シネマと虎とグルメたち

犬童一心監督作品に「ジョゼと虎と魚たち」があった。オイラは「観た映画が面白くて、美味いもの食って阪神が快勝」を望んでる。

惜別 池辺良

2010年11月30日 | 映画
朝方に雇用保険申請に必要なアンケート用紙を入手するためハローワークでの求人検索に行く。
そちらを出ての帰り道に京阪百貨店内にある喫茶店に向かう。
この喫茶店は喫煙スペースの席がガラスのはまった間仕切りで一段上に用意されている。
隔離部屋ではなく広々として席数もあり、店内にはジャズが流れていて落ち着ける場所で時折利用する。
モーニングセット(380円)をコーヒーで頼むとトーストにゆで卵が付いてきて、コーヒーはマグカップで出されるので長居ができるのだ。
そちらで煙草をくゆらせながら昨日購入した「奇縁まんだら」を読んで行くうちに三島由紀夫のページに出会った。
いつの間にか行間を目で追うだけになっていて、意識は「そういえば三島由紀夫は亡くなる直前の映画芸術で石堂敏郎と対談していて昭和残侠伝の池辺良さんを随分と称賛していたな」などとあらぬ方向に向いていた。
たしか、「何よりも池部良が良かった。あの淋しさと暗さが何ともいえない」などと語られていたはずだ。
なぜ意識朦朧(もうろう)として、そんなことを思わせたのかと言えば、昨日、池辺良さんの「お別れの会」があったからに違いない。
そして、出席された女優の岸恵子さんがテレビのインタビューに応じておられ「芝居が出来ない、セリフを覚えないと言われながら、ずっとスターでおられたのはなんてすごいことか」と述べられていたことなどが次々と連想ゲームのごとく駆け巡ったことにもよる。
池辺良さんの代表作は篠田正浩監督の「乾いた花」なのだろうが、僕はやはり「昭和残侠伝・死んで貰います」の風間重吉がよい。
主演の高倉健よりも絞り出すような声と渋みのある表情を見せる彼の姿が瞼に浮かぶ。
すこし眉間にしわを寄せて苦渋に満ちた表情をされるのは戦争体験によるものだろうか?
陸軍中尉としてフィリピンの島で戦い「かわいくもないが憎くもない。そん相手を殺す。なぜこの戦争をしているのかわからなくなった」と語られているのを聞いたことが有る。
体験は人の顔を変えるのだろうか?
人生が顔に出ているような役者さんが少なくなったなあと思えば思うほど、池辺さんの御冥福を祈らずにはいられなかった。
参加されていた八千草薫さんは79歳で、岸恵子さんは78歳だそうだ。綺麗だなあ~。
特に長生きをしたいとは思わないけれど老醜はさらしたくないなあと思う。
池辺良は最後まで二枚目だった。
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2 コメント

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Unknown (tora)
2010-11-30 16:18:52
どこの誰かが話しされていたのかは忘れましたが、池部良さん、最後の最後まで凛としたお姿で背筋をまっすぐに伸ばして椅子に座られていたそうです。

歳をとると椅子に座るのもだら~んとしてしまうのに、凄いな、と正直思いました。
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追悼上映 (館長)
2010-11-30 19:01:26
テレビ放映された「昭和残侠伝・死んで貰います」がビデオに録画されて残っています。
我が家ではビデオデッキが1台になっていしまっていてチャンネル権のない私は今日は見ることが出来ませんでした。
明日には見る予定です。
役者さんて往年の姿を残しておけるのが羨ましいです。
凛とした人って少なくなってきましたからねえ…。
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