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シネマと虎とグルメたち

犬童一心監督作品に「ジョゼと虎と魚たち」があった。オイラは「観た映画が面白くて、美味いもの食って阪神が快勝」を望んでる。

ディア・エヴァン・ハンセン

2021年12月02日 | 映画
定期健診の日で、これまではコロナを酒て車で行っていたが、今回は久しぶりに電車で病院まで行った。
マイナンバーの読み取り機が置いてあったので、マイナンバーが保険証として使えるのか確認したところ、まだ完璧ではないので保険証も持ってきてもらっているとのことであった。
検査を終えて梅田に出て映画館巡りを行い、12:30からの「ディア・エヴァン・ハンセン」を見た。

「ディア・エヴァン・ハンセン」

監督 スティーヴン・チョボスキー
出演 ベン・プラット
   ケイトリン・デヴァー
   ジュリアン・ムーア
   エイミー・アダムス
   アマンドラ・ステンバーグ
   ニック・ドダーニ
   コルトン・ライアン
   ダニー・ピノ

ストーリー
母と2人暮らしの高校生エヴァン・ハンセンは、家族にも心を開けず学校にも友だちのいない孤独な日々を送っていた。
彼は秘かにゾーイに思いを寄せていたが話しかけることもできない。
ある日、セラピーの一環で自分あてに書いた手紙を、ゾーイの兄で同級生のコナーに持ち去られてしまう。
持ち去られた手紙には誰にも知られたくないエバンの「心の声」が書かれていた。
後日、校長に呼び出されたエヴァンは、コナーが自殺したことを知らされる。
コナーがエヴァンから奪った手紙を見た悲しみに暮れる両親はコナーとエヴァンが親友だったと思い込む。
彼らを悲しませたくない一心で、ありもしないコナーとの思い出を話して聞かせるエヴァンだった。
やがて思いやりからついた嘘はコナーの両親と周囲の人たちの心を打ち、勇気を与え、SNSを通じて世界中に広がっていく。
思いもかけずに人気者となったエヴァンは戸惑いながらも充実した学校生活を送るようになるが、思いやりでついた嘘は彼の人生を大きく動かし、事態は思いもしない方向へと動いていく。

寸評
思いやりからついた嘘が思いもかけずに亡くなった同級生の両親と周囲の人たちを勇気づけ、心を打っていくという展開に引き込まれるが、ミュージカル映画として唄われる歌に唐突感がないのが一番いい点だ。
はでなダンスシーンなどないが歌の中身はセリフそのものなので歌われるシーンに違和感がない。
エヴァンは人とうまく付き合えないでカウンセリングを受けているのだが、歌うことによって思ったことがメロディに乗ってあふれ出すのだ。
ゾーイは兄のコナーから迷惑ばかりかけられていて兄妹仲は良くなかったようだが、エヴァンによって実は兄は妹のことを気にかけていたのだと教えられる。
しかしそれはエヴァンが憧れのゾーイをずっと見守って来たから気付いたことで、青春の恋が伝わってくる。
嘘が嘘を呼び、彼の作り出す架空の話は成長を遂げていくのだが、エヴァンの妄想は彼自身が憧れていたことで、嘘を本当のことと信じたかったのは彼自身だったのだ。
SNSを通じて情報があっという間に広がる良さと悪さが同時に描かれていて考えさせられる。
孤独に悩む人を勇気づけ、クラウドファンディングに賛同する人たちから善意の寄付も集めることができる。
遺書がネット上で公開されたことで、今度が家族へのバッシングが巻き上がり、一度火のついた攻撃は止めようがなくなる。
ミュージカル映画が持っているキラキラ感やワクワク感もないし、ハッピーエンドで終わっているわけでもないが、心に沁み込んでくるものがあるミュージカル映画である。
それは社会に適応でない人や、SNS上でしか人と繋がれない孤独な人たちの存在が身近にいるからだろう。
エヴァンは自らが犯した間違いによって苦い経験をいたが、しかし社会に一歩踏み出すことはできたと思う。
嘘が分かった時にゾーイの両親がお互いをけなし合うし、エヴァンの母親も息子と意思の疎通ができていた言えない。
取り繕いが関係を丸く収めていることのあり、その事を描き込んでも良かったかもしれない。
それにしてもアメリカのミュージカル映画における底の深さに驚かされる作品であった。