待ち合わせ時間

人々の日常の行動に大きな変化を与えたのが携帯電話です。特に待ち合わせ時間を守る意識が希薄になりました。携帯電話で、あるいはメールで連絡することで待ち合わせ時間に遅れることに抵抗がなくなったからです。日本人の律儀さに水を差した道具になっています。
昔は時間を守らないことで心がお互いに落ち着かないことを身を持って知っていました。知っていたからこそ、必ず時間厳守を実行していましたね。暑い、寒い、雨だ風が強いなどと悪条件の場合には、特に待たせてはいけないという緊張感すらありましたから、息を切らして走ったものです。こうした気持ちが携帯電話によって薄らいで来たことがボディーブローのように効いてきて、相手を思いやる気持ちすら薄くなって来たと思うのです。
ところで携帯電話がなかった時代には電車のなかで、どうしていたのでしょうか？新聞や雑誌に目を落としていたかも知れませんが、今の列車内の風景のように、ほとんどの人が携帯電話を覗き込んでいる状況ほどではなかったと思います。携帯電話を覗き込んでいると周りが見えなくなり、座席を譲るといった行為も壊滅的です。
もちろん便利な道具であることは間違いありませんが、優しさを携帯してこそ便利な道具です。