川口保 のブログ

1市民として市政を眺めつつ、社会のいろいろな出来事を取り上げています。

中国人船長の釈放

2010-09-29 16:04:04 | 日記
 沖縄県尖閣諸島の日本の領海内で海上保安庁の巡視船に衝突して逮捕された中国漁船の船長が処分保留で釈放された。尖閣諸島は過去の歴史をからみても日本の領土であることに間違いないが、それが通用しないのが国家間の領土問題である。

 日本側から見れば犯罪者である船長が、英雄気取りでVサインをしながら飛行機のタラップを降りる様は、日本人の心を逆撫でし、腹立たしい限りであった。
 今回の船長の釈放を「弱腰だ」とする意見も多いが、話し合える相手ではない。船長が逮捕されてからの中国の出方は、フジタの社員の拘束やレアアースの通関停止など異常であった。日本側が日本の主張を通してこのまま船長を拘束していても、中国側の強行姿勢はエスカレートするばかりである。日本は「大人」の対応をしたのではないかと思う。
 このようなことは私たちの日常生活の中でもよく起きる。どれだけ激しい議論の応酬がなされていても、すじ道の通った話であればいくらでも議論ができる。しかし時として高圧的に無茶を通そうとする者が現れたとき、どうしても「大人」の方が引かなくてはならないことがある。私のこれまでの人生の中でもこのようなことが何度かあった。

 私も日中友好議員連盟の一員として、日中の友好・交流を進めていく立場にある。平成19年には議員連盟の訪中団の一員として訪中に参加し、今の中国を見てきた。北京オリンピックの前で、中国の経済的な発展はめざましく、いたる所で高層ビルの建設が行われていた。しかし急成長する経済の中で、いくつかのひずみも出てきており、車の排ガスや工場の煤煙に起因する大気を覆う「霧」や、都市と農村の格差、貧富の格差など国内的にも多くの問題を抱えている。またあまり外には出ていないが、政治に対する不満もくすぶっているのではないかと思う。
 このような状況の中で13億の民をまとめていくには矛先を外に向け、外国に敵を作っていくのがよい方法かも知れない。今回日本は格好の餌食となった感じである。

 それにしても船長が釈放された後も必要に攻撃してくるのは、異常としか言いようがない。中国の町を歩いていると日本や外国の一流会社に類似する看板が多く目についた。また中国にはコンピュータソフト、映画、音楽などのコピーがあふれ、「コピーまつり」なども行われている。国の威信をかけて開催した上海万博のテーマソングの盗作騒ぎもあった。国も国民も知的財産権に対する意識が低いためであろう。
 中国の経済はめざましく発展し、今後世界の中核を担う国になるであろう。しかし経済発展だけでは先進国の仲間入りはできない。世界の中で信頼される国家になるにはもっと「国家の品格」を磨いていかなくてはならない。日中友好議連の一員として中国にそれを望みたい。
コメント (1)
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