木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

歴史の偽造「ユダヤの離散」

2018年06月10日 | Weblog

2002年、一般教書演説で、ブッシュ大統領(息子)がイラン・イラク・朝鮮を<悪の枢軸>と非難したが、全くよく言うぜといったところだ。18世紀以降の帝国主義政策で<悪の枢軸>として世界を引っ掻き回して来たのは米・英・仏の3国だと思う。
シリアに内戦を作り出し、いよいよ自分達の作戦がうまくいかなくなったと悟るとこの3国は「最後っ屁」のようにシリアを空爆した。
極東では朝鮮半島の平和を演出する方向に踏み切ったようだが、これは中東に本腰で介入するためではないかと思うような3国の動きである。

『ユダヤ人の起源』
オーストリア生まれでイスラエルで育った歴史学者シュロモー・サンド氏の著書で、2010年に日本でも出版されている。(武田ランダムハウスジャパン刊、高橋武智監訳、佐々木康之・木村高子訳)
2000年前、約束の地カナンから追放され、世界中に「離散」したとされるユダヤ人だが聖書にあるその記述は事実ではなくユダヤ人という民族も存在しないというサンド氏。執筆のきっかけは「ユダヤ人の離散は起きなかった」という論文を見つけたこと。イスラエルの歴史の本を探したが一冊もみつからない。古代史の専門家の間では「離散の事実はなかった」ことは常識だと知った。
だがイスラエルの学校では6才から歴史で聖書を教え、一般の人々はモーセがエジプトを脱出して同朋をカナンへ導き、その後ローマ人によって離散させられた物語を強く信じている。
世界各地にあったハザールなどのユダヤ教の王国は離散者が作ったのではなく改宗の結果に過ぎないことを多くの資料や文献を引用して示す。現在パレスチナに住むアラブの人々こそが聖書時代のユダヤ人の子孫かも知れないのだ。
教えられてきた歴史はパレスチナを植民地化するために必要な物語だったと言える。
それなのに今パレスチナ人は理不尽なイスラエルの攻撃にさらされている。
日本にも戦前「皇国史観」を歴史として学校で教え込んだ過去があり、今またそうした都合よく捏造した偽史を歴史の中にすべりこませようとする企みがある。
こうしたイスラエルの不正義を後押ししているのが英米仏だ。
中東現代史の専門家栗田禎子千葉大教授はイスラエルを「現代版満洲国」だと批判している。それを後押ししているのが従来からこの地を植民地化してきた欧州、特に英仏、そしてアメリカなのだと指摘していて、この点でも無知な日本人はイスラエルと距離を置かなくてはならないのに安倍政権はイスラエルと連携しようと積極的に乗り出している。この地の紛争に関係がなく、親日派であったアラブの諸国を敵に回す危険な安倍政権なのである。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 朝鮮と水俣病 | トップ | 国のつくウソを見抜く »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事