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【米一般家庭の暮らし向きはインフレで厳しくなるばかり】アメリカ、巨額貿易赤字は大混沌への前兆か⑦

2019-03-23 12:30:14 | アメリカ

前回からの続き)

 一般のアメリカ国民は豊かになっている・・・のではなく、逆に年々厳しくなるインフレに苦しめられている・・・。そのあたりの一端が確認できるのが、たとえば以下のデータです・・・

 ・・・2000年のアメリカの家計所得は41990ドルでした。これが2017年には61372ドルと、17年間で約46%上昇しています(いずれも中間値、出典:FRED)。たしかにこれだけを見れば米家計の収入はそれなりに増えているように思えます。けれどこの間(2000年→2017年)の通算インフレ率は、これに近い42.4%(出典:IMF)ですから、所得が増えたとはいっても、これとほぼ同じ率で諸物価も上昇しているから、多くの人々は豊かさの実感を得てはいないはず。むしろ・・・食料価格が2000年→2016年で48%(all food;出典:米農業省)、そしてガソリン代が2000年→2017年で66%(最悪が2011年の88%)(出典:USEIA)などと、いちばん上がっては困る日々の衣食住コストが自身の収入以上の割合で上がっているから、大半の米国民は今世紀初頭よりも生活が苦しくなったと感じていることでしょう・・・

 そして本ブログで何度か書いているとおり、アメリカでは不動産バブルが膨らんで住宅価格が高騰してしまっています。Case-Shiller Indexによれば、全米住宅価格は2000年→2017年で上記所得の伸びを大きく上回る84.8%もの上昇率を記録しています。これでは、通常の市民―――つまり、カネ儲け(不動産投資)のためではなく居住するために住宅を買おうという人々―――にとっては、マイホームの夢実現が以前よりもずっと困難になってしまったことでしょう。

 さらに彼ら彼女らを苦しめるのが、これまた上昇を続ける教育コスト。なかでも大学の学費は、学校によって異なるものの、30年前の200300%ほどに高騰しているといわれます。上記のように、収入以上のペースで上がり続ける諸費用&住宅ローン等の支払いをやり繰りしながら、年間4~5万ドル(一流私立大の場合)もの学費を負担できる一般家庭が・・・そうそうあるはずもなく、結局、多くの学生は学資ローンに頼るしかありません。で、そのローン残高は、FRBによれば昨年9月末時点で15600億ドルと、おもなローンでは住宅ローンに次ぐ2番目のスケールに膨張しています。そして学生は大学卒業後、合計で数万ドルに達した債務の返済に追われていくわけですが、上記のような経済・生活環境のもと、これがアメリカの若年層にとって厳しいハンディになることは容易に想像がつくところです。幸い、何とか借金の返済ができたとしても、その代わりに家や車の購入を断念せざるを得なくなる人々が増え、それだけ米経済の成長が妨げられることでしょう・・・

 とまあ、上げていけばキリがありませんが、上記はインフレすなわちドルの減価がもたらす苦しみであり、その原因はアメリカが先述「ドルの呪い」に囚われて国際収支の赤字(と財政赤字)を膨張させたところにあるといえるでしょう。そして同国がこれを是正することは、もはや不可能に近いはずです・・・

(続く)

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