に付いているのは別物かもしれないが,葉裏にくっついている虫こぶはおそらくブナハウラカイガラタマバエによる葉の裏面にできるブナハウラカイガラフシと思われる。
虫こぶ内で越冬し、春に直接虫こぶから羽化し,6月には新しい虫こぶが見られるという。

遊歩道の脇に苔むした説明板があって,「今から数千年前ブナ林地帯は日本中に分布し,歴史的文化を形づくって来ましたが最近,ブナ林がなくなり,近くの里山では見られなくなりました。ブナの材の持つ公益的機能と生産力の豊かさを知り,Mother of Forest(森の聖母)と呼ばれる」などと書かれているが,全文は解読できなかった。「ブナ林を造り」の文字もかろうじて読み取れたので,この辺りのブナは天然のものではないのかもしれない。

2010.12.11





虫こぶヌルデミミフシ

2009-10-20 | 虫こぶ
ヌルデミミフシ
ヌルデに出来た虫こぶ ヌルデミミフシ

三重県自然環境保全地域のひとつに指定されているいなべ市の員弁大池に出向いた。
日当たりの良い散策路のあちこちにヌルデが生えている。そのヌルデに大きな虫こぶがついていた。
虫こぶの形成者はヌルデシロアブラムシ。虫こぶが大きいほど、中にいるヌルデシロアブラムシの数が多い。

ヌルデミミフシにはタンニン酸が多く含まれ、お歯黒の原料として用いられた。
ヌルデミミフシを加熱乾燥させたものは、五倍子と呼ばれ、古くから漢方薬や皮なめし剤などとして利用されてきた。
2009.10.18

ヌルデミミフシ

ヌルデミミフシ
虫こぶの中にいたヌルデシロアブラムシ 単為生殖により繁殖した幼虫たち
アブラムシの排泄物は白い蝋状となり、脱皮殻や死体も白色をしている。虫こぶ内部に見えている白い部分は、おそらく脱皮殻や死体であろう。

ノイバラの虫こぶ

2009-06-22 | 虫こぶ
バラハタマフシ
ノイバラの葉裏に作られた虫こぶ。バラハタマフシという。バラハタマバチが作ったもの。
6~7月に葉から落ちる。幼虫は虫えい内で越冬し、春に羽化する。
赤く熟して、おいしい果実のように見える。これが虫こぶというものだと知ったのは10年前、知人から教えてもらった。でもなかなか信じられなかった。
2009.6.16

バラハタマフシ

ハマゴウハフクレフシ

2009-05-26 | 虫こぶ
ハマゴウハフクレフシ
和具大島は和具八雲神社の所有地である。島の周辺であわび漁をしている漁師たちは神社から有料で借りているのだと漁師から聞いた。
和具大島暖地性砂防植物群落は三重県の天然記念物に指定されているので、許可無くみだりに群落の中へ入ることは出来ない。
堤防上から植物群落を眺めた。はびこっていたアツバキミガヨランは完全に除去されたようだ。ハマユウが増えてきているようだと誰かが言っていた。

堤防の上を歩いていると、ハマゴウが堤防まで乗り上げてきている。
そのハマゴウの葉に虫こぶが付いているのに気がついた。
ハマゴウハフクレフシはフシダニの一種Eriophyes sp.によってハマゴウの葉に作られる虫こぶ。葉の表側は黄緑色で中央に孔の部分が突出する。裏側は緑白色でゆるく膨らむ。直径は3~4ミリくらい。
葉あたり2~3個、葉縁部に付くことが多い。本州、四国に分布。(日本原色虫えい図鑑より)
2009.5.24

ハマゴウハフクレフシ

ハマゴウハフクレフシ

暖地性砂防植物群落
和具大島暖地性砂防植物群落。対岸は和具、越賀、御座白浜方面。

クサギの虫こぶ

2007-08-24 | 虫こぶ
クサギハコブフシ
紀北町の林縁を散策した。クサギの花が目立つ。
葉に虫こぶができているのに気づいた。
フシダニの1種 Eryophyes sp.によりクサギの葉裏に作られた虫こぶ。クサギハコブフシという。虫こぶの中には2対の脚を持つフシダニが見つかるようである。
2007.8.20

クサギハコブフシ

クサギハコブフシ

クサギ
クサギの花