知っている人は知っているハワイの男性デュオ、Mango(マンゴー)による1984年のアルバム。メンバーはKenneth Makuakane(ケネス・マクアカネ)とCarl Villaverde(カール・ヴィラヴェルデ)の2人で、共にヴォーカル以外にもギターとウクレレ演奏を披露していますが、マクアカネの方は更にプロデューサーと全曲の作編曲まで務めており、どちらかと言うと彼のプロジェクトというイメージが強い作品です。ちなみにこのマクアカネ、一般層には知名度が低いですが実は現在に至るまでコンテンポラリー/トラディショナル問わず第一線で活躍しているハワイアン・ミュージック最重要人物の一人。そのため本作は、そんな彼のアーリー・ワークスという観点で鑑賞してみるのも面白かもしれません。全体的にいなたく湿度が高めな作風となっているため、洗練されたAORのみを好むリスナーには不向きですが、ある程度ローカライズされた作品にも耐性がある方なら問題なく楽しめるはず。以前ここでも紹介したトマ/ナットの1st辺りに似た質感の一枚です。コンテンポラリー・ハワイアン好きとしては、疾走するウクレレ&ビートに控えめなエレピとライトメロウなヴォーカルが乗るB-1のHonoluluや、落ち着いたサックスが夏の夕暮れを感じさせるB-5のSunny Daysあたりが聴きどころ。特に前者は近年リイシューされたCountry Livingやバート・バスコーンのファンにも訴えるものがあると思います。これからの季節、トロピカルなカクテルでも飲みながら聴くのにも最適。なおリリース元がTropic Express Recordsで規格番号がTER-1001なので、おそらく限りなく自主盤に近い一枚かと思いますが、昨今のコンテンポラリー・ハワイアン再評価に伴い最近では中古屋では時折見かけるので、気になる方は買えるうちに買っておいた方が正解かと。この夏、お勧めの一枚です。
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