ブレーキ掛けました?
いつかの運転練習会の時のお昼休みに、参加者のTさんを乗せて峠道に乗り出した時のこと。
パート練習メニューだけだと仕上がりのイメージがわかない!
と言ったような話になって、それならば百の説明よりも助手席で体感してもらうのが良いだろうと、本人持ち込みの車両を拝借して出かけた。
もちろん峠道とはいえ一般道であり対向車もありブラインドコーナーもある、アベレージは、どうだ見たかの速さでは無く、軽~く流す程度。
ところが、見せつけるような速さでなかったことが、かえって話をややこしくすることになった。
しばらく走った後、民家が見え始めたところでUターンしようと道路脇にクルマを止めた時に、Tさんが私の顔を見ながら、国政さん…今ブレーキ掛けました?
えっ!… はじめ何のことか分からず返事ができなかった。
どう考えても、いま来た道中の話の筈だ、コーナーごとに必ずブレーキを掛けていたし、ノーブレーキで回ったコーナーも無くはないが、一体何をしてブレーキ掛けましたなのか。
前向きなるGを体で感じられれば、どう考えてもブレーキがかかっている事が分かるはず。
はいブレーキ~・・・次にハンドル~・・・ここからアクセル~~
と解説付きでなかったのがいけなかった?
とか考えながらも、ブレーキは掛けてますよ!と、おかしな返事をした。
しかしTさんはもっと頭の中の整理がつかないのか黙ったまま、その返事ももらえないまま、会話が成り立ったのかどうか、未だにわからない。
低めの減速Gを、一発でスムースに立ち上げて踏力一定を保つと、
MT車でエンジンブレーキを効かせた時のような滑らかな減速感になる
・・・からフットブレーキを掛けた時についてきそうな、いかにもなGの変化がなかったから、先の発言になったのか・・・
このTさんの話は一度書いた気がするが、最近G-BOWLアプリの開発者のIさんと話していたら、
ユーザー情報の中に、踏力を一定にしたら低いGでも止まることができることに気が付いたと言う話があって、
今更ながら、踏力一定ブレーキの意味をおさらいしてみました。
「ニュートンブレーキのすすめ」、おさらいをしながら楽しく拝見しています。
以前のTさんのお話も強く興味を引かれました。
このTさん同乗走行時のGはどれくらいだったか教えていただけないでしょうか(0.2~0.3Gくらいでしょうか)。
峠道を流すように走っても同乗者がいつブレーキをかけたのかわからないような運転・・・。
これは自分が目指す理想の運転です。
踏力一定ブレーキから旋回~加速という流れの中で、「あっ。今、気持ちよくすーっと走れたな。」と感じたときは後でG-bowlアプリで確認するとボールが円に近い形で回っています。
うまくいかなかった時は、尺が甘かったために減速が早すぎて旋回前に一旦減速Gが抜けてしまい、曲がり始めてから横Gが増えるケースと、その逆で減速が足りなかったために曲がり始めてから減速Gより大きな横Gを発生させてしまうケースで、後者の場合は最悪、コースアウトですね。
いずれの場合も、ブレーキが旋回のみならずスムーズな運転の成否を握っているのだなとあらためて実感しました。
「尺」がポイントになるのはOさんが書きこまれている通りです。
踏力一定ブレーキを繰り返しているうちに、コーナーにアプローチする時の「尺」の精度が上がってきます…
と書くのは簡単ですが、人の感覚を鍛えていくには
相応の工夫が要ります。
そして、ここから先は他人が立ち入る事ができない領域です。
言えるのは、上手くなりたいと思い続けること。
そうこうしているうちに、「ある日突然説」が現実になります。
しかし、ある日突然がず~とやってこない人もいますよ!
心で「サボっている」人には、
き・ま・せ・ん。
ただ漠然と上手くなりたいと思い続けるのではなく、尺の精度向上には工夫と努力が必要であること。
「心がサボる」という言葉にはっといたしました。
一つぐらい自分に厳しいところがあってもいいんじゃないでしょうか、
運転を通して何人もの人をみてきましたが、自分に甘い人は、残念!がすぐに分かります。
厳しいと言うほどではないにしても、自分を甘やかしていない人の横に乗ると、おっ!が、伝わってきます。
なかなか誰かに褒めてもらえなかったりするのが運転ですが、怖がらせるよりはいい、くらいな気持ちで気楽に行きましょう。
レポーターの女性が、F1を引退した片山右京さんの助手席に同乗した後のコメント。
「ブレーキを掛けたのに気づかないぐらいのスムーズな運転をされるんですね」
この記事を読んでからは、私も常に実践するようにしています。
ブレーキも、そしてステアリングも。
個人的には同乗者に気遣いのわかるブレーキという表現もいいかと思います。
結果同じことなのかもしれませんが、ドライバーの仕草はクルマを介して伝わるものです。
ある意味こわいところでもあるのですが、うまくいけば安心を提供できます。
もちろんあの人の運転は「う・ま・い」というのももれなくついてきます。
私が参加しているサイトに書き込みがあってその内容は、今だポンピングブレーキを教える教習所があるそうです。解説には後続車に減速している事を知らせる意味とフェード対策だそうです。この時代にって思って呆れてしまいました。
どれだけ不愉快な操作なのか考えたこともないんでしょうね。
安全運転とも結びつかない気がします。