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田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

砂浜のハイイロクモバチ

2010-10-21 | ハチ目(膜翅目)

クモバチ科のハイイロクモバチ Pompilus cinereus (Fabricius)

津市北部の砂浜海岸。町屋海岸から河芸の海岸にかけて,海浜植物が生えている砂浜を忙しそうに歩き回っている小さなクモバチがいる。探せば,砂浜のあちこちに彼らの巣穴がいくつも見つかる。オオフタバムグラが群生している砂浜であろうと,ハマボウフウ・コウボウシバ・ハマニガナの群落であろうが,変わりなく彼らは暮らしているように感じられる。
この日は一つの巣穴に2頭のクモバチが入れ替わりながら巣穴を掘ったり,出入りしているのを見つけた。

ハイイロクモバチだと思う。三重県内では未記録種ではなかろうか。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ハイイロクモバチは「体長♀5~14㎜,♂4~7.5㎜。黒色。顕著な灰白色の微毛を密布し,特に腹部の各背板後方では幅広い帯斑となる。各脚脛節の距は乳白色。頬(♀♂)や前胸側板,前脚基節(♀)に白色長毛が密生する。翅は透明で,前翅の外縁は幅広く曇る。海浜や川岸に棲み,各種徘徊性のクモを狩り,これを前進運搬する。獲物をいったん砂中に隠してから,単房巣を掘る。分布:本州・沖縄・八重山諸島;旧世界(含オーストラリア)。

石川県では絶滅危惧Ⅱ類に選定されている。
石川県のレッドデータブックによると「比較的自然に恵まれた海浜植物帯に生息している。徘徊性のクモを狩り、砂中に穴を掘り産卵する。営巣は海浜植物群落内およびその周辺と思われる。アオスジクモバチに似るが、各肢脛節の距が乳白色であること、メスの前肢付節には櫛歯状の刺列が発達していることなどから区別できる。別名、ナミコナフキベッコウ。」

2010.10.14



海岸のヒメコンボウヤセバチ

2010-10-09 | ハチ目(膜翅目)

コンボウヤセバチ科のヒメコンボウヤセバチ Gasteruption breviterebrae (Watanabe, 1934)

津市の豊津海岸。砂浜をうろつく。高潮線あたりに漂着したヨシが幾重にも重なっている。ヨシの茎の中へ出たり入ったりして飛び回っているハチを見つけた。

『札幌の昆虫』によると,コンボウヤセバチ科は「体が細く,ヒメバチに似ているが首の部分が細い。卵はハチの巣に生みつけられ,ハチの卵と貯蔵された食料を食べる。」

コンボウヤセバチは図鑑にも載っているが,このハチは産卵管も短い。体長は産卵管を含めても15ミリも無い程度。
コンボウヤセバチ科は日本には1属4種しか知られていない。その中のヒメコンボウヤセバチではないかと思われる。手持ちの図鑑には何も載っていないので,詳しいことはさっぱり分らない。
『鈴鹿市の自然』には,コンボウヤセバチ科の記録は1種もなかった。

2010.10.6

ツマアカクモバチ再び

2010-10-06 | ハチ目(膜翅目)

クモバチ科のツマアカクモバチ Tachypompilus analis (Fabricius

昨年一度だけ出会っただけで,探しても探しても見つからなかったツマアカクモバチが去年とほぼ同じ場所で,やはりこれも同じくヤブガラシの蜜を吸いにやってきた。

三重県レッドデータブック2005にツマアカコブベッコウの和名で出ていて,現況・減少要因として「1997年鳥羽市で記録されて以降、確認されていない。餌となるクモ類の減少が本種の動向にかかわっているものと推察される。」としている。ところが,発行後に発行元の(財)三重県環境保全事業団から動物編の正誤表が出ていて,それによると,「餌となるクモ類の減少が本種の動向にかかわっているものと推察される。」の部分が削除となっている。なお,鳥羽市の記録は神島での採集記録である。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ツマアカクモバチは「触角基部間は瘤状に隆起する。前胸背板の中央に弱い縦溝がある。後盾板は非常に短い。前伸腹節の傾斜部は強い凹面をなし,その側部の前方および後端に円錐状突起があり,水平部との境は稜となる。♀の前脚付節に櫛歯状の刺の列がある。アシダカグモを狩った後,乾いた土の中にすり鉢状の巣を掘って,これを埋める。」などとある。
2010.10.6





ツマアカクモバチ

ムモンホソアシナガバチ

2010-09-16 | ハチ目(膜翅目)

スズメバチ科のムモンホソアシナガバチ Parapolybia indica (Saussure)

津市河芸町赤部の里山。ヤブガラシに訪花するムモンホソアシナガバチを見つけた。
体色が黄色で,このような淡褐色の斑紋があるハチなんて,これまであまり出会っていない。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ムモンホソアシナガバチは体長15~20mmで,胸部側面には暗色斑を欠く。肢は大部分黄色。♀の頭楯は全体黄色で黒斑を欠く。♂の体は♀に比べ著しく細い。ムモンホソアシナガバチでは巣は葉裏などに作られ楕円形か円形で,近縁種のヒメホソアシナガバチの巣のように垂れ下がることは無い。

2010.9.7

ヤノトガリハナバチ

2010-09-10 | ハチ目(膜翅目)

ハキリバチ科のヤノトガリハナバチ Coelioxys yanonis Matsumura


津市河芸町久知野地区。道端に咲くコバノセンダングサに訪花したヤノトガリハナバチと出会った。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「体長♀15㎜位。体は黒色。顔面に短い黄褐色毛を密生。第一背板後縁の黄色鱗毛横帯は中央で消えかかる。体には極めて粗大な点刻を密布。小盾板両端に鉤状突起あり,中央にも小さい突起あり。♂の尾端に3対の歯状突起あり。夏から秋に出現。」

2010.9.8



キオビクモバチ♂

2010-09-07 | ハチ目(膜翅目)

クモバチ科のキオビクモバチ♂ Batozonellus annulatus (Fabricius)

津市の豊津海岸,ヤブガラシに訪花するキオビクモバチ♂を見つけた。♀は度々目撃するが,♂に出会うことは少ない。

かつてはベッコウバチ科のキオビベッコウと呼ばれていた種。科名も和名も変更された。
新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,キオビクモバチの♂は「黒色で全体に鮮黄色の斑紋を有し,触角は褐色,脚は黒・褐・黄の斑紋を有する。翅は淡黄色で外縁は幅広く黒い。各脚の爪は二又状。」

地中に巣穴を掘るのも,コガネグモ科のクモを狩るのも♀しか見ていない。♂を見るのはヤブガラシとアカメガシワに訪花しているときだけ。♂♀で様相がこれだけ違えば,別種と考えられて居たこともあったというのも肯ける。

2010.9.6





2010.7.2にもヤブガラシ群落で見かけたキオビクモバチ♂
 

キオビクモバチ♀ 2009.6.30

キイロハバチの幼虫か?

2010-09-03 | ハチ目(膜翅目)

鈴鹿川の河川敷にセンニンソウが白い花を咲かせていた。
その白い花やら葉をハバチの幼虫が大勢で食べていた。

『大阪府のハバチ・キバチ類』によると,キンポウゲ科のセンニンソウを寄主植物とするハバチはキイロハバチMonophadnus nigriceps (F. Smith, 1874)だけである。
しかし,寄主植物が知られていないハバチもたくさんあり,キンポウゲ科の別種を食べるハバチもいるので,この白っぽい幼虫がキイロハバチだとは言い切れないが,現時点では可能性が高いと思える。
いつか成虫を見つけたいものだ。
2010.9.2


キボシトックリバチのランデブー

2010-08-14 | ハチ目(膜翅目)

スズメバチ科又はドロバチ科(二説あり)のキボシトックリバチ Eumenes fratercula Dalla torre

津市河芸町一色の豊津海岸でキボシトックリバチのランデブーを眺めた。上になっているのが♂。二頭はくっついたまま腹部を動かしながら私から少しずつ遠ざかって行った。まことに仲むつまじく,うらやましく眺めておりました。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「体長13~17㎜。肢は基部を除き,黄褐色。頭楯は♂では全部黄色,♀では基部の約1/3,あるいは基部付近に黄斑を有する。斑紋は比較的変化が少なく,小楯板の2紋は消失しない。後胸背板の2紋は中央で連結する事が多い。本州・四国・九州に産する。」
腹部に一対の黄色斑紋がある。キアシトックリバチに良く似ている。

キアシトックリバチ
キアシトックリバチ巣
2010.8.10




ミゾソバ葉上のタデハバチ

2010-07-24 | ハチ目(膜翅目)

ハバチ科ハグロハバチ亜科のタデハバチ Allantus nigrocaeruleus (F. Smith, 1874)

鈴鹿市南部の丘陵地。休耕田にハンノキが生え,その下草はミゾソバが群生し,湿地となっている。
ミゾソバの葉上にハバチの雌雄を見つけた。

タデ科のミゾソバを寄主植物とするハバチに,ハグロハバチ属のタデハバチがある。
『大阪府のハバチ・キバチ類』によると,「上唇は全体白色.メスの頭盾は通常黒色で一対の白色紋を持つ.オスの頭盾は白色で上縁のみ黒色.オスは第9背板中央が白色になるほか,第3・4背板中央部に黄白色部がある.平地の農耕地周辺から山地の林縁部にまでみられるが,やや少ない.平地では,湿地化した休耕田等のミゾソバ群落周辺で時おりみられる.」また,分布は「北海道,本州,四国;台湾,中国」

私が出会ったこのハバチが真にタデハバチかどうか,いささか心もとないが,出現環境は申し分ない。体長は8ミリ弱程度。この雌雄はこの後すぐに姿を見失ってしまった。
また,会いに行きたい。
2010.7.22

キバラハキリバチ今年も

2010-07-15 | ハチ目(膜翅目)

キバラハキリバチ♂と今年も同じ海岸で出会った。
この日は2頭を見かけたが,どちらもハマゴウの株に居た。ハマゴウから飛び立っても直ぐに戻ってきた。
2010.7.12


変なポーズだが,直ぐに止めてしまった。


個体によってキバラの色具合が少し異なる。

今年の7月4日には,四日市市の砂浜海岸でも見かけた。三重県内の何ケ所の海岸で彼らは暮らしているのだろう。

海浜のキバラハキリバチ

フカイドロバチがマサキの花に

2010-07-09 | ハチ目(膜翅目)

スズメバチ科のフカイドロバチ Rhynchium quinquecinctum (Fabricius, 1787)

津市の豊津海岸。マサキの花を次から次へ渡り歩くフカイドロバチを見つけた。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「体長20㎜内外。本州・四国・九州;満州・沖縄等に広く分布する。孔筒中に泥の仕切りをして営巣する。幼虫の食物として,数種のメイガ類の幼虫が記録されている。」

この蜂は今まで見た記憶が無い。石川県では絶滅危惧種に選ばれているくらいだから,分布域が広いからといって個体数が多いとは限らない。『鈴鹿市の自然』には記録が無かった。
捕まえて,あの先生にお見せしたら喜んでもらえるだろうか。

2010.7.8



ツマムラサキセイボウ

2010-07-06 | ハチ目(膜翅目)

セイボウ科のツマムラサキセイボウ Chrysis splendidula Rossi, 1790

四日市市内の干潟でノブドウに訪花するツマムラサキセイボウに出会った。まことに美しい蜂で初見であるため,最初は写真も撮らず見惚れていた。花から花へ動き回って,どこかへ行ってしまった。30分ほど待って再会した。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「体長6~9㎜。腹部上面は光沢強く,第1・2背板は金紅色ないし紅紫色,♂は黄色味が強い。第3背板は菫青色で先端近くが緑色を帯び,後縁に4歯を備えるが中央の2歯の間隔はそれらと両側歯との間隔より小さい。キオビチビドロバチやトックリバチ類の巣に寄生する。旧和名ツマムラサキヨツバセイボウ。」

『鈴鹿市の自然』によると,鈴鹿川で9月に採れている。

今度出合ったら,捕まえてやろうと思っている。
2010.7.4




ヤマトムカシハナバチヤドリ

2010-02-11 | ハチ目(膜翅目)
ヤマトムカシハナバチヤドリ
コシブトハナバチ科のヤマトムカシハナバチヤドリ Epeolus japonicus Bischoff

津市の豊津海岸で2年前の秋に,キク科のコセンダングサに訪花したハナバチを見つけた。このほど,ようやく同定できたので紹介する。ヤマトムカシハナバチヤドリの雌である。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲには,コシブトハナバチ科の中で,学名をEpeolus japonicus Bishoffとし,ヤマトシロスジヤドリハナバチの和名で ,「体長♀9mm未満。体は黒色。前胸背板上の絨毛はやや黄味がかる。第1・2背板横帯は中央で切断される。第1背板基部にはあまり顕著でない白色絨毛がある。第5節先端にはにぶく灰銀色に光る短毛あり。秋季出現し,ヨメナ等の花に集まる。分布:本州・九州・対馬。」などとある。

秋に発生するアシブトムカシハナバチに寄生するという。
『鈴鹿市の自然』にはコシブトハナバチ科の記録は無かった。
2006年改訂版の千葉県レッドリストでは「生息環境は限られるが,個体数は多い模様」として,削除されている。

九大の昆虫目録によると,ミツバチ科とし,和名はヤマトムカシハナバチヤドリ,学名はEpeolus japonicus Bishoff, 1930 となっている。又,分布は 本州・九州・壱岐・対馬 としている。
記載者のスペルの相違はどちらかが間違えているのだろう。
2008.10.13

参考文献
宮本セツ,1960.Colletes,Hylaeus,およびEpeolus属花蜂の訪花性について 日本産花蜂の生態学的研究ⅩⅤ.昆蟲,28(2):13-130,日本昆虫学会.

ヤマトムカシハナバチヤドリ

アカオビケラトリ雌

2010-02-03 | ハチ目(膜翅目)
アカオビケラトリ雌
ケラトリバチ科のアカオビケラトリ Larra amplipennis (Smith)

2005.7.24 随分前の写真ではあるが,ようやく種の同定ができたので紹介する。
当時,マリーナ河芸の北に池と松並木と空き地があった。いろんな生き物が暮らしていた場所。楽しみいっぱいの自然観察ポイントであった。
このアカオビケラトリはマサキの葉上で死んでいた。
この辺りには,きっと彼らの幼虫の餌となるケラも住んでいたのだろう。
今は,みんな埋め立てられてしまった。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ギングチバチ科のケラトリバチ亜科に属し,アカオビトガリアナバチの別名で「体長16~18㎜。黒色で,腹部第1~3環節は赤褐色ないし暗赤色である。本州・四国・九州・奄美大島から知られ,土中に営巣,ケラを幼虫の餌として狩る。」とし,追記に「和名と学名は,アカオビケラトリ Larra amplipennis (Smith)。琉球列島では北琉球をのぞき広く分布する。」とある。

神奈川県のレッドデータブック2006では絶滅危惧1類に選定されている。「南方系のアナバチ」で,ギングチバチ科に属するとしたアカオビケラトリの生息環境について,「ケラを狩って幼虫を托す。したがって,多少とも湿地に近い平地に見られる」と説明している。私が出会ったのも,まさにそういう環境であった。

「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年)によると, 福井県では本種を日本海側の北限となる分布限界種として,B(県レベルで重要なもの)ランクに区分し,「海岸や河川敷の開発が進み,ケラが生息する砂地が激減し,本種も絶滅の危機にある.保護対策としてはケラが生息する自然のままの砂地を確保することが望まれる.」と保護対策の必要性を訴えている。
また,同書によると,ケラトリバチ科のアカオビケラトリは「日中,土や砂の中に生活しているケラを巧みに追い出し,一時麻酔をして動きを止め,卵を産み付ける.しばらくして,麻酔から覚めたケラは砂の中に潜る.卵からかえった幼虫はケラの体を食い終えて,その近くで繭を作り,約1 ケ月後に成虫となる.一般に狩り蜂は巣を作って獲物を貯えるのであるが,本種は巣を作らず,巣坑をもったケラに卵を産み付ける珍しい習性を持った蜂である.南方系の蜂で個体数も少なく,7 月から9 月にかけて,海岸や河原の砂地やアリマキのついている葉の上に姿を現す.」などと解説している。

『鈴鹿市の自然』によると,6月中旬に鈴鹿川の河川敷で記録されており,三重県内から初めて記録された種で,「ケラを狩り,地中に穴を掘り営巣する。本州・四国・九州・台湾に分布している」と解説されている。科はギングチバチ科としている。

九大の昆虫目録によると,アナバチ科のケラトリバチ亜科で,学名はLarra (Larra) amplipennis (F. Smith, 1873),アカオビケラトリの分布は「本州・四国・九州・奄美大島・西表島・台湾・フィリピン・タイ」としている。

私が標本にしたこの個体は三重県で2番目の記録となる。
この種が土中に巣を作るのか作らないのか,現在は何科に属しているのか,分らないことばかり。

オオムカシハナバチ雄

2010-02-03 | ハチ目(膜翅目)
オオムカシハナバチ♂
キク科のセイタカアワダチソウに訪花するムカシハナバチ科のオオムカシハナバチ♂ Colletes perforator Smith

2008.11.20 晩秋の田中川干潟で出会ったハナバチがこのほど同定できたので紹介する。

加藤 真.2006によると,「日本南部で晩秋に活動するハナバチとしてオオムカシハナバチが知られているが,(中略)晩秋のキク科植物との結びつきが深い(Ikudome 1989)」

原色日本昆虫図鑑(下)によると,オオムカシハナバチは「体長約12㎜。黒く,全体に黄白色毛を密生しているが,腹部ではやや疎らであり,第1~5腹節背後縁には灰白色毛による横帯がある。前伸腹節三角状部はあらい網目状の彫刻がある。分布:本州・四国・九州;旧北区。」とある。また,同図鑑によると,ムカシハナバチ科は「粘土質の地面に孔道をつくり,営巣する。大群になることはあるが孤独性生活で,孔道内部はニカワ質の液で薄い膜をはる。花粉媒介者として有益なものである。」などという。

日本生態学会全国大会 ESJ55(2008) 講演要旨に掲載されている「オオムカシハナバチの雄間闘争での体サイズへの温度の影響」(九州大学の楢崎裕美・粕谷英一)には,
「オオムカシハナバチColletes perforatorのような土中に営巣する単独性のハチでは、オスが先に羽化することが多く、オスが巣穴の出口付近で羽化して出てくるメスを待ち構えて交尾するという交尾様式が見られる。その際に、1個体のメスに複数のオスが集まって団子状の塊を形成して争うことがある。このような物理的接触を伴う激しい雄間闘争では、体サイズが大きいオスほど有利で高い交尾成功を得ると考えられている。」などとある。

九州大学の日本産ハナバチ類画像データベースの中に日本産ハナバチ類の科および属の画像検索表があり,それによると,日本産ムカシハナバチ属の特徴は,「体に毛が多い。メスの脚には発達した花粉運搬毛があり、後脚腿節の下面に花粉槽を形成する。前翅の亜前縁室は3個ある。複眼の内側上部にある顔孔は広い。」

参考文献
Ikudome, S. 1989. A review of the family Colletidae of Japan (Hymenoptera: Apoidea). Bulletin of the Institute of Minami-Kyushu Regional Science 5: 43-314.
加藤 真.2006.周防灘長島における海岸植物の訪花昆虫相.日本生態学会中国四国地区会報60:21-27
オオムカシハナバチ♂

オオムカシハナバチ♂