田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ナガハナノミ科の2種

2011-02-26 | 甲虫

ナガハナノミ科のヒゲナガハナノミ♂ Paralichas pectinatus

ヒゲナガハナノミは2010.5.15,鈴鹿市徳居町の近くに溜池がある里山で見つけた。
原色日本甲虫図鑑(Ⅱ)によると,「9-10㎜。背面は細かい顆粒を装い,横じわ状となる。上翅は10点刻列をそなえるが,第2間室に基部に短い点刻列がある。♂の触角は櫛状で,分枝は各節の先端部から派生し,♀は強い鋸状。肢の爪は鋸歯状。湿地周辺の草むらにすむ。本州,四国,九州。」


ナガハナノミ科のエダヒゲナガハナノミ Epilichas flabellatus

エダヒゲナガハナノミは2010.7.17,鈴鹿市大久保町の渓流が流れる奥ノ谷で見つけた。
原色日本甲虫図鑑(Ⅱ)によると,「9-11㎜。前胸背板は密に顆粒を装う。小あごひげの末端節は長三角形。本州,四国,九州,琉球。」


ナガハナノミ科のエダヒゲナガハナノミ

アカアシハヤバチ♂

2011-02-24 | ハチ目(膜翅目)

ジガバチ科のアカアシハヤバチ Tachytes modestus Smith

2010.8.1に津市河芸町赤部の里山でヤブガラシに訪花したハチの名前がようやく判った。アカアシハヤバチという。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,アカアシトガリアナバチの和名で,「体長10~14㎜。オオハヤバチよりやや小形。脚部の腿節の先半部,脛節,跗節は赤褐色である。本州より以南,東南アジア各地に広く分布する。日本における南限は屋久島。」とあり,「和名にはアカアシハヤバチを用いる。」と追記されている。
和名が変更されたようだ。


アカアシハヤバチ♂


アカアシハヤバチを見つける5分前に同じ所で出会ったこのハチは,オオハヤバチTachytes sinensis Smithのようだ。迫力があって,恐々カメラを向けたが,この1枚しか撮れなかった。
新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,オオハヤバチは「大形種で体長は15~23㎜。土中に営巣」し,バッタ類を狩って,幼虫の餌としているようである。

ダイミョウキマダラハナバチ雌

2011-02-17 | ハチ目(膜翅目)

コシブトハナバチ科のダイミョウキマダラハナバチ Nomada japonica Smith

2010.5.21 鈴鹿市国府町でバラ科のたぶんナワシロイチゴに訪花したダイミョウキマダラハナバチを見つけた。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「体長♀13㎜内外。本属中最大の種。頭・胸部は黒色の地に黄色あるいは赤黄色の斑紋あり。腹部は赤褐色の地に第2節以下幅広い黄帯がある。本種は処女生殖を行うものと思われる。春季出現し,ヒゲナガハナバチに寄生する。分布:日本全土」などとある。

見つかるのは雌ばかりらしい。
Nomada属はいろいろ再検討が行われたとか聞いたことがある。それ以上のことは情報を得ていない。




キアシブトコバチ

2011-02-16 | ハチ目(膜翅目)

アシブトコバチ科のキアシブトコバチ Brachymeria lasus (Walker)

2010.11.17 津市芸濃町の里山の林縁をうろついていて見つけたのは,このキアシブトコバチである。ヒノキの植林があって,1本の木に何匹も居た。以前に立枯木に居るのを見かけたことも有るが,木との因果関係は不明。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「♀は体長5~7㎜。体は黒色で頭・胸部にはかなり太い臍状点刻あり。後脚の腿節は巨大で先端部は黄色。後脚の基節の内側には1突起があり,脛節の基部および下部は黒色で他は黄色,付節は黄色。♂は♀に酷似するが,触角の繋節の下部に多数の感覚毛を生じ,後脚の基節の内側に突起なし。モンシロチョウ,マイマイガなど極めて多数のチョウ目の蛹に寄生し,時に2次寄生をする。」などとある。


田中川干潟の雪景色

2011-02-14 | 風景

2011.2.14 田中川干潟にも雪が降った。水っぽい雪だが,すぐに景色は白くなった。

先日,『伊勢の海県立公園(学術調査報告書)』(矢頭献一著昭和50年3月三重県発行)という文献を入手した。
それによると,「東千里の南には約20haほどの広大な干潟と砂浜とがあり,この砂浜にもハマボウフウ-コウボウムギ群落が成立している。これは本県立公園内最大の砂浜及び干潟で,植物・動物生態学的見地から学術的価値の高い場所と判断され,この自然公園内の重要な部分と考えられる。」
また,「現在特に自然公園として自然環境の保存の良好な場所」の一つとして「河芸町東千里と中別保との中間の干潟に接する海岸」を挙げ,「砂浜海岸植生の成立の良好な場所,典型的な植物群落を示す場所」だと指摘している。
矢頭氏は同書で,「今後,この公園を如何に扱うかは慎重な考慮の上で決定さるべきであろう。これはこの県土を永く守る意味において忘れることのできないことである。」と結んでいる。

この公園の正式名称は「伊勢の海県立自然公園」といい,昭和28年に指定されている。指定直前の13号台風と昭和34年の伊勢湾台風の影響で,公園内の自然環境は大きな被害を受け,さらに破壊された自然堤防は全てコンクリートの防潮堤に変えられてしまった。


干潟の中央部。ヨシ原が広がり,その間を澪筋がうねっている。




干潟の西にある池。元養鰻池だが,もともとここは海跡湖。


カワウたちも雪をかぶっていた。

シロスジカタコハナバチ

2011-02-12 | ハチ目(膜翅目)

コハナバチ科のシロスジカタコハナバチ Lasioglossum (Lasioglossum) occidens(Smith, 1873)

2010.8.3津市河芸町赤部地区の里山でヤブガラシに訪花したコハナバチの種名がようやく明らかとなった。シロスジカタコハナバチである。

分布は北海道,本州,四国,九州,対馬,屋久島,朝鮮半島,台湾,中国.
伊豆諸島での調査では4月下旬から10月末までに良く採れている。
『鈴鹿市の自然』には,市内各所から12頭の記録がある。個体数も多い普通種のようである。
手持ちの図鑑には載っていないので,こんな程度くらいしか情報が得られていない。

アシアカツヤアシブトコバチ雌

2011-02-10 | ハチ目(膜翅目)

アシブトコバチ科のアシアカツヤアシブトコバチ雌 Antrocephalus dividens (Walker,1860)

2010.7.30津市安濃川の河川敷で見つけたアシブトコバチはアシアカツヤアシブトコバチと同定された。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「♀は体長5㎜前後。前翅はやや曇る。後脚の基節,転節,腿節,および脛節の先端部は赤色。触角は複眼下縁より下に生じる。♂は後脚が大部分黒色。寄主は不明。」などとある。

福井県産昆虫リストを見ると,アカアシツヤアシブトコバチ  Antrocephalus apicalis apicalis(Walker)というのがある。
これはどうもシノニムのようである。

和名も二通りあるが,とにかく和名も学名も新訂原色昆虫大図鑑Ⅲに依った。


キオビツヤハナバチ雌

2011-02-07 | ハチ目(膜翅目)

コシブトハナバチ科のキオビツヤハナバチ Ceratina flavipes Smith

2010.7.12 津市の豊津海岸でヤブガラシに訪花した小さな蜂を見つけていた。体長は7.5mm。このほど種名が明らかとなった。キオビツヤハナバチ雌である。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲに,ヤマトツヤハナバチの「近似種にやや小型のC.flavipes Smithがあり,♀同士の識別は極めて困難。」とある。

『鈴鹿市の自然』ではミツバチ科として記録されている。『神奈川県昆虫誌Ⅲ』ではフトハナバチ科クマバチ亜科で記録されている。

キオビコハナバチやニセキオビコハナバチという種もあるから,キオビだけを見ていると間違えそうである。
難儀なことだこと。




ナガトミヒメムシヒキ

2011-02-01 | ハエ目(双翅目)

ムシヒキアブ科ムシヒキアブ亜科のナガトミヒメムシヒキ Philonicus nagatomii Utsuki. 2008

2010.10.18に津市町屋海岸で見つけたムシヒキアブが同定できた。名をナガトミヒメムシヒキという。体長は約16ミリ。桑名市員弁川の河川敷では灯火採集で採れている。これまで4頭の雌を見ているが,雄には出会えていない。メスのほうが多いのかなあ。

宇津木望さんが2008年に日本産の新種としてPhilonicus nagatomiiを記載した。この種は旧北亞区のシロズヒメムシヒキ Philonicus albicepsに類似するが,陰茎の形態が相異するという。これまでシロズヒメムシヒキとして各地で記録されてきたものであると聞いている。

記載論文は「A New Species of the Genus Philonicus LOEW (Diptera, Asilidae) from Japan 」,これを読まないと詳細は判らない。