松阪市立田町の「中坪(なかつぼ)遺跡」で7月26日現地説明会が開催され、私も参加させていただきました。この中坪遺跡は鎌倉時代から室町時代にかけて発達した屋敷跡で、県営ほ場整備事業に伴い発掘調査が実施されたものです。昨年度に行われた第1次発掘調査に続き、今年度は4月から2次調査が行われたもので、今回は2次調査の説明会でした。
この日の説明会には三重県下から約60人の参加者があり、暑い中で、三重県埋蔵文化財センターの職員から熱心に説明を聞き入っていました。
今回の調査では、屋敷と屋敷を仕切る区画溝が3本あり、幅は2mを越え、深さも1.5mもあり、堀の役割を果たしていたと考えられるということです。また井戸が17見つかりこの内15は、鎌倉時代のものだということです。県の担当者の人の話では、井戸水は飲料用や農業用にも使われたのではないことでした。
建物跡は3棟分見つかり、柱を地面に埋め込んで建てる「掘建柱(ほったてばしら)建物」で、柱が下がるのを防ぐため、柱穴の中に根石が埋められていました。
この遺跡からは土器や須恵器(すえき)などの出土品もでており、茶碗や皿、煮炊き用の鍋や羽釜、また珍しい三足壺の脚部で「獣脚(じゅうきゃく)」と呼ばれる獅子の足を表した須恵器や、祭事用とみられる馬の歯も出ています。
この遺跡は約1ヶ月後に埋め戻され、このあとほ場整備の工事に掛かることになります。