田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ウスベニチチコグサ

2006-03-31 | 草花
チチコグサモドキやウラジロチチコグサは良く見かけていたが、このウスベニチチコグサには会いたい思いが募るばかりであった、この名前が気に入っていたから。
2005.5.15 初めての出会い

アメリカ原産、キク科の帰化植物。
1930年代に採集はされていたが、50年以上の間、チチコグサモドキやタチチチコグサと混同されていて、1987年にようやく整理されたという。
関東から九州にかけて広く帰化していて、普通に見られるとのことである。


ウスベニチチコグサ
総包片が若いうちは淡紅紫色となる。花の終わる頃にはタチチチコグサに似る。

ユウゲショウ

2006-03-30 | 草花
アカバナ科 夕化粧
別名アカバナユウゲショウ
帰化植物
雌ずい1個、先は4裂


アカバナユウゲショウ
美しい名前に魅かれて
赤い花に会いに 出かけた

人影の無い 砕石置き場 
今にも雨が降り出しそうな 曇り空

小さな花は  薄くてまるい
赤いお碗のように 開いている

「約束がある」とでも言いたげに
つぼみの先まで 染められて

夕化粧というのに
まだ日のあるうちに 咲いていた

あの夏の 昼下がり
花は誰を 待っていたのだろう



アカバナユウゲショウ

2006-03-28 | 草花
ユウゲショウ
ある図鑑にアカバナユウゲショウ(赤花夕化粧)と掲載されていて、花の色に魅せられて忘れることが出来なかった。実物を初めて見つけて、写真に撮り、植物研究家に見てもらった。「ユウゲショウですね」と言われた。「アカバナユウゲショウと図鑑に載っていましたよ、別種ですか」と聞くと、植物研究家は「両者の学名を比べてみてください」と言う。調べてみたら、同じ学名であった。
2002.5.1夕方

アカバナユウゲショウ
熱帯アメリカ原産の多年草。明治時代に花卉として導入され、関東以西で逸出、野生化している。
「花は夜咲き」または「花を夕方開く」と図鑑に記述されているが、私は昼間しか花を見ていない。夜間に見に行っていないので、夜の様子は知らないが、昼間にしっかり花を開いていることは確かだ。
花期は5~9月。

2005.5.15昼過ぎ  田中川の源流近くの空き地にて



コモウセンゴケとミズスギ

2006-03-25 | 草花
コモウセンゴケとミズスギコモウセンゴケはモウセンゴケ科の食虫植物。
花は淡紅色で、花期は6~9月、朝開いて午後にはしぼむ。
葉に腺毛がある。

ヒカゲノカズラ科のミズスギは暖地に普通のしだ。
茎は立ってよく分岐する。胞子のう穂は短くて、枝先から垂れる。

コモウセンゴケコモウセンゴケ 腺毛から消化酵素を分泌する。  2006.1.2

ミズスギ
コモウセンゴケと一緒の場所、丘陵地の日当たりの良い湿った崖で生育するミズスギ  
岐阜県では絶滅危惧Ⅱ類のシダ植物として選定。

コモウセンゴケ3月
2006.3.25 コモウセンゴケに会いに出かけた。葉と腺毛の紅が鮮やかであった。生息地の崖は意外と乾燥していた。トウカイコモウセンゴケという近似種があると聞いて、再確認したところ、この場所に育つのは葉がしゃもじ状なのでコモウセンゴケに間違いない。三重県のレッドリストに載っている。


ワタゲハナグルマ

2006-03-22 | 草花
ワタゲハナグルマ
ワタゲハナグルマ  綿毛花車 Arctotheca calendula (L.) Levyns キク科 
南アフリカ原産の帰化植物。多年草。別名ヒメハナグルマ。
1966.4.29鈴鹿市旭が丘町で太田久次さんが採集したのが日本での初記録。この標本に和名の新称がつけられた。楠町や四日市港でも発見されており、これら三重県での発見例は、オーストラリアの牧草地で繁殖していたものが原毛と一緒に渡来してきたものと思われる。

アークトセカの名で畦畔などのグランドカバープランツとしての利用がされている。黄色の花は日光に当たると開き、夜間は閉じる。
この田んぼの所有者はヒメイワダレソウと合わせて畦や土手、駐車場に雑草抑えを目的として植えていた。
2004.5.21
ワタゲハナグルマ

ヒメイワダレソウ

2006-03-22 | 草花
ヒメイワダレソウ
田のあぜや土手の法面に生えてくる雑草を抑える目的で植えられている。
わい性で強健である。法面雑草の抑草効果が高く、法面管理の省力化ができる。また法面の浸食抑制も植栽初年目から効果があるという。
種子を形成しないので、一挙に広がることはないが、いったん定着すると強い生命力を持っている。地被植物として注目されている。株分けなどによって増やす。

クマツヅラ科イワダレソウ属        2004.5.21
ヒメイワダレソウ

オオキノメイガ

2006-03-16 | 
オオキノメイガ
2005.11.13 
海岸に近い民家の灯りにやってきたオオキノメイガ♀

ツトガ科ノメイガ亜科

ノメイガの仲間では大型、止まった姿で4センチはある。


オオキノメイガ幼虫成虫の出現月は6から11月

2005.11.26
ヤマナラシの葉にいた
オオキノメイガ終齢幼虫
幼虫の食餌植物はヤナギ科のネコヤナギ、ヤマナラシ、ポプラなど。



ヤマナラシ巣

ヤマナラシの葉、巣は葉を丸めただけであったり、隣の葉をくっつけてあったりしている。
ヤマナラシはヤナギ科、別名はハコヤナギ。葉表の基部に腺がある。



オオキノメイガ幼虫幼虫の成長観察を続けていたところ、12月中旬にヤマナラシの木が切り倒されて無くなってしまった。幼虫たちの姿も見つけられなかった。代わりに粗大ゴミが置いてあった。

フタミゾテッポウエビ

2006-03-12 | 田中川
フタミゾテッポウエビ
テッポウエビ科テッポウエビ属

第1胸脚(はさみ脚)は左右不相称で、いずれが大きいかは不定。

浅海や潮間帯の砂泥や礫底質部に多い。

額角はくさび形。額角の基部には深い溝があり、和名の由来。
雄の小さいはさみ脚には毛が列生するが、雌には毛がない。
フタミゾテッポウエビフタミゾテッポウエビ
クモヒトデはクシノハクモヒトデ。
キセワタガイなどと一緒に打ち上げられた。
大きいはさみを急に閉じて、パンという破裂音をたてる、手に持っているときにこれをやられると、痛い。

2006.2.26 芦原海岸にて



アレチモウズイカ 初採集は三重県

2006-03-09 | 草花
英名をTwiggy Mullein
1955.7.10三重県の四日市港で鈴鹿市の太田久次さんが採集した。この標本にアレチモウズイカの和名新称が付けられた。
その翌年の7月28日に太田さんは津市の江戸橋でも発見している。
江戸橋ではこれ以降毎年のように紡績工場の内外で見られたと言う。
花花穂

それから半世紀、2005年夏、私は同じ江戸橋の地でアレチモウズイカと出会った。50年前におそらく羊毛と一緒にオーストラリアから船に乗って運ばれてきたのだろう、その子孫たちである。
花弁が散った後の株の様子

茎葉
2006.3.13太田さんに確かめたところ、和名新称の標本よりさらに1年前の1954.7.17に同じ四日市港で採集していたとのことであり、これが日本初記録となる。太田さんの著書「改訂三重県帰化植物誌」(1997)での記述はこのあたりの事実関係に不明確の部分があり、次回の出版では補足説明を加えたいとのことであった。

モウズイカに似ているが、花柄が細く長さも1㎝を超えるモウズイカに対し、アレチモウズイカの花柄はやや太く長さは5mmまでと短い。

茎上の葉は無柄で基部は心臓形となり茎を抱く。

株
これは来年の夏に花咲く株。

ホザキモウズイカは別名。









アレチモウズイカ果実果実(さく果)は球形で、種子は微小。


松植樹とアレチモウズイカ









ビロードモウズイカ咲く砂浜

2006-03-07 | 風景



2005.6.6
白塚海岸のビロードモウズイカ。
ヨーロッパ原産の帰化植物。各国で観賞用に栽培される。
二年目の夏に花が咲く大型の二年草。
全体に白色の綿毛があり、触った感触はまさにビロード。
ビロードモウズイカ
河芸から江戸橋にかけての海岸部で野生化しているのを見る。
砂質土を好むようだが、我が家の庭にも自生してきた。翌年には数が10倍以上に増えたので、近所の人にさしあげた。適応力の強い植物と思う。
写真左は町屋海岸の堤防際にて。

三重県内での採集記録は1957.6.30太田久次さんによる津市江戸橋での記録が最初。
現在では各地に野生化し、東北地方から北海道にかけて多い。
雄ずい(雄しべの軸)に毛が生えているので、モウ(毛)ズイ(蕊=雄ずい)カ(花)と名付けられた。



 オオヨコナガピンノ ?

2006-03-07 | カニ

2月26日時化の後の浜辺で、小さな筒形のカニを2匹見つけた。歩脚を3本失っている大きい個体が♀。♂の甲幅は約1.2cm。捕まえようとそっと手を伸ばすと、どちらも素早く砂浜を走った。カクレガニの仲間。
クロムシやギボシムシなどの穴に共生するオオヨコナガビンノと推測される。

保育社の『海岸動物』によると,「ツバサゴカイの棲管内にはしばしばムツアシガニ,オオヨコナガピンノ Tritodynamia rathbuni Shenなどのカニ類が共する.」

時化を生延びた個体を採取するに忍びず、撮ったのは写真のみ。
打ち上げられた生き物は、餌になるのは時間の問題。
分かっていても連れてこれない。種の同定に手間取るのは、いつもの事である。


松植樹とアレチモウズイカ

2006-03-03 | 風景
砂浜に松が植えられている。白砂青松の海岸をイメージし、人々は砂浜に松を植えていく。卒業記念として地元の小学生に毎年毎年、松を植えさせている。洋松が植えられた時代もあった。地域の緑化活動として、文化団体が植樹することもある。家で育てていた盆栽の松を砂浜に移植する人もいる。私も植樹に参加したことがある、不毛の砂漠を緑化している気分になれた。あれ、あれれ、何か変。 2005.6.6 植樹された松が枯れたのであろうか、ある一画に見慣れぬ植物の群落を見つけた。2005.6.6 ビロードモウズイカがひょろ長くなったような感じ。ゴマノハグサ科のアレチモウズイカ。ヨーロッパ原産で南アメリカやオーストラリアに帰化している二年生の植物。 近くにある工場の敷地内にはいろんな帰化植物が見られるという、そこから逃げ出してきたものなのか? 松の植樹活動によって砂の質が変わったために育っているのか? アレチモウズイカ 初採集は三重県

ホコガタアカザ

2006-03-03 | 草花
ホコガタアカザ
ヨーロッパ原産の帰化植物 アカザ科のホコガタアカザ  2001.6.16

ホコガタアカザ
2001.8.5田中川干潟にて

葉に特徴がある。上のほうと下のほうとでは葉の形や大きさが異なり、付き方も変わる。

一年生の植物で、若い部分の茎葉はシロザのように白くなる。

あれからもう4年、再会できないでいる。

知人に見せてもらった日本帰化植物写真図鑑第一刷?では、ホコガタアカザの写真が間違っていたように思ったが、第三刷では正されている。


ホコガタアカザ花
2001.8.26 ホコガタアカザの花穂 雌雄同株で雌雄の花は混在して穂をつくる。
引用文献:日本帰化植物写真図鑑