田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ニレチュウレンジの群れ

2009-09-27 | ハチ目(膜翅目)
ニレチュウレンジ
ミフシハバチ科ミフシハバチ亜科の ニレチュウレンジ Arge captiva (F.Smith,1874)

松阪市内のとある施設の植え込み。
いろんな種類の樹木が植えられている。複数の樹木が植わっている一角で、数メートルの範囲内に多数のハバチが飛び回っていた。
通りかかった人がある1本の木を見て、「丸坊主になっている、なんかの幼虫に食べられたみたいだ」と言う。見上げると、その木はアキニレであった。

ニレ類を奇主植物としているハバチとなれば、ニレチュウレンジ が思い浮かぶ。アキニレの木にはすでに一匹の幼虫も居なかったが、ニレチュウレンジの幼虫にほとんどの葉が食べられたものと思われる。
17時過ぎ、成虫たちはアキニレの真横に自生しているアカメガシワの葉上で休んでいた。

『大阪府のハバチ・キバチ類』によると、ニレチュウレンジは
「体長はメス8~11㎜、オス8~9㎜。頭部は全体青藍色で光沢がある。触角は全体黒色。
胸部は青藍色で、通常は前・中胸背板背面、肩板、中胸側板上端、小盾板前縁等が赤色となる個体が多いが、胸部の色彩には変異が多く、前胸背板のみが赤色の個体や、全体が青藍色となる個体もある。
腹部は全体全体青藍色で光沢がある。
脚は全体黒色。翅はほぼ全体が暗色を帯びる。翅脈は黒色で、縁紋はやや暗色。
近畿の低地では年2回発生で、成虫は5月と、7~8月頃に出現する。各地に普通で、低山地から都市公園にまでみられ、ときに街路樹などの害虫とされる。」
同書によると、分布は北海道,本州,四国,淡路島,対馬,朝鮮半島,中国
なお、同書にはニレチュウレンジの写真は載っていないので、図版から絵合わせを行うとニレチュウレンジにはたどり着かない。

昭和52年初版発行の原色日本昆虫図鑑(下)では学名が Arge flavicollis Cameron となっており、「旧学名は Arge captiva Smith 。近似種カタアカチュウレンジ A.rejecta Kirby とは触角間隆起のないことで区別できる。」としている。
2006年発行の『大阪府のハバチ・キバチ類』では学名がArge captiva (F.Smith,1874)となっているので、学名が当初のものに再変更されたのだろう。

定価26,250円の新訂原色昆虫大図鑑Ⅲには普通種であるニレチュウレンジは載っていない。
2009.9.24

ニレチュウレンジ

ニレチュウレンジ


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