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【This Time Is Different「今度のQEは、違う・・・」】バブルのピークは完全に過ぎ去った⑥

2016-02-05 00:03:03 | 世界共通

前回からの続き)

 本稿前段で、リーマンショック直後の2008年終盤、米国債ジャンク債との「スプレッド」(利回り差)が急拡大した様子をご紹介しました。このときは多くの債券発行体が資金繰りに窮して破綻寸前だったはず。で、本来ならこの局面でアメリカは、不動産バブルの最終清算を断行すべきでした。つまり、いわゆる「日本化」といわれるプロセス―――こうした信用度の低い企業等はそのまま破綻させ、関連するデリバティブ決済を促すとともに、これによって巨額債務超過に陥ったであろう米銀に公的資金を注入して金融恐慌の拡大を食い止めたうえで、長い年月をかけて「資産デフレ」(地道な債務削減・不良債権処理を通じた資産価額からのバブル分の除去)の痛みに耐えていく―――に移るべきだった・・・。

 でもアメリカにはこれができませんでした。というより上記「日本化」の選択肢は当初からあり得なかった。なぜなら世界一の純債務国アメリカには、これにともなう兆ドル規模の(?)巨大な財政資金を用立てすることが不可能だった(長期金利の急騰[ドル暴落]を回避できそうになかった)からです。で、選んだ道が安易な「資産バブルよ、もう一度!」すなわち資産価額のさらなる押し上げであり、その手段こそが200811月に開始された米FRBQE(量的緩和策)でした。これが、とっくにマーケットから消えてしかるべき債務者と債権者をゾンビのように生き永らえさせ、そしてあまりに巨大化させてしまった・・・

 ・・・あれから7年あまりが経ちました。当時の未清算「バブル」に加えてそれだけ長い間、さらに「バブル」が上乗せされたことになります。であれば、アメリカにバブルの幕引き(QE停止とか利上げ)なんてますます無理筋。7年前ですらできなかったことが、バブルをいっそう膨らませたいまになってできるというほうが非現実的で非論理的・・・。そんな超難しいこと、日銀の「マイナス金利」程度ではどうしようもないわけで・・・

 ・・・早くもアメリカはQE4発動に向かいつつあるとみるべきでしょう。それを予感させるのが「中国リスク」がいっそう声高に喧伝されつつある現状です。先述のように、これこそQE再開の第一の口実になる、つまりアメリカは次なるQE開始の責任(?)を中国という他者に転嫁したがっているということです。世界から引き続きマネーを呼び込むためには本当のこと―――アメリカはもはや(というより、とっくの昔から)QEバブル頼みから脱却できなくなっていること―――を見透かされたくないからね。ですが・・・

 ・・・「This Time Is Different」(邦題「国家は破綻する」)・・・2010年、米ハーバード大の経済学者C.ラインハート氏とK.ロゴフ氏が書いたベストセラーの題名です。その内容(国家債務がGDPの90%を超えると経済成長率が大きく低下する等)はここでは論じませんが、このフレーズ「今回は違う」は・・・米QE4にこそふさわしいように思えてなりません。つまり今度のQEは・・・ドルの価値と信認の低下を決定づけるという意味で「違う」・・・。

 世界そして日本はいま、マネー史の大きな節目を迎えつつあるのではないでしょうか・・・

 (「バブルのピークは完全に過ぎ去った」おわり)

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コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (w)
2016-02-05 12:28:15
なるほど、参考にします。いつもながらの卓見ですね。
もう一度、アメリカ株、シナ株は、少しは上がりそうですね。今度上がったときに、手仕舞いします。ドルもとうとう来るところまできましたか。考えてみれば、衰退しなかった王朝はありませんね。現物金、銀が輝くのを楽しみに待ちます。いつも冷静ですばらしい、意見、大変参考になります。無料で教えてもらってありがたいです。有料でもかまわないくらいですね。ぶれないところがすばらしいです。
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Unknown (コメントありがとうございます)
2016-02-05 21:49:35
 コメントありがとうございます。そして身に余るお言葉、恐縮です。自分としては常識的なことを感じるままに綴っているつもりですが、世の中があまりに・・・ですからね。それに近ごろは「ここは・・・ひょっとして火星!?」なんてクラクラすることも多いもので、異次元過ぎて・・・。というわけで、地にしっかり足をつけるよう、心がけています。この星、そして日本の地に。
 次回は日銀「マイナス金利」と「金」(ゴールド)について書いてみようと思っています。スゴイですよね、永遠にゼロ金利の「金」のほうがマイナス金利の「円」(日本国債・円預金)よりも「利回り」が上・・・ってことは、ご指摘のとおり、切り札は「金」ですよ(!?)
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