田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

タカサゴツマキシャチホコ幼虫

2011-09-24 | 

シャチホコガ科のタカサゴツマキシャチホコ幼虫Phalera takasagoensis

菰野町の県民の森。クヌギの木で,このタカサゴツマキシャチホコ幼虫を何個体も見つけた。知人から聞いた話によると,この地域にはアベマキが自生しているが,クヌギの自生は無い,県民の森にあるクヌギは植えられたものだと言う。トンボ池の周りに何本ものクヌギが植えられている。

タカサゴツマキシャチホコ幼虫の食餌植物はクヌギで,終齢幼虫の体長は45㎜。私が見つけた幼虫たちはおそらく終齢だろう。

2011.9.18



ホソバシャチホコ幼虫

2011-09-23 | 



シャチホコガ科のホソバシャチホコ幼虫Fentonia ocypete

菰野町の八風渓谷。林道脇の梢をスィーピングしていたら,美しいカラフルな幼虫が入った。

ホソバシャチホコ幼虫の食餌植物は,ブナ科コナラ属のミズナラ、コナラ、クヌギ、アラカシなど。終齢幼虫の体長は42㎜。
2011.9.18

スカシカギバ幼虫

2011-09-20 | 

カギバガ科のスカシカギバ幼虫Macrauzata maxima maxima

菰野町の県民の森。クヌギの葉を食べるスカシカギバの幼虫を見つけた。一心不乱に食べていたが,私が近づきすぎたため食べるのをやめて,丸まってしまった。
終齢幼虫の体長は40㎜,食餌植物はブナ科のクヌギ、シラカシ、ウバメガシ、アラカシなど。
2011.9.18


ニイジマトラカミキリ

2011-09-20 | 甲虫

カミキリムシ科のニイジマトラカミキリXylotrechus emaciatus

菰野町の八風渓谷でニイジマトラカミキリを見つけた。前胸の中央後方に黄色帯がある。

原色日本甲虫図鑑Ⅳによると,「9-14㎜。触角は暗褐色,肢は赤褐色,先端に向かい黒ずむ。6~8月,暖帯~温帯樹林帯の広葉樹の伐採木に集まる。」

2011.9.18

獣糞にクロオビマグソコガネ

2011-09-16 | 甲虫

クロオビマグソコガネAphodius (Acrossus) unifasciatus

鈴鹿市小岐須町一ノ谷で獣糞を見つけ,その中や周辺にクロオビマグソコガネがいた。
原色日本甲虫図鑑Ⅱによると,「上翅はふつう黄色で黒帯紋をそなえる。前胸背板の点刻は大小の差がいちじるしくない。より小型。黒帯紋がひろがり肩部と翅端のみ黄色部が残るものや,全体が黒色となるなど色彩の変化がある。春~夏季,山地。やや日かげの野生獣糞や人糞に来集。」

2011.4.17

虫こぶアカザクキツトフシか

2011-09-15 | 虫こぶ

白塚海岸で,アカザかシロザか判然とはしないが,とにかくアカザ科アカザ属の茎が赤く膨れているのを見つけた。
ツツミノガ科のアカザフシガによって作られたアカザクキツトフシという虫こぶではないかと思うが,アカザクキツトフシをネット検索しても1件しかヒットしない。アカザクキツトフシとすると,この虫こぶの中にアカザフシガの幼虫か蛹が入っているはずだ。

アカザフシガの幼虫はアカザの茎を食べるようだが,この日に見たアカザ属の葉には何者かに食べられた痕がたくさんあった。
複数種の虫がアカザ属の植物を頼りに暮らしているようだ。
2011.9.5



アブラコウモリ

2011-09-14 | 三重の生き物

ヒナコウモリ科のアブラコウモリPipistrellus abramus

知人宅の駐車場でコウモリが死んでいた。民家で見つかるコウモリだから,アブラコウモリだろうと思う。

『故郷の動物』によると,「店の看板も間近な夜ふけ,ふと夜空を見上げると,水銀灯を中心に,ジグザグした飛行で舞っている小型のコウモリに出合うことがある。このコウモリがアブラコウモリ,別名イエコウモリで,主として市街地や住宅地を生息圏としている種類だ。」
また同書によると,ほ乳類のうちコウモリ類はより空中生活と夜行生活に適応した方向に進化したグループであり,真の空中生活者だという。
2011.9.7

ハネナシコロギス

2011-09-13 | バッタ類

コロギス科のハネナシコロギスNippancistroger testaceus

2011.9.7津市美杉町の大洞山でハネナシコロギスを見つけた。峠道で梢をスイーピングしていたら入った。持ち帰ろうかとも思ったが,触角が余りにも長いので諦めた。

バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑によると,「やや標高の高い広葉樹林にも生息し,最もふつうに見られる。ササの葉や,広葉樹の葉をかじって巣をつくる。」また,ハネナシコロギス属の特徴は後脛節の内側背面に1本だけ長い棘があるという。


2011.9.7タモに入ったハネナシコロギス雄


2006.5.20 津市河芸町千里ケ丘にて

白塚海岸のアカウミガメ産卵地

2011-09-12 | ウミガメ

2011.9.9 津市白塚海岸を歩いた。砂浜でたまたま出会った人から聞いた話によると,この海岸で今年は4ヶ所の産卵があって,1ヶ所は先日の台風で産卵巣が流失してしまった。もう1ヶ所は台風前に子ガメたちが脱出していった。今2ヶ所の産卵巣が残っている。産卵の時期が遅かった場所だと言う。白塚海岸で4ヶ所の産卵巣が確認されたというのは,ここ10数年間の内では最多記録だと思う。

9月5日にも見に来ていたが,台風が運んできた流木類が産卵巣の前に大量にあって,このままでは子ガメたちの多くが海にたどり着けないだろうと思っていた。
9日のこの日に見た風景はすっかり変わっていて,漂着ゴミが産卵巣の前からすっかり消えていた。そして,流木を並べて亀ロードが作られている。私には見慣れた光景で,この風景を作り出したあの人たちの苦労が想像できた。

この2ヵ所の産卵巣の脱出予想日を知らないが,高い孵化率を期待したい。




トビイロカミキリ

2011-09-11 | 甲虫

カミキリムシ科のトビイロカミキリAllotraeus sphaerioninus

鈴鹿市の山地,内部川の源流部。渓流脇の草むらでトビイロカミキリを見つけた。去年見つけたものだが,アップするのが遅れた。

原色日本甲虫図鑑Ⅳによると,「11-17㎜。赤褐色,触角と肢は黒色。5~7月,暖帯~温帯樹林帯の花上,クス科の枯木に集まり,また灯火にも来る。」など。

2010.7.17

漂着したフタモンクビナガゴミムシ

2011-09-10 | 甲虫

オサムシ科のフタモンクビナガゴミムシArchicolliuris bimaculata nipponica

津市白塚海岸に漂着したゴミを掻き分けて,甲虫類を探していたら,フタモンクビナガゴミムシを見つけた。台風一過の漂着ゴミを漁っていると,良く見かける虫だが,この日は1頭だけしか見つけられなかった。

原色日本甲虫図鑑Ⅱによると,「7-8㎜。頭部,腿部の後半,上翅後半は黒色,その他は黄褐色~赤褐色で,上翅の黒色部に1対の白色紋がある。もっとも普通種。」など。

2011.9.5



河芸町のカワラハンミョウ

2011-09-06 | 甲虫

ハンミョウ科のカワラハンミョウCicindela laetescripta

河芸町内のカワラハンミョウについては,かねてよりその存在は知られており,私も幼虫の巣穴はこれまでに確認していたが,成虫の姿をようやくにして確認できた。10年以上この海岸を歩き回っているが,初めての出会いである。
台風一過,海岸の様子は大量の流木が流れ着き,高波により砂浜も激しく侵食されてしまったが,一匹の元気なカワラハンミョウと出会えた。
カワラハンミョウの白色紋の発達度合いには地域変異があると聞いてはいるが,私が今まで見た中では最も白色紋が発達している。河芸では1個体しか見ていないのだから,これが地域変異かどうかは分らない。

この日,砂浜を一人で午前午後とゆっくり歩き回っている人がいた。カワラハンミョウの生息個体数を調査している調査会社の人だと思う。別の海岸でも何人かの人が調査していた。
成虫の出現期間は7~9月というから,今月中には姿を消すのであろう。また,会いに出かけよう。

砂浜のカワラハンミョウ

2011.9.6


追記
2011.9.9 再訪。斑紋の異なる個体と出会えた。調査員の方ともお話が出来た。立ち話をしている間に,数頭のカワラハンミョウが近くへやってきて,軽やかに動き回っていた。
調査員は午前中からの調査で4頭の生息を確認していると言う。彼の話によると,暑い時はカワラハンミョウたちも海浜植物に登ったり,流木の日陰やハマボウフウの葉陰で避暑をしている。この海岸では個体数が少ないので,カワラハンミョウの雌雄が出会う機会は少ないようだ。オオフタバムグラの群生はカワラハンミョウにとって迷惑なようである。カワラハンミョウの長い脚がオオフタバムグラの株やら葉に引っかかるようである。ビロウドテンツキの群生は好ましいようで,脚が引っかかるようなことも無いらしい。

スズムシ♀

2011-09-04 | バッタ類

コオロギ科のスズムシHomoeogryllus japonicus

稲刈りが終わったばかりの田んぼで,スズムシ♀を見つけた。人に飼われている飼育ケースの中でスズムシは何度も見たことがあるが,自然の中では初めての出会いである。隣接する休耕田の草むらで普段は暮らしているのだろう。
鳴くのは♂だけで,雌とは体形が随分違う。

『バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑』によると,雌の体長は18.6㎜(産卵器端まで30.9㎜),古くから有名な鳴く虫で,河川敷や林床などで主に夜,リーーン・リーーンと鳴くが,これは誘惑音で,本来の呼び鳴きはリンリンリンリンと続けるという。

2011.9.1

ヨツボシホソバ幼虫か

2011-09-04 | 

ヒトリガ科コケガ亜科のヨツボシホソバ Lithosia quadra幼虫

菰野町の雑木林。コナラの古木で体長30㎜ほどのヨツボシホソバの幼虫を見つけた。地衣類を食べる幼虫は毒針毛を持ち,接触すると激しい痛みがあるという。
ただ同亜科のマエグロホソバという蛾が成虫,幼虫共にヨツボシホソバにそっくりらしい。2種の幼虫の区別点が判らないが,とりあえずヨツボシホソバとしておく。
2011.8.27