フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

社会規範

2011-05-28 23:00:23 | Weblog
先日、世界33ケ国、地域を対象にした社会的な規範意識がどれだけ強いかを調査した結果日本は8位となりました。社会規範というのは、社会生活を営んでいく上で守るべき法、道徳、習慣をいいます。つまり人間社会集団に於けるルール、慣習です。日本より社会規範の意識が強い国々は、1位がパキスタンで以下マレーシア、インド、シンガポール、韓国、ノルウェー、トルコの順になっています。分析によると、人口密度が高く、食料や水が手に入りにくい、さらに天災や疫病が流行りやすい国ほど規範を守る意識が強いとしています。
ところでこの調査を江戸時代に行ったとしたら、日本は必ず1位になったでしょう。というのも当時すでに100万都市だった江戸では、狭い町人の居住区で大勢の町衆が共生して行くために「江戸しぐさ」という規範をつくり非常に良く守られていたからです。例えば江戸の寺子屋の路地には「ここにごみ捨てるべからず」「ここに小便するべからず」という縦笛がわざと立ててありました。この立て札の「べからず」は「ごみを捨ててはいけない」「立ち小便をしてはいけない」という今の解釈とは違っていて、「そうすることはおかしい」と気づかせる為の立て札て「○○するな」という禁止ではなくおかしいことだと柔軟な頭に刷り込んだのです。こうした規範意識が大人になってもきちんと身についていたのです。江戸のよさを確認すべき時が今ですね。