クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

サスペンションの相談

2023-07-28 14:34:10 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
知り合いから、最近手に入れたクルマについていたバネダンパーのキットが送られてきました。
どんな仕様なのかチェックして欲しい⋯

車高調整、全長調整、減衰力調整ができる優れものです。

減衰力値の測定から始めます。

これはダンパーの健康状態のチェックを兼ねています。

オイル漏れ、ピストンロッドの曲、傷も見ていきます。

それと作動ストローク寸法測定。

このキットの場合、フロントが110mm、リヤが140mm。

フロントに自由長180mmのバネが組み込まれているのですが、もしやと思ってバネストロークを計算してみました。

線径が11.7mm 巻き数が7巻なので11.7×7=81.9mm(全圧縮した時の計算上の寸法)

バネのセット長が178mm(プリロード2mm)

有効ストロークは178mm~81.9mm=96.1mm

ショックストロークが110mmなので、フルストロークする13.9mm手前でバネが底付きする計算になります。

さらにバネは全圧縮まで撓ませないで使うルールもあるので、バネストロークがさらに不足していることになります。

なので今回の組み合わせは当然NGです。

しかもバンプラバーが入っていない!

という結果が見えてきたのですが。

この先は知り合いと相談しながらです。




NA8C ロードスター用ドア内張をデザインしてもらいました

2023-06-30 10:03:34 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
ドア内張をデザイン

湿気で弱っていたドア内張のボードは、年月とともにドアから浮き上がって何とかしたい状態。

中古で出回っている純正品を探しても同じような年月を経ているので痛み方はそれなり。

テキトーな材料をカットして穴あけして⋯この方法なら綺麗に穴あけ加工されたボードが売られているので、
これにビニールレザーを貼れば修復完了。

なんですが。

FRP工房にお願いしていた試作品ができ上がってきました。



黒い方がFRP試作品一号、素の状態。

左側が内装用の赤い布を貼り付けて仕上げたもの。

内張を外した時に見えるドアの凹みを生かしたデザインをお願いしました。

室内空間が広がって見える視覚効果もあります。

平面剛性アップも。

それと端っこを切りっぱなしにするのではなく、
前後と下側をドアに抱きつくように回り込ませたので格段に剛性アップ。



カパッとドアに被せるイメージです。

取り付け前と後の写真。





FRPなので湿気の心配不要。



ブレーキのかけ始めがガツンとならない

2023-06-15 09:58:22 | NEWTON BRAKE
*写真1 NAロードスターの左ドア内張が、湿気でグズグズ。


NDロードスター用にワンオフしたゼロタッチバネと、
同じくワンオフのビルシュタインキットの相談に見えたお客さんが、

バネレートを上げると乗り心地が良くないのでは?⋯と
心配している様子。

一つには中古で手に入れたNDロードスターには買った時から車高調キットが組み込まれていて、
低速走行時の印象がよくない。

ここであれこれ説明するよりもと思って、この日整備に来ていたランサーのダートラ車(ナンバー付き)
を借りて同乗走行することにしました。

未舗装のダートコースを全開で駆け抜ける筋肉質のサスペンションは、乗用車然としたそれとは違います。

スポーツサスペンションは硬いはずだ⋯の思い込みを持って体感するには派手な外装も含めてうってつけです。

いつもののワインディングをドライブ。

・硬さの角がない、快適です。

おそらく初体験のスポーツサスペンションの乗り心地をこんな言葉で表現していました。

・それと⋯

・アクセルを離してからブレーキペダルに足を乗せ替えるのが素早いのにアクセルを離した時のショックがない、
 ブレーキのかけ始めがガツンとならない。

乗り心地のことより運転操作のほうが気になったようです。

・何かコツがあるんですか⋯

本屋さんで、営業バンが高速道路をぶ⋯を見つけたことがきっかけで来社。

Newton brake method本も読んでいます。

まっすぐにクルマが好きな20代。


*写真2 左ドアの方が痛みが激しく波打っています。


ホンダS800

2023-06-06 09:55:53 | イベントレポート
ホンダS800を修復してナンバーを取得。そしてクラッシックラリーに出る。

その活動報告会にお邪魔してきました。

ことの始まりは一本の電話から。

プロジェクト担当の先生から学生の話を聞いてやってください⋯

でサスペンション担当の彼らがやってきました。

リヤショックアブソーバーが錆びて使い物にならないので修復の方法を教えて欲しい。

聞けば予算ゼロ。

さらにショックアブソーバーについての知識もほぼ?

しかも完成期限が迫っているので、早急に現物を作り上げて実走行できるようになるまでの手順を、
彼らが描ける内容でという条件が付きます。

少々手荒な!?・・・ひとまずこんな方法で⋯を伝えました。

その後は学園に戻った彼らの努力です。

報告会の学生たちの声が自信に満ちていたのと、一年間プロジェクトを共にした先生方からも
とにかく楽しませてもらった、そして学生たちに向かって感謝の言葉をかけられていたのが印象的でした。

その会場には今年度のプロジェクトメンバーもいて、これから始まる一年間の試練を知ってか知らずか静かに聞く姿がありました。

先輩たちの発する熱量に比べ、火がついていない後輩たちはまだ冷ややかなまま⋯

陶器市

2023-05-23 11:04:17 | なんでもレポート
近所で開かれている陶器市に出かけました。

緑の季節に開かれる・第22回藤野ぐるっと陶器市

展示会場が10ヶ所!

藤野のあちこちを巡りながら楽しめます。

篠原の里(小学校の跡地)。窯元。藤野芸術の家。日連神社の境内・・・

電車でこられる人向けには巡回バス、路線バス、タクシーがあります。

パンフレットには近くの協賛飲食店の紹介もあります。

一番遠い会場から回り始めて、お昼ご飯は自宅でとって午後に残りの会場へ。

途中、会場内のブランコで遊んでいる子供を見守る両親に見覚えがあると思ったらご近所家族。

あちこち見て回って、色で選んだ"青い"コーヒーカップと、花瓶、銘々皿それぞれ一点ずつ、
違う作家さんから手に入れました。

エンジンがかからない!?

2023-05-19 15:56:40 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
エンジンがかからなくなったので修理をお願いできますか。

車両はインプレッサです。

可能なら今からローダーで持ち込みます、と少し焦った感じの連絡が入りました。

聞けばエンジン不調でディーラーで点検してもらったところ、ウチでは修理できないと断られ、
帰路でトラブル再発⋯道路脇からの連絡と言うのが今回の話。

幸い⋯と言っていいのかどうか、フロントマンに、
別のお客さんが過去にエンジン修理をしてもらったことのある工場として当社を紹介されたとのこと。

さらにローダーが入っていけないような狭い路地の奥に自宅があるので、
自走できなければガレージに辿り着けない。

なんとも困った内容だったのでひとまずどうぞ⋯

ローダーから手降ろしした後エンジン始動を試みると⋯キュルキュルブルンッと一発で始動。

しかし直後にカンカンカンと耳を塞いでも聞こえてきそうな強烈な金属音、
あわててエンジンカット。

・・・何日か後にエンジンを分解してみると、一番のコンロッドメタルがどこかに消えてしまっています。

(粉々になってオイルパンの底にべったり付着していました)

こうなれば、コンロッド大端部とクランクピンの間に、メタルの板厚分を差し引いたガタが生じるので、
シリンダーヘッドまでピストンが届いて金属音⋯

2〜4番の子メタルもペラペラに薄くなって打楽器になる寸前。

あまりというかここまで摩耗してしまっているメタルを目にしたことがありません。

この状態でエンジンが掛かって走行できていたことが驚きです。

時々持ち込まれる、息の根が止まったから仕方ない"修理に出すか"のパターン。

120km/h 走行の緊張感

2023-05-09 17:55:59 | ドライブレポート
久々の遠出。

120km/h区間で走っていて気がついたのが緊張感の高まり度合い。

100km/hまでのそれに比べて速度は1.2倍なのに、その延長線上というよりも"倍掛け"の印象です。

特に進路の修正、進路変更時の微少舵角の感度の変わりようが速度の変化以上に大きい気がします。

タイヤの回転数が増したことで、柔らかかったタイヤに張りが出て、わずかな舵角の変化により
敏感に反応し始めるように感じるのですが、確かな根拠はありません。

それまで感じていたハンドルセンター付近の遊び感も、一段と締まった印象になって、
より微少舵角でコントロールしなければならず、ハンドルを握る手に
何割増かの力が入っているのがわかります。

サスペンションブッシュが振動を浴びると硬度が変化する話を聞いたことがあります。

*検索すると情報が見つかると思います。

かなり高周波だったような気もするのですが、タイヤが路面を転がって発生する振動は
さまざまなのでその影響を受けて、物理的にも遊び感が減ったり、
舵角感度が変わることにつながっているのかもしれません。

全てのクルマで同じことが起きているかどうかわかりませんが、
思いのほか120km/h以下で走っている人が多いことから、
本能的に何か(不安)を感じ取っての行動のように思えます。

つまりクルマの発する不穏信号が100km/hを越えると急激に大きくなることから、
ドライバー自らリミッターをかけているのでは⋯⋯

と考えつつ無事戻ってきました。

気がつく?気がつかない?

2023-04-25 10:40:25 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
整備をお願いします。

運転練習用に最近手に入れたクルマがNBロードスター。
オーナーさんから、乗り出しの前に一通り整備しておきたい。
とメールがありました。

各部点検はもちろんのこと、気になる症状の項目が
・クラッチが重い
・MTの操作が重い、固い
・スロットル操作が微妙に引っかかる時がある(ごく僅かに開ける時)
⋯⋯原文のまま

クラッチが重い・・・
クラッチが重いは、クラッチディスクが摩耗して、クラッチカバーに
使われているダイヤフラムスプリングがコーン形状になって
重さを感じている可能性が一つ。
それか単純に強化クラッチに交換されているかもしれない。
他にペダル周りかレリーズベアリング周りの動きが渋くなって、
その重さがペダルに加わっているのかもしれません。

オーナーさんはこの中のどれかをおかしいと感じているのです。

ここがポイントで、不思議なことにクルマの操作系には重さの約束がある、
というのをほとんどの人が知っています。
つまり、これは正常ではないが分かるとも言えます。
人の道具を扱う本能!?とでも言えばいいのでしょうか。

MTの操作が重い・・・(シフトレバー操作)
これも同じで操作した時に何かおかしい!
しかし、このことに気がつく人と「乗りこなしてしまう」人がいます。

そこの境目はわかりませんが、気がつかない人でも正常なものと乗り比べれば、
その違いがわかるはずです。

スロットルが・・・
これについては、言われてみればそうだ!という人と。
知ってはいたけど時々だし、異常とは思っていなかった!
くらいの印象でとらえている人が多いかと。

でもそれが気になる人がいるんです。

クラッチが重いのは純正部品に、
スロットルとMTのシフトについてはオリジナルの"対策部品"があるので作業は簡単。

しかし⋯この"対策部品"は気がつく人向けのチューニングパーツ。

気がつかない人には無用の〇〇ということです。


乗り心地

2023-04-15 13:50:59 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
このクルマの乗り心地は◯◯◯。

その一言がズバリ的を得ていることがあります。

クルマのメカニズムに精通しているわけでもないし世間の評価も知らない。

女性の直感からくる一言。

どんな巡り合わせかこの手のドキッとコメントを幾度となく聞いています。

・コツコツする乗り心地が気になる。

これはルノーツインゴの印象。

この「コツコツ」を紐解いていくと、軽いショックと繰り返し入力であることが想像できます。

こんなシーンで起きる⋯を言われていないので、普段の道、良路でも起きているだろうこともわかります。

オーナー夫婦は、履いているタイヤの影響かあるかもしれないと考えて、
インチダウン、扁平比も1サイズアップして入庫。

さらに、新車購入前に試乗もしているので、その時には気が付かなかった⋯

購入後、旅の足として長距離で乗っているうちになんとなく気になり始めた。

それがコツコツする乗り心地⋯

試乗経験のある方でも、言われてみればそんな印象があったような
⋯程度の記憶に残るか残らないかの仔細なコツコツ。

助手席の人の一言にグゥ〜となったことはありませんか。

写真は村の厄神祭の参道作り。




データシート

2023-03-30 17:23:49 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
サスペンションのアライメントデーターをメモするためのデーターシートを
日々使用しているのですが、コレくらい作っておけばこの先しばらくは使えるはず⋯
と思って、作っておいたのが、最近になって残り少ないことに気がつきました。

一冊/100枚綴りで、20冊。

1ページに4回分のアライメントデータが書き込めます。

フェンダーアーチハイトと呼ばれる、ハブセンターとフェンダーアーチ間の寸法。
つまり車高からメモが始まります。

さらに・タイヤキャンバー角・サイドスリップ寸法(トーイン表記ではなく)・0G-1Gのホイールストロークなどを記録します。

仮にアライメント調整作業で入庫してきたとしたら⋯

入庫時のデーターと調整作業後のデーター、その後の試乗を挟んで、
足回りが馴染んだところでもう一度チェックして出庫時(引き渡し時)のデータを記録、
三段目まで書き込むことになります。

サスペンションキットを組み付ける場合だと、車高、ホイールストロークがどう変わったかを記録します。

白紙のメモ用紙でも事足りるのですが、データシートが重宝しています。

そろそろ印刷屋さんに注文せねば。