東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 20年の借地契約の途中で堅固建物へ建替えると契約期間は30年に自動的に延長される

2015年06月24日 | 契約・更新・特約

 (問)  平成7(1995)年に父名義で借地の更新をした。その3年後に父が亡くなり、私が借地権を相続した。建物が老朽化していたので、平成15(2003)年に建替承諾料290万円を 支払って木造2階建てから鉄骨4階建てへ建替えた。だが、借地契約書は父名義・存続期間20年のままで、契約書を書換えずにいた。
 地主は20年経ったので借地の更新だと言って坪10万円の更新料を請求してきた。建替承諾を受けて堅固建物を建てたのだから、契約書を取交わさなくても、存続期間 30年の契約に自動的に延長されるのではないか。


 (答) 借地借家法は平成4年8月1日から施行されている。それ以前に設定された借地権については「建物の滅失後の建物築造による借地権の期間の延長に関してはなお、従前の例による。」(借地借家法附則7条)とされている。この場合には旧「借地法」が適用される。

  借地法7条は借主が残存期間を超える耐用年数のある建物を再築することに対して貸主が遅滞ない異議を述べなかった場合、借地権は建物滅失の日から、堅固な 建物については30年間、その他の建物については20年間存続する。但し、残存期間がこれよりも長い時はその期間による。このように建物再築による期間延 長を規定する。即ち再築による法定更新を定めている。

 ここでの「滅失」は「建物滅失の原因が自然的であると人工的であると、借地権者の任意の取壊しであると否とを問わず、建物が滅失した一切の場合を含む」(最高裁昭和38年5月21日判決)。即ち、火事による建物の焼失や地震・台風による建物の倒潰の他に借主が再築のために建物を取壊す場合も含まれる。

 借地法7条にある貸主の異議申立ては、貸主の正当事由は必要がないが、存続期間の延長を妨げるだけのものである。貸主が異議を述べても借主は建物を取り壊す必要はない。従来の存続期間が満了した時は、借地法6条による更新の規定が適用される(最高裁昭和47年2月22日判決)とされているので、借主は法定更新を主張できる。勿論、借地法4条の更新請求による法定更新も主張できる。

 なお、借地法4条、6条による法定更新の場合は朽廃による借地権の消滅が問題になるが、7条による法定更新の場合は期間の途中で朽廃があっても借地権は消滅しない点に違いがある。

  結論、 相談者の場合は、平成15(2003)年に貸主が堅固建物への建替えを承諾しているから、貸主からの異議申立ては無かったことになる。従って、借地法7条の規定から借地権 の存続期間延長の起算点は旧建物滅失した時からである。即ち、旧建物を解体し、取壊しが完了した日が起算点となり、存続期間30年の借地契約が法定され、平成15(2003)年から30年間の借地期間の延長を主張出来る。借地権の存続期間は2033年迄である。
 貸主には18年後が更新時期と主張し、更新料問題に蓋をして、先送りしておけば、問題は終了である。更新料の不払いは18年後の宿題である。

 参考として借地法7条の条文上は存続期間の起算点は「建物滅失の日」となっている。しかし、20年以上も時間が経過すると滅失日が確定できない場合もある。そこで「建物保存登記日」を存続期間の起算点とした例もある(東京地裁昭和48年7月25日判決)。

 また、建替承諾の許可の裁判確定の時を存続期間の起算点とした例もある(千葉地裁昭和43年7月11日判決)。

 借地借家法(7条1項)では「借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続する。」となっている。

参考法令 (借地法
第7条 借地権の消滅前建物が滅失したる場合に於て残存期間を超えて存続るべき建物の築造に対し土地所有者が遅滞なく異議を述べざりしときは借地権は建物滅失の日より起算し堅固の建物に付ては30年間、其の他の建物に付ては20年間存続す
但し残存期間之より長きときは其の期間に依る

 

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