歴史的な南北首脳会談
日本のテレビや新聞だけを見ていると信じられないような展開が南北朝鮮の間に進んでいたのだ。
私は2000年以来の韓流ファンだったから、ドラマ・映画を通じてではあるがこの南北の分断の悲劇の歴史を知っていたので「拉致問題」ばかりを言い立てる日本の大方の論調にこの十数年は違和感を覚えてはいたが、それでも朝鮮の実態を知っているわけではないし、何といっても金正恩体制になってから立て続けに粛清があり、特に叔母の夫である・チャンソンテク氏を処刑したのは衝撃だった。
頼るべき中国との窓口である叔父を切ってどうするのだろうと思った。正恩はアメリカの情報機関CIAに操られているというネット情報があり、妙に納得していたが、今回の劇的南北会談を見るとそうは言えないようだ。
拉致被害者とその家族は当事者であるから批判はしないが、拉致、拉致と騒ぐマスコミとそれに乗る人々には「鬼の首を取ったように騒ぎすぎ」と思っていた。
拉致問題を言う前に日本は朝鮮半島の人々に何をして来たのかよく考えるべきだと思う。
日本に主権を奪われていた朝鮮国が日本の敗戦によって解放されたものの、すぐに主体的政府を持てなかったことに思いを致すべきである。
ソ連とアメリカは自分たちが影響力を持つ地域を北緯38度で分断し、ソ連は北に金日成を立てた。彼は反日の闘士ではあったが、人民によって押し上げられたリーダーというわけではなかった。ソ連に指名されたリーダーだった。南はアメリカが李承晩を立て、対峙し合っていたが、北が南北分断に決着を付けるべく南進し、日本からの解放から5年後朝鮮戦争が始まり、53年に休戦協定を結びそのまま今日を迎えている。元々朝鮮人民の意志ではない分断で、冷戦が終了したのであるから南北が敵対しあう理由はないのだ。
ソ連は解体されたのだからアメリカも朝鮮と平和条約を結び国交を回復するのに支障はないはずなのにそれを怠ってきたのはむしろアメリカの方だと言える。
駐留米軍を韓国と日本に置き、東アジアににらみをきかせたい、これが軍事大国アメリカの思惑だということマスコミは触れず、日本政府=自民党も「朝鮮憎し」と敵にしておいた方が何かと都合がいい。特に安倍政権はそれで成り立っているといってもいい政権だから、南北融和は面白くない。
しかし朝鮮半島の人々にとっては切実だ。南北離散家族の数は日本の拉致被害者の比ではない。そういえばムンジェイン大統領も両親はは北の出身で、ムン氏は南の収容所で生まれたというのだからこの歴史的決断の当事者としてこれほどふさわしい人物もいない。