ハキリバチ科のコウベキヌゲハキリバチ♀ Megachile kobensis Cockerell, 1918 2009.7.26 鼓ヶ浦海岸にて
砂浜のハマゴウが青紫色の花をつけている。群生地の中に入ると、いろんな昆虫たちが暮らしていることが分かる。
その中で最も数多くの個体が訪花するのがコウベキヌゲハキリバチである。ハマゴウが生えていれば、どの砂浜でも見つかる。彼らの翅の音は耳にうるさく感じられるほど。また、次から次へと花を変えて飛び回っている。
クマバチの訪花も多いが、個体数、頻度共にコウベキヌゲハキリバチの方が圧倒している。海浜植物のハマゴウと最もつながりの深い訪花昆虫と言えよう。
日本固有種で、本州、四国、九州に分布する。
新訂原色昆虫大図鑑Ⅲでは、キヌゲハキリバチの和名で「体長♀11mm位。体は黒色。体には比較的白い白色毛を密生するが、中胸背板の毛は顕著ではない。♂の触角末端節は扁平で暗色。夏季出現し、地中に営巣する。」という。
原色日本昆虫図鑑(下)によると、キヌゲハキリバチは「体長約11mm。全体黒く、白色の短毛を密生する。とくに第1~5腹節背後縁には白色毛による目だった横帯がある。頭楯中央にはたてに点刻のない部分がある。♂の触角末端は扁平で、前ふ節は内面深くえぐられる。」
体長はメスが9-11mm(10mmを超えるとしているところもある)、オスが8-10mm(9mmを超えるとしているところもある)で、体全体が白毛で覆われた中型のハキリバチである。
島根県では海浜生態系の破壊がコウベキヌゲハキリバチの存続を脅かす原因であるとし、海浜の開発や破壊による海浜固有の生態系が喪失しており、生息密度の維持が危惧されるとの理由から、ハマゴウの重要な送粉者であるコウベキヌゲハキリバチを準絶滅危惧NTに選定している。
鳥取県でも準絶滅危惧種にランクされている。
愛知県では木曽川、庄内川などの河川敷での生息が確認されているものの、キヌゲハキリバチは「河川敷の改修によって生息場所を失いつつあり、発生個体数が非常に少なくなった」として、準絶滅危惧に選定している。また、生息地の環境や生態について「砂丘の見られる海浜や、河川敷で砂浜がよく発達した地域に生息している。成虫は花に飛来し、砂地の地中に営巣する。」と紹介している。愛知県内の砂浜には生息していないようである。
いつからかは知らないが、日本産有剣膜翅類目録により、キヌゲハキリバチからコウベキヌゲハキリバチに種和名が変更されたようである。
花粉を集める花粉媒介者としての様子は観察し、撮影もしているが、葉を切るところはまだ未見である。雄の写真も撮れてない。これから、これから。
2009.7.20 津市の町屋海岸にて コウベキヌゲハキリバチ♀
2009.7.26 鈴鹿市の鼓ヶ浦海岸にて コウベキヌゲハキリバチ♀
高松海岸で営巣の様子を観察しました。
http://apis.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-b056.html
先日、探したのですが見つけられませんでした。
営巣地まで100メートルも離れているのですか。
なかなか一人での観察では見つからないはずです。
営巣地からの距離はほんの20mくらいです。
でも、人間は高い堤防を飛び越えられないので、100mも回り道しないといけません。