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【相続税の課税余地は大きい】相続税が日本を救う⑤

2013-10-29 00:01:39 | 日本

(前回からの続き)

 それでは相続税の増税余地はどれくらいあるのでしょうか。

 それを推計するためには、わが国の年間の相続遺産の総額を知る必要があります。で、その金額ですが、ネットでいろいろ調べてみたものの、遺産には金融資産のほかに不動産とか金銀財宝類、はては骨董品等の資産も含まれることから正確な値を出すのは難しいようで、調査や集計の違いなどによってかなり数字のばらつきがみられます。遺産総額の推定値の最高額は年間85兆円、もっとも少ないものは同30兆円台といったところでした。なので、ここではこれらの平均値近辺の金額である「50兆円」をわが国の1年間の遺産総額とみなして話を進めます。

 50兆円―――わが国のGDPの1割を上回り、今年度の国家予算(一般会計)の半分以上にもなるほどの大きな額です。これほどの遺産が毎年、世代間で受け渡しされていることになります。

 では1年間の相続税の総額はいくらか、というと、およそ1.25兆円(2011年)。ということは遺産総額の2%あまりに過ぎません(遺産総額が50兆円の場合)。ちなみに税収総額(2011年度税収額:42.8兆円)に占める相続税収額の割合は3%程度。消費税収額10.2兆円(同)の24%と比べると金額、税収額シェアともにずっと小さい規模(消費税収の12%あまり)にとどまっています。

 次に、相続税を払った人の割合をみてみましょう。相続税の課税割合(年間課税件数/年間死亡者数)は約4%(2011年)となっています。亡くなった100人のうち4人しか相続税を納めていない計算になります。

 ところで、ご存知の方も多いかと思いますが、2015年初から改正相続税法が施行されて実質的に相続増税が開始されます。それでも税収額の増加幅は2~3千億円、相続税の申告割合は6%程度にとどまると予想されています(以上、データは財務省・国税庁統計より)。

 こうしたデータをご覧いただいても分かるように、わが国の相続税には、金額面でも納付対象となる人数の面でも、増税可能な「のりしろ」が十分にあるように思えます。

 では相続遺産に対する相続税収率・税収額はいくらぐらいが適切なのか・・・? このあたりは意見が分かれるところだと思いますが、以下に個人的な意見を記してみたいと思います。

 かりに日本の1年間の相続遺産の合計金額が上記のとおり50兆円だとします。この場合、相続税収額の最大値は当然ながら50兆円、そして相続税率は100%になります。でもさすがにこれでは極端すぎるでしょう。現実的に国家と個人の遺産配分比は50:50、つまり相続税収額の上限は25兆円くらいではなかろうか、と思っています。

 さらに「フロー(流通するお金)」に課される税金・消費税の税収額とのバランスを考慮します。本稿前段で書いたとおり、税率5%の現在、消費税収は年間で10兆円ほどです。これが2年後(?)の税率10%への引き上げによって同20兆円あまりに増えるものと推測されます(現状の経済情勢では10%への引き上げは困難が予想されますが・・・)。

 そこで「ストック(蓄積された資産)」に課される相続税収の目標額も20兆円、つまり消費税収とイーヴンになるようにします。フロー課税(消費税)では中低所得層が大きな負担をするかわり、資産保有層はストック課税(相続税)でそれに見合うだけの納税義務を果たすという構図です。20兆円―――遺産総額50兆円のうち30兆円(60%)は相続人が相続し、この20兆円(40%)は国が徴収して社会福祉財源に充当する―――いかがでしょうか。

 財政健全化をめぐる議論のなかに「消費税率は20%にすべきだ」というものがありますが、相続税収が20兆円くらいあれば税率10%での消費税収額にほぼ匹敵するので、消費税率の引き上げは10%で「打ち止め」も可能になると考えています。

(続く)


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