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At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Bildsprak / Ingmar Johansson

2013-07-05 | CCM
スウェーデンのCCM系シンガーソングライターによる1979年の2ndアルバム。とある現地のレコードディーラーが「発見」したことで、今から6~7年前に一部コミュニティで大きなブームとなった作品です。ピーク時は3万円くらいの価格が付けられていたこともありましたが、4年ほど前にCreole Stream Musicから編集盤CDがリリースされたことで徐々にブームが沈静化。最近では相場も随分と落ち着き、数千円で取引されているようです。当地のスモールレーベルからリリースされていることもあり、レアリティ自体はそれなりだと思いますが、単純に内容からだけ考えると今くらいの値付けがまぁ妥当なところでしょう。注目曲はなんといってもA-2のEleanor Rigby。原曲は1966年にYellow Submarineと両A面でリリースされたビートルズの13rdシングル曲ですが、本作ではそれをオリジナルとは似ても似つかぬ驚きのボサ風Pre-AORアレンジでカバーしており、発見当時、僕自身を含めコミュニティに属していた一部のメロウグルーヴ愛好家連中は大いに舌を巻いたものです。ミディアムアップなボサ・リズムにメロウなエレピと切ない歌メロが乗るその大胆なアレンジは、否が応にも以前フリーソウルで人気のあったホセ・フェリシアーノのGolden Ladyを想起させるものであり、フリーソウル好きの求めるサウンドそのもの。僕自身、正直オリジナルであるビートルズの演奏にはまったく食指が伸びないのですが、こちらのイングマール・ヨハンソンのアレンジは趣味ど真ん中です。しかしながら残念なことに、この曲以外のナンバーは比較的凡庸な出来。時折取り上げられるB-1のAnnaもこの時代にはよくあるタイプのPre-AOR作品なので、特筆すべきところはありません。結局たった1曲のキラーのために幾らまでペイ出来るかということが争点になるわけで、そうした観点で考えると今の値付けは比較的需要と供給のバランスに上手くマッチングしているものではないかと思います。ちなみに件のCDにはこの曲を含めPre-AOR系の目ぼしいナンバーは全て収録済。僕自身はLPで買いましたが、特にこだわりがなければ編集盤CDを購入するのも一つの手でしょう。あいにくCDの方も既に廃盤となってしまっているようですが、中古盤屋を熱心に漁ればそれほど高く値段で見つかるはず。興味があってまだ聴いたことがないという方は是非探してみてください。

Signature / Scott Wesley Brown

2013-06-16 | CCM
フィラデルフィア出身のCCM系シンガーソングライターによる1982年のアルバム。CCM畑の人ということもあり、日本ではあまり取り上げられているところを見たことありませんが、音楽活動を開始した70年代中盤~現在にかけて実に24枚もの作品を残す多作の人で、本作は彼の7作目にあたります。基本的にはCCMにありがちな優しい白人男性ボーカルものと言った雰囲気ですが、時代がらAOR寄りな楽曲が幾つか収録されており、AORファンにとっても楽しめる一枚。雲を突き抜けるかのような爽快感が気持ちいいB-2のThere Is Power、産業ロック風の演奏で聴かせるA-3のWorkin' Out The Details、山下達郎を思わせるアップテンポなB-4のYou Are The One辺りはそうした観点で聴いても普通に問題なくイケるかと思います。ポップな曲であってもメロディーラインはあくまで優しいというCCM特有の音作りが、いわゆるライトメロウ系のサウンドを好む人にとってはツボかと。おまけにこのスコット・ウェズリー・ブラウンの場合、曲だけではなく声もいわゆるAOR声のため、その点でもポイントが高いです。そして、そんな彼の魅力がもっとも詰まっているのがA-1のWithin His Joy。ジム・シュミットも取り上げていた曲ですが、こちらの演奏はそのジム・シュミット版よりも遥かにAORしていて、フリーソウル受けが良さそうな仕上がりになっています。爽やかな朝を感じさせる冒頭のシンセの音、心地よく跳ねたリズム、優男風の甘いヴォーカルに中盤の都会的なギターソロと、最初から最後まで完璧な一曲。ブルース・ヒバードのNever Turnin' Backが好きな人ならハマること間違いないなしでしょう。残念ながらCDでのリリースはないようですが、アナログなら安く手に入れることが出来ると思うので、気になる人は是非。ギターのイラストが描かれたジャケットの雰囲気も良いし、個人的には非常にお勧めの一枚です。

Willing Heart / Kelly Willard

2013-06-10 | CCM
一部では女性版ブルース・ヒバードと呼ばれ、非常に人気の高い1981年のCCM作品。オリジナルのLPは日本での流通量こそ少ないものの特段希少性が高いわけではなく、海外から購入すればわりと安価で購入できるのですが、リイシューのCD(-R)は一般には流通していなかったため、CD派の人にとっては先日の韓国主導によるオフィシャルリイシューまでは、なかなかに聴くのが困難な一枚でした。内容的にはAORというより、普通に良質な女性ヴォーカルもののポップス。最大の特徴は透明感溢れる慈愛に満ちた美声で、少なくとも僕はこの路線で正直ここまで良い声を持つ女性シンガーというのを他に知りません。ただ、冒頭にも書いた女性版ブルース・ヒバードという評価については個人的に少し疑問。たしかに演奏メンバーにはハドリー・ホッケンスミスやハーラン・ロジャースを始めコイノニア人脈が多数参加していて、収録曲の中にはヒバード自身との共作などがあったりもしますが、そもそも作品の毛色自体がまったく異なっているので、この作品を女性版ブルース・ヒバードのアルバムと言い切ってしまうのは少し語弊があるかなと思います。前評判から勘違いしてしまいがちですが、本作にはブルース・ヒバードと聴いて多くの人が思い浮かべるであろうNever Turnin' Backのような、いわゆる跳ね系のAOR作品は収録されていません。アルバムの大半を占めるのはミディアム~スロウなヒーリング系ポップスなので、その点はゆめゆめ誤解なきように。もっとも、だからと言って作品自体の出来が悪いかというとそんなことは全くなく、特に人気が高いA-3のComfortable With YouやB-1のHold Onあたりはカーペンターズを少しライトメロウ寄りにシフトさせたかのような曲で、アルバム曲中でも会心の出来となっているのでご安心ください。ケリーの歌声含め全体的に非常に優しい作風となっているため、忙しい毎日に疲れほっと一息を付きたい人にお勧め。現在では入手に苦労するような作品ではないので、興味のある人は探してみても良いかもしれません。

Tony Comer & Crosswinds / Same

2013-06-08 | CCM
CCMの大手レーベルWord傘下のMyrhhより1980年にリリースされた一枚。全曲でリードヴォーカルを務めるトニー・コーマーと、その仲間7人によって結成された黒人ヴォーカル&コーラス・グループの1stです。一般的にはゴスペルの範疇に入る作品だと思いますが、プロデュースを務めているのがシーウィンドのラリー・ウィリアムズで、演奏メンバーには同じシーウィンドのキム・ハッチクロフトとポーリン・ウィルソン、そしてお馴染みハドリー・ホッケンスミスを始めとしたコイノニア勢が名を連ねているため、比較的CCMというかモダンソウル色が強めの洗練されたアルバム。このような経緯からAORファンの間でも人気が高く、またレア度もそれほど高くないため、この手のマイナー系クリスチャン・ミュージックの間では基本蒐集盤のうちの一つとなっています。収録曲中で特に人気が高いのはA-2のStrong Foundation。自身でも作品をリリースしている黒人ゴスペル・シンガーのアンドレ・クロウチと御大スティービー・ワンダーによる共作で、いかにもスティービーと言った趣のライトメロウなミディアム・ナンバーに仕上がっています。リバイバル以降のAORファンは誰もが多かれ少なかれスティービーの影響下にあることは間違いないので、この曲に人気が集まる理由も納得。また個人的に気に入っているのはポーリン・ウィルソンとのデュエットで歌われるB-1のI'm In Love。AORだとかモダンソウルだとか言うよりもスムース・ジャズと言った方がしっくり来るスロウ・ナンバーですが、アーベインな香り漂う演奏の中で優しく響くポーリンの歌声が心地良い魅惑の一曲となっています。またB-2のTake Me Higherはアルバム中で最も黒いジャジーかつアーバンなスロウ。ブッダブランドのデヴラージが選曲するような雰囲気の曲が好きな人ならまず気に入るはずです。ちなみにこの作品、実はこっそりとCD化もされているようですが、amazonを見る限り異常な高額が付いているので、おとなしくLPで購入した方が良さそう。Cool Soundあたりから再リイシューすればそれなりのヒット作になりそうな気がしますが、今のところはアナログ派向けの作品です。まだ知らないという人は是非聴いてみてください。

You're Something Special / Delaine

2013-05-11 | CCM
以前紹介したCCM系黒人シンガーソングライター、アイラ・ワトソンのプロデュースによる1983年の作品。まるでアメリカン・シットコムにでも出てきそうな、このディレインなる少し太めな女性シンガーの正体は良くわかりませんが、顔に似合わぬソウルフルかつチャームな美声で聴かせるタイプの、なかなかに良い雰囲気の一枚です。アイラ自身がプロデュースとアレンジを手がけているので当たり前と言えば当たり前ですが、全体的に女性版アイラ・ワトソンといった趣。さすがに例のShining Starには及ばないものの、落ち着いて聴ける80'sソウルとしては及第点の作品と呼べると思います。CCMなので全体的にやさしく暖かな雰囲気が漂っているのも高得点。少し前に韓国からリイシュー盤が発売されたケリー・ウィラード同様、仕事で疲れて帰ってきたときに聴く癒し系作品として聴くのが正解でしょう。収録曲は全てミディアム~スロウですが、ライトメロウ的にオイシイのはミディアムナンバーで、特にA-3のOne In A HundredとA-4のMade AliveはCCMのやわらかな雰囲気と80年代ブラコン特有の洗練された都会感が同居した名曲。フロアでかけられるような類のナンバーではありませんが、これはきっと嫌いな人のいないタイプの曲かと。Shining Starのときも感じましたが、アイラ・ワトソンはエレピやホーンやストリングスなど各楽器の使い方がうまいので、どの楽曲も聴いていて非常に心地良いです。ちなみに参加クレジットを見ると、コイノニアからハドリー・ホッケンスミス(g)とハーラン・ロジャース(key)、そしてビル・マックスウェル(ds)がさらっと参加。CCM界隈特有の人員不足といった側面はもちろんあるのでしょうが、この人たちは当時本当に引っ張りだこだったようですね。もちろん他の参加作品同様に素晴らしい演奏を披露しているので、彼らのファンにもお勧めの作品です。ジャケットがこんな感じなので一見では食指が伸びないタイプのアルバムかと思いますが、そのせいもあり比較的リーズナブルに手に入る作品なので、興味がある方は是非チェックしてみてください。

First Time We Met / King James Version

2013-05-06 | CCM
レアグルーヴ界隈では非常に良く存在が知られたゴスペルソウルの激レア盤にして(価格的な意味での)問題作。僕自身も現物を持っているわけではなく、ずいぶん前に知人から録音した音源を頂いただけなので、ここに掲載するのもどうかと思ったのですが、ネット上にあまりまともなレビューも見当たらないため、あえて取り上げさせて頂きます。まず最初に一言。この作品、単純に内容からだけで判断すると、僕にはそこまで極端な高額で取引されるほどの名盤だとは思えません。たしかにトータルとして出来が悪い作品では決してないし、収録曲中には甘茶的展開で聴かせるナンバーやモダンソウルと呼べそうな作品も幾つか入っていますが、あくまでそれは一般的なレアグルーヴ系作品における水準内でのこと。平均的な水準を大きく逸脱するようなナンバーは、残念ながら収録されていません。結局のところ、人間発電所のメインループで使われているA-1のI'll Still Love Youが収録されているということにどれだけの価値を見いだせるのかが焦点ということになるのでしょうが、肝心のこの曲もあまり尖った内容とは言い難く、正直ブッダブランドのネタという事実がなければただの凡百なメロウ系ゴスペルです。あくまで曲単体で勝負するならば、むしろA-3のタイトル曲やA-4のWon't Have To Worryあたりの方がフリーソウル度も高く良い感じ。たとえばIngram Kingdomの1976年盤などが好きな人は素直に気に入ると思います。ただ、それはあくまで本作を通常のレアグルーヴ作品と同じ土俵で評価した場合の話。現在のように異常に高騰した状態では、とてもおいそれと人様にお勧め出来るような作品ではありません。正直普通の人は、もしもいつか再発されたら聴くくらいのレベルで充分かと。なお繰り返しますが、決して本作を駄作と言っているわけではありませんので、その点についてはくれぐれも誤解なきように。あくまでも個人的にこの価格に見合う作品ではないと感じているだけのことです。

The Son Will Arise / Praise

2013-04-27 | CCM
New Bornというカナダのレリジャス系レーベルからリリースされたマイナーCCMの名盤。ここ数年で発掘されたニューディスカバリー作品のうちの一枚で、どうやら彼らの2ndアルバムのようです。このレーベルにはFreewayというグループの同じくニューディスカバリーなアルバムがあり、そちらのほうがモダンソウル作品として知名度と評価が高いため、本作が紹介される際にはどうしても「Freewayで知られるNew Bornレーベルの…」などという枕が付きがちですが、個人的にはどちらかと言うとこの盤の方が本命。西海岸ライクなマリンフレーヴァー漂うPre-AORナンバーが作品の大半を占めているため、聴いていて非常に気持ちの良い一枚に仕上がっています。とりわけ冒頭A-1のLiving Stonesは超絶グルーヴィーなブルーアイドソウル大名曲。Full MoonのNeed Your Love辺りとよく似た雰囲気のライトメロウかつ爽快なナンバーなので、クラブ系のAORリスナーならまず間違いなくツボだと思います。同系統のニューディスカバリー曲だと、個人的には数年前にCD再発までされ大いに話題になったA TrainのBaby Please以来の大ヒット。もしフリーソウル全盛期に発掘されていたら、とんでもない大クラシック曲となっていたことでしょう。その他の曲ではA-4のBrighten Up My DayやB-4のArmy Of God辺りがSSW系のジェントルなナンバーで良い雰囲気。グループメンバーについての記載がジャケットにないため詳細は分かりませんが、ヴォーカルについてもヤングソウル風の甘い男性ボイスでこの手の作品としては理想的です。ちなみに演奏にはコイノニアからハドリー・ホッケンスミス(g,b)、ハーラン・ロジャース(key)、ビル・マックスウェル(ds)が参加。ブルース・ヒバードの2ndを皮切りにした80年以降の一連の作品とはややサウンドの趣が異なりますが、コイノニアのアーリーワークスとしても楽しめるかと思います。現在のところ残念ながら未CD化、おまけにレリジャス系作品なのでリイシューは厳しいのかもしれませんが、どこかに頑張っていただいて是非CD化まで漕ぎ着けて頂きたい作品。このまま一部好事家のみ知るマイナー作品として眠らせ続けておくのはもったいなさすぎます。

Gotta Have The Real Thing / Rick Riso

2013-04-26 | CCM
元メッセンジャーのヴォーカリスト、リック・リソーによる1985年のソロデビュー作。雑誌掲載の影響もあり一時期高騰していたメッセンジャー時代の78年作は、Cool SoundからCDで再発されて以降人気も落ち着いたようで、最近は比較的安く中古屋で転がっているのを見かけますが、こちらの作品については昔も今もあまり評価が変わっておらず、いわゆるミドルクラスのAOR系CCMの名盤としてその地位を不動のものにしている様子です。派手さはないものの程良い都会サウンドで手堅くまとまった良い作品で、個人的にはメッセンジャー時代の作品よりもこちらの方が好み。僕と同じように90年代後半の第二次リバイバルブーム以降にAORに触れたリスナーにとっては、琴線に触れる曲が多く収録されているものと思われます。中でもその筆頭はAー3のタイトル曲。アル・ジャロウのMornin'直系な跳ねたリズムの絶品ライトメロウナンバーに仕上がっています。同じような音楽を聴いている人でこの雰囲気が嫌いな人はおそらくいないはず。B-2のYour Loving HandsやB-3のArmor Of The Lordあたりもなかなかの出来映えです。いずれの曲についても言えることですが、CCMが本来持つ優しく暖かい雰囲気と、同時代のAORに共鳴した都会的で洗練されたサウンドが程良い加減でブレンドされており、少なくともここ日本で聴く限りCCM否定派が忌諱するような独特の宗教臭さは微塵も感じられません。ただ単純に年代新しめのブルーアイドソウル系のAORとして名盤。本気で探せばそう苦労せず見つけることが出来る盤だと思うので、もしも聴いたことがないという人は是非聴いてみてください。ジャケットはこの通り微妙ですが内容は保証します。ちなみにデジタル派の人はCool Soundから以前出ていたリイシューCDがお勧め。いちおうitunesにもアップされているものの、以前試しに購入してみたら音量レベルがかなり低く正直聴くのが辛いレベルだったので、是非Cool Soundからの国内リイシュー盤を探してみてください。ショップによっては高騰していることもありますが、根気よく探せば定価くらいでは買えるはずと思います。

Shining Star / Ira Watson

2013-04-09 | CCM
何年か前に「発見」され、一部で大きな話題となったライトゴスペルの傑作盤。クリスチャン系の黒人シンガーソングライター兼プロデューサー、アイラ・ワトソンによる1982年のLPです。同じように黒人でありながら白人寄りの声を持つクリスチャン系シンガーのパーシー・メイスと似たような時期に取り上げられたので、個人的にはなんとなくセットで考えてしまうのですが、こちらの盤はリリースされたのが80年代に入ってからということもあり、パーシー・メイスに比べ洗練度が高め。おまけにフィラデルフィアのシグマ・サウンドで録音されている上、MFSB中心人物の一人であるノーマン・ハリスが参加していることもあり、フィリーソウル色も強い作品となっています。それでいてジャケットの雰囲気も良く、リリース元がSozoというマイナーレーベル。ここまで話題になる要素があれば、マニア層に人気が出るのも当然かと思います。収録曲を個別に見ていくとまず驚かされるのがA-1のタイトル曲。素敵な夜の幕開けを思わせるアーバンなミディアムソウルで、アイラのとろけるような甘い歌声が抜群な本作のハイライトです。デニス・ランキンなる女性ヴォーカルとのデュエットで歌われるA-2のPlease Come Back To Meは大人の雰囲気溢れるバラード。こういう曲はきっと女性ウケが良いことでしょう。アップテンポでフロア向けなのはB-1のBreakin' Away。シグマ・サウンドが十八番とする絹のようなストリングスに導かれるライトメロウなポップソウルで、個人的にはこの曲が最もお気に入りです。曲調自体は思いっ切りブラコンですが、アイラの歌声のせいかどこかAOR風に聴こえるというのも高得点。僕のように白人音楽でも黒人音楽でもない狭間の音楽が好きな人には堪らないポイントです。ちなみに本作、オリジナル盤はそれなりにレアですが、冒頭にも書いたように一部で大いに話題になったため、1年ほど前に韓国からCD化されています。その韓国盤をベースに近々、国内盤も出るようなので、興味のある方はまずはそちらからどうぞ。それからオリジナルのLP盤を欲しい方は、分かっているとは思いますがお早めに。そもそものパイが少ないのは明らかなので、一度市場から消えると次に出てくるのが遥か先になる恐れアリです。

Livin' Again / Reggie DeVaughn

2013-02-14 | CCM
近年になり知られるようになった、ほぼ自主制作と思わしきCCMのニューディスカバリー盤。いつの頃からか、この手のマイナー系CCM作品はレリジャス(Religious=宗教的な)系と言い換えて紹介されることが増えてきましたが、本作はそんな数あるレリジャス系作品の中でも、おそらくコレクターの方々にとってトップウォントな一枚と思われます。人気の秘密は豪華な参加陣。本作主役のレジー・デヴォーン自体は正直無名といって差支えのない黒人シンガーですが、ハドリー・ホッケンスミスを中心としたコイノニア勢が全面的にバックアップ参加しており、全編にわたって水準の高いAOR系サウンドを展開しています。1985年という比較的新しめの年代に録音されていることもあって、ブルース・ヒバードやロビー・デューク、そして昨日紹介したマイケル・ジェイムス・マーフィーらのLPでの演奏をさらに洗練させたかのような好演が披露されているので、おそらくその手のマニアの方にとっては垂涎の内容かと。レジーの歌声自体も良い意味で黒人らしくないため、全体に流れる空気感は非常にAOR的です。収録曲から何曲かピックアップしていくと、まずA-1のタイトル曲は昨日紹介したマイケル・ジェイムス・マーフィーのカバー。原曲からグッとテンポを落とし、しっとりとしたアダルト・コンテンポラリーな雰囲気で演奏しており、こちらもなかなかの出来です。続くA-2のI'll Be With Youは本作のハイライト。際立った派手さはないものの、フリーソウル指数が異常に高いミディアムアップのライトメロウ系ナンバーで、いわゆるフロアキラーな一曲です。これはおそらく皆大好きなはず。中盤のジャジーなピアノソロから後半にかけての盛り上がりは最高としか言い様がありません。またB-1のDon't Ask Whyはパーカッションの音色とサビでのコーラス・ワークが気持良いたまらなくアーべインな名曲。これもフリーソウル系AORが好きな方にはまず間違いなくツボです。最近では発掘当初に比べ相場価格も上昇しているので、そう言った面で言ってしまうと諸手を上げてお勧め出来るというわけではないのですが、興味はあってもまだ聴いたことないという方は、見つけたら是非一度聴いてみてください。高額盤に関してある程度免疫のある方なら、おそらく試聴即買いの一枚かと思われます。