東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 礼金は広義の前払い賃料であり、中途解約の場合は返還義務がある

2014年04月17日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

  一般的には、借家契約時に支払われる一時金として①礼金、権利金、敷引金等、②敷金、保証金等がある。

①は、通常は契約満了の場合、返還請求ができない金銭として扱われている。 
②は、契約終了後、賃借人に債務不履行がなければ、全額が返還される預金とされている。

 通常、礼金は戻らない金銭と説明されている。しかし、礼金が返還されることがある。その一例は、平成23年の大阪簡易裁判所の判例である。具体的に判例を検討してみたい。

 礼金は、前払賃料であり、中途解約でも返還しないとする契約内容は消費者契約法10条に反し無効である。未使用期間分の前払賃料相当分は返還義務がある<大阪簡易裁判所 平成23(2011)年3月18日判決(確定)>。

【事案の概要】
 賃借人は2009年12月24日、月額賃料3万円、礼金12万円で賃貸住宅を1年契約で入居した。しかし、僅か1か月と8日使用しただけで、2010年1月末に退去した。
 賃借人は、賃貸人である不動産会社に対し、不当利得として礼金12万円を返還すべきとして大阪簡易裁判所へ提訴した。

【裁判での争点】
 礼金条項は消費者契約法10条により無効か

【賃借人の主張】
 礼金の支払いは、民法上にない義務を賃借人に負わせるものであり、礼金条項は信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものとして、消費者契約法10条により無効である。賃貸人である不動産会社は、不当利得として礼金12万円を返還すべきである。

【賃貸人の主張】
 礼金の返還は認められない。


【裁判所の判断】
 賃貸借契約締結の際に礼金は返還しない金員であると当事者間で合意したとしても、そのような合意は中途解約の場合に、「前払分賃料相当額が返還されないとする部分について消費者の利益を一方的に害するものとして一部無効である(消費者契約法10条)」と判決した。

 従って、礼金は実質的・経済的に見て建物の使用収益の対価として授受されている広義の前払賃料であるから、「予定した期間が経過する前に退去した場合は、建物未使用期間に対応する前払賃料相当額を返還すべきである」。

 その一方で、賃借人が主張した礼金条項は消費者契約法10条違反に対しては、「礼金の主たる性質は、広義の賃料の前払いであるということができるが、その他にも程度は希薄であるものの賃借権設定の対価や契約締結の謝礼という性質をも有している」と説明し、「礼金は一定の合理性を有する金銭給付であり、礼金特約を締結すること自体が民法1条2項に反して消費者の利益を一方的に害するものであるとはいえない」として有効性を認めた。

【裁判所の最終判断】は、
 1か月と8日間しか本件建物を使用せずに退去している。8日間分を1か月と換算したとしても、前払賃料として礼金12万円から控除できるのは1万円×2か月分=2万円ということになる。礼金の副次的な性質である「賃借権の設定の対価」と「契約締結の謝礼」分1万円を考慮すると、礼金から控除できるのは金額は3万円ということになり、差額9万円は賃借人へ返還すべきである。

 


 

 

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