正直そこまで曲自体が好きかと言えばそうでもなく、まして辰緒さんのカヴァー以外は全く興味がなかったのですが、あまりのジャケの可愛さについつい手が伸びてしまった一枚。今年の2月にリリースされたDimitri From Parisプロデュースによる同タイトルのアルバムからのアナログ化です。アルバム自体は「おしゃれキャット」の邦題を持つディズニー映画The Aristocatsに捧げられたコンピレーションで、日本人のクラブ系アーティストなどを中心に現代風フレンチ・ポップスを作っってみましたという企画盤。そしてその中からDJに人気が高かった4曲がアナログ・カットされたそうです。というわけで4曲全てがクラブ向けなのですが、やはり個人的にはB-4に収録されたSunaga t ExperienceのThe Aristocatsが最も好みですね。まぁ正直なところ毎度お馴染みのオシャレ系ラウンジ・ジャズで「まんねり」感は否めないのですが、それでもピアノの太宰百合さんを中心に流石に演奏レベルが高く、変に気張ることなく安心して聴いていられます。これ以外の曲では意外なところでB-1に収録されたDJ JinによるLes Cactusがなかなか悪くないジャジー・ブレイクビーツ。僕が知っているライムスターのDJとしての彼とは一味違った雰囲気で、聴いていてなかなか面白い曲ですね。とりあえずディズニーの限定ものということで、毎度のことながら凄い早さで市場から消えると思います。興味がある方はお早めにどうぞ。
久々の紹介となる山下達郎です。前述の「サーカス・タウン」や「あまく危険な香り」同様こちらのLPも昔から気に入っている作品。彼の作品の中で夏といえばやっぱりこのアルバムですね。とにかく冒頭A-1を飾るSparkleが奇跡。イントロの爽やかなギター・カッティングが流れてきた瞬間に、周囲の雰囲気はあっという間に夏に変わります。まさに七つの海を駆け抜けるシティー・ポップス~J-AORの大名曲。中盤で豪快にうねり出すホーンのソロや終盤での女性コーラスも最高です。数年前にMuroさんがBooの曲でサンプリングしていてクラブ・ヒットとなりましたが、やはりオリジナルの方が格段に素晴らしいですね。続くA-2のMusic BookもAORの名曲で、こちらは「あまく危険な香り」のカップリングにもなっています。Sunaga t ExperienceがカヴァーしたA-4のFutariも紛うことなきグルーヴィー・チューン。聴くたびにジャジーで大人っぽいピアノにメロメロになります。もちろん大ヒットしたB-1のLoveland, Islandもとびきりポップなサマー・ミュージック。本当に全てにおいて捨て曲なしの大名盤。海辺へのドライブに向かう途中、ラジオからこんな曲が流れてきたら最高ですね。
どことなくエレガントな白黒のジャケットからして既に素敵な80's Jazz Vocalの一枚。オリジナルはそこそこレアな上に値段も多少張りますが、優良再発レーベルCelesteから2001年にリリースされた盤は比較的安価で手に入ります。まぁアナログは限定だったので、探すと何気に見つからないものなのですが・・・。このアルバムと言うとCafe Apres-Midiのコンピにも収録されたA-4のYou're Freeが有名で、その影響からかブラジリアン度が高めな気もしてしまうのですが、意外にも良い意味で普通のジャズ・ヴォーカルらしいスウィンギンな曲もたくさん入っています。特に僕が気に入っているのがA-6のHaunted Heartという曲。クラブ的にどうこうということではありませんが、夜中に一人で聴いていて気持ちいいジャズ・ヴォーカルです。全体を通してピアノ・トリオによる演奏が主ですが80年代ということで録音が良く、各楽器の音色の一つ一つの粒がよく立っている気がします。フェンダーローズが心地よいブラジリアン・フュージョンのB-1、Let The Music Take Youも素晴らしい名曲。この辺りのジャズ・ボッサものは90年代後半~00年代初頭の爆発的な人気に比べればかなり下火となっていますが、やはり今聴いても素直に良いと思えるものが多いです。CDでもリリースされているので是非手に取って見てください。