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田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

セグロカブラハバチの三角関係

2009-11-18 | ハチ目(膜翅目)
セグロカブラハバチ
ハバチ科のセグロカブラハバチ Athalia infumata(Marlatt,1898)   左の大きいのが雌

芦原海岸のトベラの木にセグロカブラハバチ3頭がいた。1頭の雌に2頭の雄がくっついて離れない。

『大阪府のハバチ・キバチ類』によると、寄主植物は各種アブラナ科で、「成虫は4~10月に出現し、多化性で年に5~6回発生する。平地から低山地の、都市公園、農耕地から森林周辺にまできわめて普通に見られる。」という。
また、「体長はメス6~8㎜、オス5~6mm。胸部は橙黄色で、中・後胸背板、小盾板は黒色。中胸の黒色部の範囲には変異があり、個体により中胸背板の前半が橙黄色になることがある。腹部は橙黄色。脚は、各基節~腿節は橙黄色、脛節は外縁と末端が黒色。付節は黒色で、各節基部は橙黄色。」とある。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲには、セグロカブラバチの名で、食草は「野生の十字科植物」であると載っていた。十字科植物とはアブラナ科植物の古い呼称で、セグロカブラバチも古い和名。なお、同図鑑には追記として、「和名と学名はセグロカブラハバチ Athalia infumata(Marlatt) 。」と載っている。

2009.11.15
セグロカブラハバチ
セグロカブラハバチ 下の2頭が雄

砂浜にアカアシクロツチバチ

2009-10-16 | ハチ目(膜翅目)
アカアシクロツチバチ
コツチバチ科のアカアシクロツチバチ Tiphia biseculata Allen et Jaynes,1930

芦原海岸。トベラの葉の中に体長11ミリほどのハチを見つけた。
中脚及び後脚の腿節と脛節が赤褐色をしているのでアカアシクロツチバチではと思う。

しかしながら、新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによれば、コツチバチ科のコツチバチ属Tiphiaは「類似した種が多いため、本書に掲載されている種も写真と記述だけから種名を特定することは困難である。」としている。
また、同書によるとアカアシクロツチバチは「体長♀7.5~11.5㎜、♂6.5~8㎜。光沢ある黒色で♀の中後腿・脛節は赤褐色。頭部の点刻は小さく粗。分布:本州。」

『鈴鹿市の自然』を見ると、同じ学名ながら、アカアシコツチバチの種名で鼓ヶ浦海岸にて10月初旬の採集記録がある。

私が出会ったこのハチは本当にアカアシクロツチバチなのだろうか。

2009.10.12
アカアシクロツチバチ

追記
神奈川県昆虫誌(2004)には、アカアシコツチバチの和名で「あまり多くないが,採れるところは例外なく砂地の付近である。多分獲物のコガネムシの種類に関係があると思う。」との説明がある。

川添昭夫氏に同定をお願いしたところ、この写真のハチはTiphia biseculata の♀に間違いないことが明らかとなった。三重県内の記録としては鈴鹿市に次ぐ2番目の記録となるようだ。私は9月に豊津海岸で体長約8mmの♂にも出会っている。

溺れるマメコガネコツチバチ雌とアカアシクロツチバチ雌

ニレチュウレンジの群れ

2009-09-27 | ハチ目(膜翅目)
ニレチュウレンジ
ミフシハバチ科ミフシハバチ亜科の ニレチュウレンジ Arge captiva (F.Smith,1874)

松阪市内のとある施設の植え込み。
いろんな種類の樹木が植えられている。複数の樹木が植わっている一角で、数メートルの範囲内に多数のハバチが飛び回っていた。
通りかかった人がある1本の木を見て、「丸坊主になっている、なんかの幼虫に食べられたみたいだ」と言う。見上げると、その木はアキニレであった。

ニレ類を奇主植物としているハバチとなれば、ニレチュウレンジ が思い浮かぶ。アキニレの木にはすでに一匹の幼虫も居なかったが、ニレチュウレンジの幼虫にほとんどの葉が食べられたものと思われる。
17時過ぎ、成虫たちはアキニレの真横に自生しているアカメガシワの葉上で休んでいた。

『大阪府のハバチ・キバチ類』によると、ニレチュウレンジは
「体長はメス8~11㎜、オス8~9㎜。頭部は全体青藍色で光沢がある。触角は全体黒色。
胸部は青藍色で、通常は前・中胸背板背面、肩板、中胸側板上端、小盾板前縁等が赤色となる個体が多いが、胸部の色彩には変異が多く、前胸背板のみが赤色の個体や、全体が青藍色となる個体もある。
腹部は全体全体青藍色で光沢がある。
脚は全体黒色。翅はほぼ全体が暗色を帯びる。翅脈は黒色で、縁紋はやや暗色。
近畿の低地では年2回発生で、成虫は5月と、7~8月頃に出現する。各地に普通で、低山地から都市公園にまでみられ、ときに街路樹などの害虫とされる。」
同書によると、分布は北海道,本州,四国,淡路島,対馬,朝鮮半島,中国
なお、同書にはニレチュウレンジの写真は載っていないので、図版から絵合わせを行うとニレチュウレンジにはたどり着かない。

昭和52年初版発行の原色日本昆虫図鑑(下)では学名が Arge flavicollis Cameron となっており、「旧学名は Arge captiva Smith 。近似種カタアカチュウレンジ A.rejecta Kirby とは触角間隆起のないことで区別できる。」としている。
2006年発行の『大阪府のハバチ・キバチ類』では学名がArge captiva (F.Smith,1874)となっているので、学名が当初のものに再変更されたのだろう。

定価26,250円の新訂原色昆虫大図鑑Ⅲには普通種であるニレチュウレンジは載っていない。
2009.9.24

ニレチュウレンジ

ニレチュウレンジ

ウンモンチュウレンジ

2009-09-16 | ハチ目(膜翅目)
ウンモンチュウレンジ
ミフシハバチ科ミフシハバチ亜科のウンモンチュウレンジ Arge jonasi (Kirby,1882)

内部川の上流部、四日市市から鈴鹿市に入った辺り。
シダの葉上で体長約9ミリほどのウンモンチュウレンジを見つけた。触角が短いことからメスと思われる。

『大阪府のハバチ・キバチ類』によると、
「体長はメス10~11mm、オス9~10㎜。頭部、胸部、腹部は全体が青藍色で光沢がある。触角は全体黒色。
脚は青藍色~黒色で、先端を除く後脛節は白色。前・中脛節はわずかに淡色を帯びる。
翅はやや黄色を帯び、縁紋の下に後縁に届く明瞭な暗色帯がある。
山地に生息するが、やや少ない。成虫は近畿地方では5~8月に得られて」いる。
また、同書によるとミフシハバチ亜科の特徴は次のとおり。
「触角第3節はオスメスともに棒状。前翅径室の外縁は脈で閉ざされ、外側に小室がある。幼虫は双子葉植物、主に木本の葉を食べる。」

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、ツノキウンモンチュウレンジに似て、「触角が黒色、前翅の前縁脈の黄色のものはウンモンハバチで北海道・本州・四国に産し、幼虫はウシコロシを食う。」
ウンモンハバチの和名と学名はウンモンチュウレンジ Arge jonasi (Kirby)。ウシコロシとはバラ科のカマツカのこと。

『鈴鹿市の自然』によると、大久保町で2005年7月に採集されている。
2009.9.13

ウンモンチュウレンジ

砂浜のオオモンツチバチ

2009-09-12 | ハチ目(膜翅目)
オオモンツチバチ♀
ツチバチ科のオオモンツチバチ♀  Scolia histrionica japonica Smith

津市北部の砂浜海岸や鈴鹿市の砂浜などを歩き回っていて、最も数多く出会うハチの仲間はオオモンツチバチである。海岸に近い我が家の庭にも彼らはやってくる。
夕方になると、砂浜に生えている丈の高いイネ科植物やハマダイコンの先端部にしがみついて寝ている様子が見られる。
砂浜では、♀はコガネムシ類の幼虫を探して飛び回っている。♂は、産卵のために砂に潜った♀を探して飛び回っている。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、「黒色で光沢あり、灰白色ないし黒褐色の長毛を有する。腹端の毛は黒色。♀♂は著しく異なる。」

茨城県では準絶滅危惧種としている。

オオモンツチバチ♀
オオモンツチバチ♀

オオモンツチバチ♂
マサキのオオモンツチバチ♂

オオモンツチバチ♂
ヤブガラシのオオモンツチバチ♂

オオモンツチバチ♂
ハマゴウのオオモンツチバチ♂

オオモンツチバチ♂
ヤブガラシのオオモンツチバチ♂

ツマアカクモバチ

2009-09-09 | ハチ目(膜翅目)
ツマアカクモバチ
クモバチ科のツマアカクモバチ Tachypompilus analis (Fabricius, 1781)

津市の豊津海岸。
ヤブガラシに訪花したツマアカクモバチ。昔の名はベッコウバチ科のツマアカベッコウ、別名をツマアカコブベッコウ。
ツマアカクモバチはアシダカグモを狩る蜂。もともと南方系の種、本州以南、東南アジアに広く分布しているらしい。成虫は6~8月に出現する。

和歌山、大阪でも記録があるらしい。静岡県の桶ケ谷沼でも見つけられている。神奈川県での記録もある。京都府の自然環境目録にもリストアップされている。

高知県と三重県では準絶滅危惧種となっている。
三重県レッドデータブックによると、ツマアカコブベッコウの種名を用い、「成虫の体長20mmほどの全身黒色で腹部末端が朱赤のハチ。クモを幼虫の餌にするカリバチの仲間。南方系のハチで近年分布を北に伸ばしている。1997年鳥羽市で記録されて以降、確認されていない。餌となるクモ類の減少が本種の動向にかかわっているものと推察される。さしあたっては、継続的な種の確認調査を行う必要がある。」としている。

2002年の「ひらくら」4月発行号によると,松浦 誠先生が「ツマアカコブベッコウの津市三重大学構内での記録」として,2001.6.28に1♀を目撃していると発表している。また,「未発表ではあるが,志摩郡志摩町阿津里浜において1991年10月23日に1♀が採集されている」とも記している。

その後、何回も発見場所を訪れているが、再会を果たしていない。

2009.9.5
ツマアカクモバチ

ツマアカクモバチ再び

コウベキヌゲハキリバチ

2009-07-29 | ハチ目(膜翅目)
コウベキヌゲハキリバチ
ハキリバチ科のコウベキヌゲハキリバチ♀ Megachile kobensis Cockerell, 1918  2009.7.26 鼓ヶ浦海岸にて

砂浜のハマゴウが青紫色の花をつけている。群生地の中に入ると、いろんな昆虫たちが暮らしていることが分かる。
その中で最も数多くの個体が訪花するのがコウベキヌゲハキリバチである。ハマゴウが生えていれば、どの砂浜でも見つかる。彼らの翅の音は耳にうるさく感じられるほど。また、次から次へと花を変えて飛び回っている。
クマバチの訪花も多いが、個体数、頻度共にコウベキヌゲハキリバチの方が圧倒している。海浜植物のハマゴウと最もつながりの深い訪花昆虫と言えよう。
日本固有種で、本州、四国、九州に分布する。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲでは、キヌゲハキリバチの和名で「体長♀11mm位。体は黒色。体には比較的白い白色毛を密生するが、中胸背板の毛は顕著ではない。♂の触角末端節は扁平で暗色。夏季出現し、地中に営巣する。」という。

原色日本昆虫図鑑(下)によると、キヌゲハキリバチは「体長約11mm。全体黒く、白色の短毛を密生する。とくに第1~5腹節背後縁には白色毛による目だった横帯がある。頭楯中央にはたてに点刻のない部分がある。♂の触角末端は扁平で、前ふ節は内面深くえぐられる。」

体長はメスが9-11mm(10mmを超えるとしているところもある)、オスが8-10mm(9mmを超えるとしているところもある)で、体全体が白毛で覆われた中型のハキリバチである。

島根県では海浜生態系の破壊がコウベキヌゲハキリバチの存続を脅かす原因であるとし、海浜の開発や破壊による海浜固有の生態系が喪失しており、生息密度の維持が危惧されるとの理由から、ハマゴウの重要な送粉者であるコウベキヌゲハキリバチを準絶滅危惧NTに選定している。
鳥取県でも準絶滅危惧種にランクされている。

愛知県では木曽川、庄内川などの河川敷での生息が確認されているものの、キヌゲハキリバチは「河川敷の改修によって生息場所を失いつつあり、発生個体数が非常に少なくなった」として、準絶滅危惧に選定している。また、生息地の環境や生態について「砂丘の見られる海浜や、河川敷で砂浜がよく発達した地域に生息している。成虫は花に飛来し、砂地の地中に営巣する。」と紹介している。愛知県内の砂浜には生息していないようである。

いつからかは知らないが、日本産有剣膜翅類目録により、キヌゲハキリバチからコウベキヌゲハキリバチに種和名が変更されたようである。

花粉を集める花粉媒介者としての様子は観察し、撮影もしているが、葉を切るところはまだ未見である。雄の写真も撮れてない。これから、これから。

コウベキヌゲハキリバチ
2009.7.20 津市の町屋海岸にて コウベキヌゲハキリバチ♀

コウベキヌゲハキリバチ
2009.7.26 鈴鹿市の鼓ヶ浦海岸にて コウベキヌゲハキリバチ♀

マルモンツチスガリ

2009-07-03 | ハチ目(膜翅目)
マルモンツチスガリ
マルモンツチスガリ Cerceris japonica Ashmead

津市河芸町の豊津海岸で、ヤブガラシに訪花したマルモンツチスガリと出会った。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、マルモンツチスガリはジガバチ科に属し、「体長9から16mm。体は黒色。前胸背板両側の紋、後楯板上の横斑、腹部第2背板の前半部にある大形斑紋、第3背板の両側斑、第5背板の後縁にある斑紋などは特に顕著で黄色。本州、九州に産し、地中に営巣。ヒメハナバチ類やコハナバチ類を狩る。」

『鈴鹿市の自然』によると、2005年の6月に鈴鹿川の河川敷での採集記録がある。

すがりとは東北や長野などで蜂のことをいう方言。「すがる」という言葉もあり、じがばちのこと。「すがる」は二文字の漢字があてられているが、そのうちの一つに蜾という漢字がある。虫と果を組み合わせた会意兼形声文字で腹が果物のように丸く、腰がくびれている蜂を指す。
「すがる少女」と書いて「すがるおとめ」と読む。意味は「じがばちのように腰の細いなよなよした美しい少女」のこと。

すがるおとめをイメージしていたら、マルモンツチスガリにまた会いたくなった。
2009.6.30

マルモンツチスガリ

マルモンツチスガリ

海浜のキバラハキリバチ

2009-06-26 | ハチ目(膜翅目)
キバラハキリバチ
ハキリバチ科のキバラハキリバチ Megachile xanthothrix Yasumatsu et Hirashima, 1964

津市河芸町の豊津海岸でキバラハキリバチ♂とおぼしき葉切蜂を見つけた。
調べてみると、近県での記録も無さそうなので、既知の情報を整理しておく。

山口県のレッドデータブックによると、「体長メス16~18mm。体は黒色で腹部背面は黄褐色のビロード毛で覆われる。腹面の毛は基部が金色毛で、末端に向かい暗色となる。他のハキリバチとは色彩から一見して区別できる。成虫は夏から秋にかけて主に河川敷や海浜周辺に生息するようで、砂地に営巣することが知られている。」

島根県レッドデータブックによると「体長はメスが16-17mm、オスが15-16mm。大型のハキリバチである。胸・腹部の背面が橙黄色ないし黄褐色の毛で覆われている。稀種のため、生態的知見がきわめて乏しい。年1化性で、活動期間は夏から初秋である。本種は1964年に安松・平嶋によって新種とされ、メスの頭頂部には黒褐色の短毛がみられる点と、オスの前脚基節にみられる剛毛束と突起部が広く分離する点によってほかの近縁種から識別される。越冬は前蛹態で行う。成虫はハギ類、クズ、ヨメナ、カラスザンショウなどを訪花するので、広食性種といえる。
 巣は砂地に設けられる。そのために生息地がしばしば河川敷や海浜地に限定される。営巣メスは自掘もするが、既存孔の方をよく利用するらしい。」

山口県では「西日本を中心に局所的に分布するが、個体数は極めて少ない。」として絶滅危惧Ⅱ類に選定、島根県では「海浜の開発や破壊による海浜固有の生態系の喪失で、生息密度がきわめて低い。」として絶滅危惧Ⅱ類VUに選定、また広島県、岡山県、高知県の3県では準絶滅危惧種としている。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによれば、
キバラハキリバチは「体長♀16~18mm。黒色。頭部および胸部の毛は主として灰白色。腹部背面には黄褐色の絨毛あり;腹面の刷毛は基部淡色(黄金色に近い,末端節に向かい少し暗色となる。♂の毛の具合は♀に似る。夏季出現し、地中に営巣する。分布:本州・四国・九州;朝鮮半島・中国東北部。」

Yasumatsu,K.& Y.Hirashima(1964)Red-haired leaf-cutter bees of the group of Megachile bicolor from Japan,the Ryukyus and Formosa.Kontyu,32:175-187.によると、
タイプ標本の内、1960年8月4日に福岡市香椎で採集された、ゴマの花に居た♂がホロタイプとなっている。福岡県筑前大島、山口県下関などでも標本が採集されている。
九州大学のキャンパスではムラサキナツフジの花粉や蜜を集める♀の様子が観察されている。
「this species probably has one generation a year.Adults appear from July to September, but they are very scarce in number.」
雌の体長は16-17mmで、その特徴は「vertex with fuscous hairs;pronotum with a tuft of fuscous hairs laterally just in front of tegulae;mesoscutum with or whithout admixture of sparse fuscous hairs ; mesopleuron with hairs fuscous below, broadly pale above,sparse fuscous hairs below wing base;scape pale ferruginous or golden,becoming darker(nearly fulvous)toward apical sterna;hairs(scopa)on 6th sternum fuscous apicany, fulvous basally;hairs on outer faces of mid tarsi delicate in colour, broadly nearly fuscous anterioly・yellowish posteriorly」
雄の体長は約15㎜で、その特徴は「Fore coxae with a tuft of bristles separated from coxal pine;vertex with sparse fuscous hairs laterally(near summits of eyes)」

ノアズキの葉を切り、花にも訪花している目撃情報もある。

島根県のある調査では「初見日はオスが7月上旬、メスが7月下旬であった」という。

これまでのところ、キバラハキリバチは本州(大阪府、京都府、岡山、広島、島根、山口県)、四国(香川県、高知県)、九州(福岡県、佐賀県、鹿児島県)のほか国外では朝鮮半島、中国東北部に分布しているようである。そして、ここ三重県にも。

この日の最高気温は29.7℃であった。発見場所の近くでは、5頭ほどのクモバチの仲間が競うように穴を掘っていた。マエグロツリアブ、スキバツリアブ、そして黄色いあのキモグリバエ科もいた。

2009.6.25
キバラハキリバチ
2009.6.25 クズの葉上で キバラハキリバチ♂

キバラハキリバチ

追記
藤原岳自然科学館の川添昭夫館長からの私信によると、キバラハキリバチは「海岸性の固有種で県内では初記録です。海岸線にはまだ固有種がいると思います。クズの花によくきます。」

キバラハキリバチ今年も

カバフスジドロバチ

2009-06-19 | ハチ目(膜翅目)
カバフスジドロバチ
カバフスジドロバチ Pararrhynchium ornatum Smith
ナミカバフドロバチの別名もある。

近くの海岸に水産加工場の納屋が連なっていて、多くの納屋が長年使用されずに放置され、最近は朽ち落ちてきている。
そんな所に生えているヤブガラシがあって、私の観察ポイントの一つとなっている。

ようやく花が咲き出したヤブガラシに、カバフスジドロバチを見つけた。
ドロバチ科だと思っていたら、新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによるとスズメバチ科となっている。
カバフスジドロバチは体長12~15㎜。幼虫の食物は鱗翅類の幼虫。竹筒などに泥の仕切りを作り営巣する。本州、四国、九州に分布。
2009.6.13

カバフスジドロバチ

カバフスジドロバチ

アカメガシワのアミメアリ

2009-06-15 | ハチ目(膜翅目)
アミメアリ
アリ科フタフシアリ亜科のアミメアリ Pristomyrmex punctatus 
2003年にPristomyrmex pungensはシノニムとされ、学名が変わった。

芦原海岸の草地にアカメガシワが何本も生えてきている。枯れた松の木が倒れた辺りに多い。いかにもパイオニア植物らしく、真っ先に生えてきた。
私はいつもアカメガシワの葉の基部を覗き込む。花外蜜腺に集まるアミメアリが見られるからである。この日も小さなアリたちに出会えた。
アカメガシワの花外蜜腺は葉の基部に一対あって、若葉を過ぎた頃から蜜を分泌するようになるという。若い木では葉の縁にもいくつも蜜腺がある。

アミメアリの体長は2.5 mm。体色は褐色から赤褐色,脚はより淡色,腹部は黒褐色。頭部と胸部は荒い網目模様をもち,腹部は平滑でやや光沢をもつ。前伸腹節刺は針状で長く,先端は鋭く尖る。東南アジアに広く分布し,日本ではごく普通に見られる。(日本産アリ類画像データベースより)

アミメアリは昆虫などの死骸を見つけると運ぶこともあるが、動物質よりも糖分を好み、樹液や果実、菓子などによく群がる習性があると知られている。また、アミメアリは決まった巣を持たず、餌を求めて適宜集団移動する習性も持つ。
2009.6.11

アミメアリ
胸部に一対の鋭い棘状の突起(=前伸腹節後部背方に一対の前伸腹節刺という突起)が後方に突き出している。

スギナにオスグロハバチ

2009-04-17 | ハチ目(膜翅目)
オスグロハバチ雌
ハバチ科シダハバチ亜科のオスグロハバチ雌 Dolerus similis japonicus Kirby, 1882

川は暗渠となって姿を隠しているが、隣接して田があるので土手は残っている。
そんな土手で、この日は3種のハバチを見つけた。ネジロコンボウハバチ(体長10ミリ、翅の第1中室が透明)、スギナハバチ(前脛節が黄褐色)、オスグロハバチ。
中でもオスグロハバチ雌の体は黒、赤、オレンジの3色から成り、私の好みである。

『大阪府のハバチ・キバチ類』によると、体長はメス9mm、オス8mm。翅は透明で、外縁部がごくわずかに暗色を帯びる。脚は全体黒色。寄主植物はスギナ。近畿地方では平地の河川敷や農耕地などに普通で、低山地でもみられる。

同書では、脚は全体黒色と記述されているが、雄には当てはまるが、雌は前脚の一部がオレンジ色をしている。なお、同書にはオスグロハバチ雌の標本写真は載っていない。
雄はとにかく黒い。翅脈を見ているだけではスギナハバチとの区別が付かなかったが、脚の色で違いが分かった。
2009.4.8

オスグロハバチ雌
雌の腹部は広く橙黄色で、第1背板・第8腹板及び産卵管鞘は黒色

オスグロハバチ雌
スギナに止まるオスグロハバチ雌

オスグロハバチ雄
オスグロハバチ雄

オスグロハバチ雄
オスグロハバチ雄

セグロアシナガバチ

2009-04-10 | ハチ目(膜翅目)
セグロアシナガバチ
セグロアシナガバチ Polistes jadwigae

数日前の雨で庭土がまだ濡れている、我家の庭。
セグロアシナガバチが濡れた土に喰らいついているように見える。
この時期に現れるとは越冬女王蜂なのか。彼女もたった一匹で巣作りをするという。
セグロアシナガバチの巣材には泥は使われないと思う。
腰をくねらして濡れた土に喰らいつく。なぜ。
2009.4.6

セグロアシナガバチ

アカアシブトコバチ

2009-01-24 | ハチ目(膜翅目)
アカアシブトコバチ
アシブトコバチ科のアカアシブトコバチ Brachymeria fonscolombei (Dufour)

日中の最高気温が13度を超えた今日。庭のコンクリートブロック片に小さなハチが居ることに気づいた。
体長は約6ミリ。体は黒くて硬い。後脚の基節と腿節が肥大して赤い。特に腿節は異常に肥大している。中脚や前脚の各ふ節も赤っぽい。
アシブトコバチ科は50種以上(日本産昆虫目録データベースによると53種)居るらしい。近似種が居るのかどうか知らないが、アカアシブトコバチではないかと思われる。
ニクバエ科やクロバエ科のハエ類の蛹に寄生する寄生蜂。初夏と初秋に発生し、特に初秋に多く見られるようである。
2009.1.23

アカアシブトコバチ

ヒメハラナガツチバチ♀

2008-10-31 | ハチ目(膜翅目)
ヒメハラナガツチバチ♀
ツチバチ科 ヒメハラナガツチバチ雌 Campsomeriella annulata (Fabricius)

津市北部の海岸地帯。セイタカアワダチソウの花で吸蜜するヒメハラナガツチバチ雌と出会った。
雌の体長は15~22ミリ。本州から与那国島にかけて分布する。スジコガネ類やマメコガネ類などの幼虫に寄生産卵する。翅端は曇る。腹部の白い4筋は白色毛のみで白斑はない。成虫の出現期は5~10月。雌は触角が短い。雄は各所に黄色紋があるので別種のように見える。
オオモンツチバチでの観察例だが、彼女たちは飛び回りながらコガネムシ類の幼虫を探しているように見えるが、いざ土の中に潜り込んだ後を追いかけてみると、彼女らは目指す幼虫になかなか辿り着いていないことが分かる。土中であちこち探し回っている。彼女が潜った辺りの土を掘り返してみても、幼虫が居ないことがあった。
ツチバチ類の雌たちはどうやらコガネムシ類幼虫の糞の臭いや体表から出る何らかの物質の臭いを頼りに探し回っているようである。幼虫たちも動き回っているから、その臭いの後を追って土中を探し回っているらしい。そんなことを研究して調べた人がいると知人から聞いたことがある。
2008.10.30

ヒメハラナガツチバチ♀

ヒメハラナガツチバチ♀