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【赤字の主因:燃料輸入額の増】裏目に出た円安誘導②

2013-10-05 00:03:29 | 日本

(前回からの続き)

 といった具合で、現在の日本は、円安になればなるほど、輸出額よりも輸入額のほうが多くなり、貿易赤字も拡大する傾向にある、といえそうです。

 で、その輸入で注目すべきは何といってもエネルギー資源。前回ご紹介の財務省貿易統計によると、今年8月のわが国の輸入額6.7兆円あまりのうち、石油、LNG、石炭などの「鉱物性資源」は2.3兆円近くと、全体の33.8%を占めています(上記グラフ)。これほどの金額に膨らんだ大きな原因は、いうまでもなく「円安」です。これらのエネルギー資源は大半はドル建てで取引されているため、当然ですが円安ドル高になれば円建ての調達価格は上がり、円高ドル安になれば下がります。

 もしいまの為替レートが1ドル80円、つまり昨年11月以前くらいの水準であったとしたら、この金額は1.8兆円あまりと、5000億円近くも下がる計算になります。したがって今年8月の貿易赤字も実際の9630億円よりもずっと少なかったことでしょう。まあ実際には為替予約等もあるためこれほど単純に為替を反映することはないでしょうが・・・。ちなみに昨年8月のエネルギー資源の輸入額は約1.9兆円あまり(全輸入額に占める割合は約33.3%)。今年よりも3500億円近く低い金額です。当時の円高(1ドル約79円)が石油等の円建て輸入額の抑制に貢献したものと推測されます。

 こうした数字を眺めていると、円安がエネルギーの輸入価格の引き上げにいかに効いているかが分かります。これまでも本ブログで書いたように、わたしたち日本人と同じく、ブラジルインドなどではエネルギー価格等のインフレで国民生活が圧迫されています(だいぶ程度は違いますが)。その主たる原因は通貨安ですが、レアル安とかルピー安は両国がそうしたくて起こったわけではありません。ところが日本は違います。「通貨安にしよう!」という「アベノミクス」の強い意志によって円安が実現し、エネルギー価格上昇と貿易赤字拡大が起きているわけで・・・。

 ところで2010年、つまり東日本大震災前はどうだったか、ですが、同年8月のエネルギー資源の輸入額は1.4兆円台半ば、そして輸入額全体に占める割合は28.2%と、ともに今年および2012年よりも低い値となっています。金額もそうですが、この割合の低さに注目です。これは、2010年当時は原発が稼動していたために現在ほど石油やLNGを必要としなかった、ということ・・・。

 「原発継続」か「脱原発」か―――いまの日本にとって非常に重要なテーマですが、貿易赤字が拡大して国富が消耗しつつある現状をもとに冷静に考えると、原発「賛成」「反対」の立場の違いによらず、当面は火力発電を当てにせざるを得ない以上、「エネルギー資源をいかに安く調達するか」が国家的な課題であることが分かると思います。そのためにどうすべきか、ですが、現行の悪いインフレをもたらすほどの通貨安政策の軌道修正をはかることこそ、いちばん簡単で効果的な手だと考えているのですが、どうでしょう。

(続く)


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