川口保 のブログ

1市民として市政を眺めつつ、社会のいろいろな出来事を取り上げています。

でこさん 行われる

2018-11-22 20:44:34 | 日記
                (子どもたちに担がれて「でこさん」が町内を廻る)
 
 子ども達が代官の人形を担いて地区内を廻る、松阪市嬉野津屋城町に元禄時代から約300年続く伝統行事「でこさん」が、満月の旧暦の10月15日にあたる11月22日に行われ、私も久しぶり見せていただきました。
 この行事は津屋城町自治会(鈴木修 自治会長 戸数約110戸)、「でこさん保存会(鈴木修 会長兼務)」と子どもたちの保護者などが中心となり進められます。

 この行事は元禄時代のある年に、台風と高潮が重なって田畑が水に浸かり、作物が大きな被害を受けたとき、紀州藩松阪領の代官が三渡川に架かる巡見橋(現在の巡見橋よりもう少し上流側にあった)付近の高台からその惨状を見て、村人の年貢米を免除しました。この行事はこのことに感謝して、代官が亡くなってから始まりました。戦時中も続けられていましたが途中一度中断したところ、その時疫病が流行ったため、また復活して現在に至っています。祭りの呼び名「でこさん」は「代官さん」が訛ったものと思われます。

 以前は男の子が武士の姿をして行っていましたが、子ども人数が多く参加できない子どももいました。最近は少子化の影響で、男の子だけでは成り立たず、平成20年(2008)からは女の子も参加しています。また以前は、でこさん人形を毎年藁や紙で作り、墨で顔を描いていたことから、囃子の言葉の中にある「でこさん 見とおくんな」はその年の出来映えが違っていたためです。現在のでこさん人形は京都の人形師に作ってもらったものを使っています。
 
 竹を井桁状に組んだ枠の中心に、代官をイメージした主役のでこさんの人形を乗せ、周囲は菊と南天で飾ります。また、でこさん人形には本来はその年に生まれた子供の産着を着せます。以前は満月の月が出たのを見てから出発しましたが、現在は午後5時に津屋城集会所を出発します。
 まず「先走り」と呼ばれる幼稚園、小学1年生から3年生の子どもたちが幟を立てて出発し、そのあとからでこさんの行列が出発します。でこさんは小学1年生から中学3年生までの子供たちで編成され、提灯を持った子供がでこさんの前を歩き、次いででこさんのみこし、その後ろには太鼓を叩きながら子どもたちが続きます。一番うしろには「しで」と呼ばれる先端に短冊を付けた竹を持って大人達が続きます。

 でこさんは、まず大門川に架かる大門橋に行って東の空の満月を礼拝し、町内の2つのお寺「常蓮寺」と「善勝寺」を廻ってから、各家を一軒一軒廻ります。その時『そーらい どびようし そろろえて やしし でこさん 見とおくんな 』と唱えます。その家の人がお供え(米やお金)をすると『おおきに おおきに』といって家を離れ、『わんよ わんよ』と言いながら道を走ります。次の家に来たら『さーんし そーらい どびようし・・・・』と繰り返します。

 以前は下竜王野(しもじょうの)地区まで廻っていたため、終わるのが午後11時ごろでしたが、数年前より行けなくなりました。それでも津屋城地内約110戸の全ての家を廻るのに5時間程かかるということです。以前は全て担いで廻っていましたが、今は途中から台車に乗せて廻っています。また以前は男の子だけで編成されていたましたが、少子化のため平成20年(2008)からは女の子も参加しています。

 大変忙しい中説明をしていただきました鈴木会長さんや地区の皆さんありがとうございました。各地で続けられてきたこのような行事が、少子化で存続が難しくなってきています。「でこさん」も300年もの長い間地域の人々によって、脈々と続けられてきた貴重な行事、いろいろ工夫しながら今後もぜひ続けてほしいと思います。
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