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ドル(米国債)が取り持つ米中関係①

2012-08-09 00:01:27 | 世界共通

 佳境を迎えているロンドン五輪ですが、先月、アメリカのオリンピック代表選手が開会式に着たユニフォームが「中国製」であったことが発覚し、一部の議会議員などが反発して「ユニフォームをアメリカで作り直せ!」といった声を上げるなど、ちょっとした騒ぎになりました。

 「中国製」といえば、報道によると、アメリカ国民にとって最も大切な記念日である独立記念日(7月4日)に欠かせない「星条旗」の88%が、そして「花火」に至っては実に97%がメイド・イン・チャイナなのだそうです。その他、現在サンフランシスコ市近郊で建設されている大きな橋の部材類も中国で作られており、それらを同建設現場に運び込んで組み立てられる予定であるとのこと。いうまでもなく、アップルのiPhoneなども中国の工場で作られています。

 上記の例でも分かるように、反感や嫌悪感が根強くあるにせよ、アメリカは中国への依存をますます深めているのが実情です。下のグラフはアメリカの貿易赤字額の推移と、そのうちの対中貿易赤字額の推移ですが、これを見ても分かるとおり、いまやアメリカの貿易赤字額の過半は対中貿易により発生しています。身の回りの生活用品類に始まって、工業製品類や公共インフラ、はては愛国心高揚に大いに関連の深い国旗やオリンピックユニフォームなどに至るまで、アメリカ経済はもはやメイド・イン・チャイナが無ければ成り立たないといってもいいでしょう。



 一方の中国ですが、現在はおそらく中華人民共和国としての絶頂期にあると思います。その基盤となっているのが膨大な外貨準備。今年3月時点で3.3兆ドルあまりと、2位のわが国(1.3兆ドル弱)を軽く凌いで圧倒的な第1位です。これは対米貿易で稼いだ黒字と、人民元の対ドルレートを低めに維持するために繰り返されたドル買い人民元売り為替介入の結果でしょう。いわゆる「ドルペッグ」に近い通貨管理のスタイルです。私は勝手にこれを人民元の「ドル本位制」と呼んでいます。手にしたドルの分だけ、それを裏づけにして一定のレートで人民元を刷っているわけですから。

 そして中国の外貨準備の大半は米国債を中心にドル建て資産で運用されているものと思われています。今年に入ってからの中国の保有米国債額は1.1兆ドル台をキープしています(下記グラフ)。これは第2位のわが国(1.1兆ドル弱)をわずかに抑えてこれまた世界一。アメリカ以外の外国が所有する米国債の合計額約5.2兆ドルの約22%あまりを占めているほか、米連邦政府の負債総額(14兆ドルくらい)の約8%を中国がファイナンスしていることになります。



 (それにしてもアメリカの海外マネーへの依存度は大きいものがありますね。総額で約5.2兆ドル、全政府債務のうち海外に対するものの割合は40%近くとなっています。)

(続く)


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