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【日本企業買いは米企業が中心か】裏目に出た円安誘導⑤

2013-10-11 00:00:51 | 日本

(前回からの続き)

 もっともこの先、実際に日本企業の買収に乗り出そうとするのはアメリカの企業が多いような気がしています。なぜなら最近の米企業はM&A(企業の合併や買収)で規模や収益の拡大を図る戦略をとっているからです。以前こちらの記事に書いたとおり、株主から短期的な利益極大化が厳しく求められる米企業、とりわけメーカーにとっては、地道な製品開発とか技術研究などを悠長にやっているヒマはありません。そんなことをするくらいなら、技術力とか製品開発力のある他の企業を買うほうが手っ取り早い、というわけです。

 で、このM&Aの場合は通貨高のほうが断然有利。これまで書いてきたとおりです。ついこの間(昨年11月)まではそのアドバンテージは日本にあったが、いまは米企業の側にある―――これも「アベノミクス」のおかげ・・・。この先、第二、第三の「東京エレクトロン」が出てきそうな気配を感じるのですが、はたしてそれでよいのでしょうか。「中韓企業ならともかく、アメリカ様ならいいんじゃない?」日本にはそういう人が多いのでしょうね・・・。

 と、いろいろ書いてきましたが、これまでのところ日本経済にとって「円安誘導」は「裏目」に出ているとの印象を持っています。

 貿易面では、「円安誘導による外需狙い」で輸出を増やそうと思ったのに、原発停止でエネルギー燃料の輸入量が高止まりしている現状を見落とし(?)、それらの円建て輸入価格の引き上げを促進して輸入額の輸出額以上の増加をもたらし、結果として日本の貿易赤字の拡大に貢献(?)しています。

 所得収支の面では、円安誘導でわが国の企業や投資家の海外投資意欲に水を差し、安倍政権が期待する国民総所得のこれ以上の積み上げに「待った!」をかけました。逆に外資による「日本買い」を誘発し、わが国の貴重な企業、特許、不動産(離島や水源などを含む)などを外国人に安価で譲渡する手助けをしています。

 さらにさらに・・・こちらの記事でも述べましたが、日銀「異次元緩和策」の真の目的(?)である「米FRBの出口戦略支援(量的緩和策の縮小・停止をスムーズに行わせること)」、つまり「円安誘導=ドル高誘導」によって本邦企業・投資家によるドル・米国債投資を促そう、という目論見もはずれてしまった感じです(円安ドル高を演出して日本の投資家にドル資産の処分売りをする機会を提供したという点は高く評価できると思っています)。そうしたいのであれば、むしろ円高ドル安環境のほうがジャパンマネーの対米投資は活性化するし、それがアメリカを支えることになるのに、と思っています。

 加えていうと、「アベノミクス」の金融政策は、円安インフレでエネルギー価格とか輸入食料の価格を引き上げ、これらへの支出割合の家計に占める割合が高い中間層の地盤沈下を進めることで、日本をアメリカや中国のような貧富差の大きな社会に「レジーム・チェンジ」させようとしています。まあこれは「裏目」ではなく、当初からの狙い通りなのかもしれません。実際、安倍政権は中低所得者に大きな負担を強いる消費税の税率引き上げを決定しましたしね。この景況下で・・・。

(続く)


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