木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

庶民の人生を狂わせた戦争

2023年03月26日 | Weblog

今日は雨が降ってやや寒い。
私は「長野市民新聞」を購読していますが、書評エッセーは北原ひろさんの『向かい風』。住井すえさんの小説ですね。住井さんは『橋のない川』で有名ですが、こちらは読んでいませんでした。
戦後の農村、問題続々と副題がついています。主人公のゆみの夫は戦死。「昭和20年6月、27歳を持って戦死」と墓標には刻まれますが根拠はありません。一人息子だった夫との間には子供がいませんから弓は家を出る決心をするのですが、季節は農繁期、若い嫁の労働力は貴重です。そして義父との間に子供が生まれる。跡継ぎがいないのだからこういう流れになる。義母は納得できないでしょうが家のためには仕方ない。
ところが夫は生きていた。ソ連に抑留され、そこで洗脳され共産主義者になっているという。
子供を背負ってゆみは迎えにいくのだが・・・。占領軍による統治で農村は農地改革で地主制度は崩壊します。一波乱も二波乱もある展開が予想されますが、文庫版は絶版。図書館か古本でどうぞということらしい。
当時の農村には夫の戦死で、まだ召集前の若い弟が兄嫁といっしょになったケースがけっこうあります。兄嫁の方が7,8歳は年上。子どもがいなければ出てゆけるのですが、子供がいれば実家で育てるのもむつかしい。私の知っているケースでは戦死した夫との間の子が障害児でこの子の面倒を見るためにも嫁は出てはいけない。
若い夫が出て行ってしまったケースももちろんある。残された妻はがんばって家と農地を守った。これは農村の場合だが、私の高校時代の先生は戦死した兄のお嫁さんと結婚した。後にこのお嫁さんは洋裁店を開いた人だったので、若しかしたら学資とか援助したのかもしれない。それと義理のお姉さんのこと好きだったのだと思う。
ことさように「戦争」は国民一人一人の人生を狂わせてきた。絶対やってはならないことだ。たとえ職業軍人であったとしても。

 

 

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