庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

雇用を生み出すことが政府の実行すべき最優先の役割である。

2017-02-11 | 国創り政治問題

自由貿易を経済発展の必須の条件だと思い込んでいる経済人から見ると、トランプ新大統領が打ち出す大統領令は、時代逆行に見えるだろう。

しかし判断の基準を、底辺で働く人たちの立場にしていくと、自由貿易が自分たちの仕事を奪っていることが明確で、今の職場を守るべき最重要なことである。

歴代のアメリカ大統領が、全体的な経済発展を口約束した政権公約で当選しても、上層部の超富裕層の利益確保が優先して、底辺の労働者の賃金水準が停滞していた事実をゴマ化して来た怠慢な政治に、政府を否定する行動にでたのである。

 

製造業は、労働環境を一定レベルに保てる「安定した雇用を確保」してきた。

しかし、同じ仕事を続けていては、確実に時代の進歩からは取り残される。

アメリカの鉄鋼業が閉鎖されていったのも、製造コストが高いままでは、海外への輸出がゼロになるのは当然で、関税で保護しても限界がすぐに来る。

本来は技術力を革新して、市場における付加価値が向上した製品で、商品の販売を強化しなければ、製造を縮小し、最後は停止するしか無い。

自動車産業では、アメリカの大企業が1980年代から技術革新への投資をおこたり、日本やドイツの製品よりも魅力が劣るから、輸入依存度が増えてしまった。

そこで、日米自動車摩擦のような、日本に自動車の輸出自主規制を強要して、アメリカの自動車企業に技術革新をせまったのである。

 

技術革新を怠った自動車企業が、本来の本業に研究開発に力を入れるにしても、日本やドイツの技術レベルまで回復するには相当の期間が必要である。

そこでアメリカ政府は、輸出自主規制と並行して、製造拠点をアメリカ国内に移転するように仕向けて、日本やドイツの企業がアメリカ製造に転換していった。

つまり、国内の雇用を守ることが国益になり、アメリカ国民の支持を得る政策で、

新自由主義経済学者のように、「政府が民間の経営に関与しない」との基本論理は、明らかな誤りなのである。

それが20年以上も「アメリカ国内での経済学者に主流」であったことが、不可思議な現象であった。

 

政府は国民のために「雇用を守る役割を最優先で実施」することが、改めて確認されたのが、今回のトランプ大統領の選挙勝利であった。

アメリカのマスメディアが、こぞって「民主党ヒラリー・クリントン支持」で、優勢を報じていたこと事態が、アメリカメディアの信頼性の欠除を表している。

それは、アメリカのメディアの大半が、【国際金融資本家の経営支配下】にあって、

都合の悪い情報を報じない仕組みになっているからだ。

国際金融資本家の本音の意向は、「投下資本利益率」が最大になるように、国際的な金融市場と自由貿易の確実な推進にある。

アメリカ一国の利益や、底辺労働者の雇用確保などは、眼中にないと言える。

トランプ大統領候補が、ことごとく、この本音に逆らっていた異端児だからだ。(続)


デフレ経済に陥らせた最大の原因は自由貿易の節度なき信仰だ。

2017-02-10 | 経済問題

今や先進国の問題で解決策が不透明なのは、「デフレ経済への停滞」に対する有効な解決策が提示されないことである。

日本は20年以上もデフレ経済状態になり、安倍政権の「超金融緩和政策」は、初めの出だしこそは、「円安誘導効果」が功を奏して、株価の上昇を招いた。

円安効果による輸出依存企業の若干の収益増加があるが、輸入依存度の高い企業にとってはマイナスに要因しかない。

今では日本の輸出依存度は15%程度であるから、円安誘導が経済にとって好影響があるとは限らない。

それを、株価の上昇の機運に毒された「マスメディアの論調」が、「アベノミクスの成果だ」と持て囃したので、超金融緩和政策の成果だと勘違いさせる。

 

それでも、経済の活性化には、輸出依存企業の経営を支援することが、国益にかなうとしているが、今や企業利益の大半は内部留保か海外への投資にまわる。

輸出依存企業の大半の株式は外資系の所有であり、需要の増加が見込めない「日本国内への投資」は、ほんのわずかしか回さない。

株主は、日本の経済の活性化などは「関心の対象外」であり、「投下資本利益率」が最大の市場に興味があるだけである。

だからと言って、「投下資本利益率」を、新興国に対して先進国が優位に保つのは至難のことであり、幻想に近い。

安倍政権は、「TPP交渉が批准」されれば、日本国内への投資が増えることは間違いないと、盲目的に信じているだけである。

 

ここに来て、アメリカの労働者の反乱ともいえる「トランプ政権の誕生」によって、「TPP交渉の批准」は破棄された。

アメリカ国内に投資を呼び込むとの狙いが、トランプ大統領には理解不能の「盲目的な経済論」として退けられたのである。

これを持って、「保護貿易主義」の経済に逆行していくとの批判が世界中に吹き荒れているが、自由貿易をさらに推進する根拠は疑問だらけである。

自由貿易協定によって、利益を最大に得るのは、NAFTA(北米自由貿易協定)の20年間を見れば明らかである。

隣国のメキシコが経済発展して、製造拠点を喪失したアメリカは、製造業に従事していた「中産階級が激減」した。

 

トランプ大統領が、「アメリカに雇用を取り戻す」と政権公約して、これから「NAFTAの再交渉」にはいるが、成果の方は不透明である。

そんな状態にありながら、日本の安倍政権は「多国間の自由貿易協定」が、日本の経済活性化に貢献して、将来の中間所得層を充実させる、と盲信している。

安倍政権の経済政策ブレーンは、既に、超金融緩和政策の効果に白旗を掲げ、国内と投資を活性化させる別の政策の必要だというが、何も出ない有様だ。(続)


アベノミクスは迷走中だが、賃金デフレの解消が動き始める。

2017-02-09 | 経済問題

超金融緩和による国内投資の促進と、インフレターゲット政策によって、消費者マインドを転換させて消費指向を増大させる狙いは、完全に空振りとなっている。

唯一の効果的な政策は、公共事業の土木工事の増加による「耐震性の向上」を狙った「国土強靭化」政策である。

これによって、建築業界では人手不足による賃金の上昇が引き起こされて、他の業種にも賃金上昇の気運を波及させる効果があった。

さらに安倍政権が鳴り物入りで始めた「官製春闘」で、大企業への要請によって、ベースアップがわずかでも復活し始めたので、賃金デフレに歯止めがかかった。

この動きをさらに加速することが、デフレ経済を脱却させる。

 

なぜ今までの政策がほとんど空振りで、日本経済の停滞が20年以上も続いているのか、似非経済学者やマスメディアに登場する有識者にはわかっていない。

それは、自由貿易によって「物の移動の自由」が活発になることが、経済発展に良いことだとの【思い込みの信仰心】が強すぎるためである。

貿易の自由化を極端に進めると、労働賃金の低水準の国に「生産拠点が移転」することは、この30年以上の経過を見れば明らかである。

それを、19世紀の理論である「リカードの国際的分業論」を、未だに念仏のように唱える人がいるが、今や19世紀のような物の移動の自由が、制限された時代ではなく、物流システムの飛躍的進化で、環境は大きく変わっているのだ。

 

このような認識が薄い歴代の政権と民間企業経営者たちは、【労働者の賃金を抑制】することで、生産コストを抑えて【国際的な価格競力】を維持しようとした。

これが「賃金デフレを引き起こす」要因となって、「非正規雇用社員」の増加を、経済合理性があると強弁して、人材派遣企業などが躍進してしまった。

また、「外国人研修生の増加」をはかって、低賃金労働の分野を広げて、その影響で【日本人労働者の賃金引き下げの悪影響】を増加させてきた。

また、地方政府が「低賃金の仕事」にしがみつく小企業を、なんとか生き伸びさせようとして、「最低保障賃金の引上げ」に抵抗してきた悪影響もある。

 

ここにきてやっと、賃金の抑制は消費購買力の減退を招き、【デフレ経済に停滞させる最大の原因】であると、安倍政権も気がついた。

民主党政権が政権公約にしていた「同一労働同一賃金」の基本政策も、安倍政権の三年目になって、取り組みを始めた。

「最低保障賃金の引上げ」は、民主党政権では全く怠慢だったが、2016年にはやっと引上げの動きにつながった。

この基本方向を、日本全体での合意された政策として、着実に実行していけば、賃金デフレの要因は解消される。

あとは、【自由貿易至上主義の誤った信者】たちを、政権の中枢から放逐して、民間企業経営者には、低賃金化のコストダウンは厳禁と通達することだ。(続)

 


トランプ大統領流の資本主義を見てみよう。

2017-02-07 | 国創り政治問題

20世紀後半の「先進国の修正資本主義経済」は、成功して豊かな社会が実現していて、アメリカ社会は世界の模範になっていた。

それが、新興国の台頭もあって、新自由主義経済が「世界経済を不安定化」させて、貧富の格差を拡大させる最大の原因となった。

アメリカ社会の格差拡大と治安の悪化が、トランプ新大統領を誕生させて、「これから不安定化したアメリカ社会を再生する」と、宣言している。

自由化以前の制度に戻す「保護貿易主義」とか、「アメリカ第一の鎖国的」との懸念が出ているが、トランプ流儀の資本主義経済をどのように打ち出していくのか、世界中が見守っている。

 

日本では自動車企業の海外生産に影響が出るだろうが、そのような一部の産業の問題ではなく、不安定化する世界経済と治安の悪化をどう食い止めるかの問題だ。

トランプ氏はビジネス界出身で、少なくとも不動産投資が不利になったり、事業家が混乱するようなことはしないであろう。

治安が乱れるような事態になれば、不動産投資が不利になるのは歴然としている。

だから、メキシコとの国境に万里の長城並みの壁を建設して、不法な越境者を締め出す政策の実行を急ぐはずだ。

テロ攻撃の危険性が高いことの防止策として、治安悪化国の入国者の審査を厳重にして、とにかく、アメリカの治安維持を最優先する。

 

国際的に多国の人材を活用する企業は、移動の自由を制限されることで、【企業活動の活力を奪う】と不満を言うが、それよりも治安維持を優先するだろう。

大多数の製造業や不動産業界にとっては、不安定国からの入国を制限したほうが、不安定な原因が減るからだ。

これを批判して、EU諸国をはじめとした、富裕層の多い国の識者たちが、入国制限や人の移動の管理を強化すると、経済活動の支障が出る、と言い張っている。

しかし、自国の治安維持には、足元からの不安定化に対する施策は、打つ手なしで、失業率の増加や低賃金労働者の不満を和らげることもできない。

まずは非難する前に、自国の雇用の確保と労働者の賃金水準を適正に保つことだ。

 

アメリカに対する批判は、移民の自由化の失敗を認めない、【欧州のエリート層の傲慢でしかない】と、トランプ大統領は不満が言いたいだろう。

日本では、治安維持が世界では最良であり、危険性のある国からの入国審査も厳重で、トランプ大統領は、日本の後を追いかける立場である。

そのトランプ氏に保護貿易のメリットを教える立場にはないが、日本のデフレ脱却には「アベノミクス」だけでは不足している、と説明するだろう。

雇用の創出は、政府の最重要な責任であり、底辺での働く人たちの賃金水準と、将来の福祉政策を確立する責務を負っている。

日本政府は、トランプ氏の保護主義の先を進んで、世界に模範を示すのだ。(続)


成功したのは資本主義ではなく、修正資本主義である。

2017-02-06 | 国創り政治問題

20世紀の後半を通じて、世界は大きく二つの陣営に分断されて、経済政策は競争環境に晒されてきた。

欧米の先進国家が採用した資本主義経済国家と、国家の官僚が支配する「全体主義経済」「社会主義経済」「共産主義経済」の争いである。

1990年までに、この経済制度の優劣は、ほぼ決着がついて、ソ連を代表とする社会主義国家は体制崩壊した。

一部の小国が「社会主義経済国家」として、生き延びているが、経済制度の優劣は歴然としている。

これをもって、「歴史の終焉」などと、最終的な結果が出たとした経済評論家がいたが、無学浅薄のはなはだしい典型である。

 

資本主義経済は、全体最適な世界制度を狙った官僚支配に対しては、成功している制度であるが、至るところに多くの問題点を抱えている。

対抗する社会主義制度が存続している間は、資本主義経済は「労働者への利益の還元」を、できる限り優先してきた。

労働環境の悪化を防ぐ、「労働組合法」などで、労働者の給与を高くする方策を実施して、政府は労働者の不満を最小にする政策を優先的に実施してきた。

経営者側も利益の配分を、労働者の給与や労働環境の改善、社会福祉の充実へ回して、資本家側への利益還元を後回しにする。

資本家は、労働者の不満が高まって、社会主義への革命でも起きたら損失が莫大だから、資本主義経済は資本家の利益よりも労働者への恩恵が大きかった。

 

このように、政府が積極的に労使関係に口を出して、制度的に労働者への配分を増やす努力を重ねた結果が、社会主義経済の非効率を打ち破ったのである。

これは、資本主義の原理から外れた『修正資本主義』と呼ぶべき制度で、20世紀後半には最も世界の経済を促進させた政治的な制度である。

ところが、アメリカ人の生活が世界一豊かになった成果は、「資本主義制度の貿易の自由化、投資の自由化、人の移動の自由化」が、効率的だからと勘違いをした。

それに便乗した【新自由主義経済】が悪乗りした【浅薄な経済理論】で、政府の介入が市場を歪めると非効率で、経済活動に介入するのは悪だ、と決めつけた。

 

規制緩和を徹底的に進めて、市場原理の競争環境に任せることが、効率的な経済制度だ、として世界的な自由化路線を推し進めてしまった。

資本主義の徹底が世界を豊かにして、紛争を最小にすると豪語した「新自由主義経済」は、世界の先進国での【収入格差の拡大】を招いた。

【資産格差の無制限の拡大】が、マネーゲームの横行を増大させて、経済活動の不安定化を冗長させている。

このようにして、20世紀後半に『成功した修正資本主義』を、愚かな【新自由主義経済論者】が、世界的に不安定な社会に向けて突っ走っていた。(続)

 


資本主義は資本家の利益を生む為ではない、と転換せよ。

2017-02-05 | 国創り政治問題

現代の経済制度は、資本主義の発展によって支えられている。

どの国の国民も経済発展に向けて、経済の制度を選択する権利があるが、今では「資本主義経済」しか残されていない。

封建制度の時代では、領主や貴族だけが「経済発展の恩恵を受ける制度」であって、領民は領主に奉仕するだけで、生活をなんとか成り立たせていた。

それに不満を持った労働者が、権力を奪って「全体主義国家」や、「共産主義国家」、「社会主義国家」を作って、経済制度を運営したが、ことごとく失敗に終わった。

生き残った制度でなんとか機能しているのは、「資本主義による経済」だけが、今までは人々の生活を豊かにしてきたから、支持されているのである。

 

ところが21世紀になって、【貧富の格差が許容範囲を超える広がり】に達して、ついに反乱が各地で起き始めた。

それは「新自由主義経済学」が、世界各国に広がり始めて、【国際金融資本家の権力が拡大した】悪影響である。

資本主義経済は、現代の技術進化による発展社会にとっては、大きな資金投下を必要とする制度としては適切な方式である。

技術開発による新事業では、失敗のリスクがあるから、大量に資本と投下するには経営者は躊躇する。

しかし、有限責任の範囲での資本出資は、資本家にとってはリスクを最小化できるから、有望な事業には積極的にリスクをとって投資が出来る。

 

この新事業への投資が効率的に可能なのが「資本主義経済」の有利な点で、この制度のもとで、産業革命や技術革新が活発に行われて、国民に恩恵が回った。

しかし、新自由主義の誤った理論で、「グローバル化された世界市場」での、「お金の移動」と「自由貿易拡大」を無節操に広げたために、マネーゲームが起きた。

本当の経済発展は、技術革新と経営の効率化によって、その受益者となる国民に「消費購買力の増加」が、もたらされることにある。

しかし、お金の流れを自由化して、「投下資本の利益率」が最良の地域に移動できる制度のもとでは、先進国では「利益率が低下傾向」になる。

それは、生産拠点を留めるための競争上から、労働者の賃金を下げる必要が生まれるからである。

 

アメリカではメキシコに生産拠点が大量移動したのは、資本家の利益追求である。

EUでは、労働者の賃金が低い東欧諸国に移転し、それと並行して大量の低賃金労働者が移民として出稼ぎに来たので、低賃金化が進んでしまった。

これによって資本家の利益を確保ができて、資本主義の制度を利用しているのだ。

儲けた利益は、【租税回避地を利用して税金を納めない】のが定着している。

こうした資本主義は、不満の爆発で崩壊する危険性が増すばかりである。

資本主義制度を、現代の大問題に対応するように転換しなければ爆発する。(続)


雇用の創出が第一だが内需拡大につながる給与増加が。

2017-02-04 | 経済問題

日本が1990年代以降に、【デフレ経済に向かって低迷】した原因は、自由化の波に乗り遅れてはいけないと、安易に考えた「似非経済学者」の悪影響である。

アメリカがなんと言おうと、可能な限り自由化を遅らせて、雇用の確保と賃金水準を高く保つ努力をするのが、正解であった。

家電製品や自動車生産の海外移転が加速する状況で、少しでも国内に生産工場を止めようとして、従業員の給与を抑えたり、非正規雇用社員を増やしてきた。

その結果が、慢性的な需要不足経済に陥り、大手企業は国内への新規投資を最小に抑えることで、余剰の資金を内部留保と海外への事業展開にまわした。

 

日本は深刻な失業率の増加には遭遇しなかったが、景気低迷の活性化策として、公共事業の増加を図ったりして、雇用の落ち込みを出来るだけ抑えてきた。

しかし賃金の上昇は一切なくなり、非正規社員の増加で、4割にも達する比率の人が、正規雇用社員よりも圧倒的に低い賃金で働いている。

この状況を直視しないで、「アベノミクスのような金融政策」で、国内投資を増やそうとするのは、見当違いも甚だしい。

公共事業の増加は、確かに建設業界の賃金水準を押し上げたが、それ以外の産業には効果は生まれない。

この状況のままで、超金融緩和は続けざるを得なくなって、慢性的なデフレ経済が長引くことになる。

 

トランプ大統領は、日本の超金融緩和政策が、円安に誘導する悪影響が起きるとして、安部首相との会談では、要求を突き付けてくるだろう。

なにしろ、アメリカの最大の問題は、失われた製造業をあらゆる方策で呼び戻して、国内の雇用を増やすことが、優先する政権公約となっている。

日本の円安誘導が、【輸出を不利にしているとの思い込み】は、対日要求の一番目に来るのは確実だ。

日本側の雇用確保はなんとか状態が収まっているが、超金融緩和を収束させる過程では、円高に以降する恐れが最大になるだろう。

日銀の超金融緩和政策は、遠からず「収束に向けての金融引き締め」に向かう。

 

その時期には、デフレ経済が脱却できているとは思えない。

安部政権の打ち出すべき政策は、とにかく国内需要の拡大が最大の課題であり、あらゆる政策手段を動員して、消費購買力を増加させることである。

それには、給与の増加が毎年のように実施されて、将来の不安な状況を、改善する事である。

『最低賃金の引上げを最大限に実現』し、「官製春闘の後押しを強化」することで、渋る経団連や大手企業は、確実にベースアップを実行するように仕向ける。

それを実施しないサボタージュ企業には、法人税法の改定で重税をかける。

これくらいのことを実行しなければ、日本はデフレのまま停滞するだろう。(続)

 


日本は元々は保護貿易を国是として経済発展してきた。

2017-02-03 | 経済問題

保護貿易主義の復活だと大騒ぎをしている「マスメディアの論調」は、成果の潮流が自由貿易を経済発展の必須要素であるかのように、固定観念に固まっている。

日本の高度経済成長気には、弱体の産業を守ることが国是として、日本中の世論は保護貿易を守るべき制度としてきたのである。

1980年代までの間には、各産業域での弱小な事業者を保護するために、関税による障壁を設けたり、法律や制度による「非関税障壁」を設けて、弱小な事業者の近代化や事業者の競争力を高めて行く政策を講じてきた。

これを、時の政府と中央官庁で一体となって、日本全体のバランスをとりながら、産業の競争力を強化してきたのである。

 

今のトランプ大統領が【日本がやってきた保護政策】を、しっかりと勉強して、有能な側近に具体的な政策を立案させるのに、泣いて喜ぶ成功事例が多い。

いつの段階からか判然としないが、1980年代末期の「不動産バブルの崩壊」によって、日本が大不況に陥りかけた時期に、「アメリカ発の新自由主義経済」が、流行の波に乗り始めて日本に上陸した。

不況からの脱出には、【規制緩和を徹底的に実施】して、【民間企業の活力を自由に発揮させる】のが、経済の再生には不可欠だ、とした。

それに輪をかけて、冷戦の終結によって、「自由貿易の方向への転換」が、加速し始めた。

日本の保護貿易政策を、アメリカの国益追求によって、開国を迫ったのである。

 

世界第二の経済大国になっていた日本は、弱小な産業は「貿易自由化」によって、国際競争力を外圧によって押し上げるか、できなければ消滅もよしとした。

アメリカが貿易自由化の波を加速して、「北米自由貿易協定NAFTA」を締結したのも、このころの「新自由主義経済」の論者のイデオロギーに従ったのだ。

その結果は、アメリカはトランプ大統領が指摘するまでもなく、製造業の大半が【国際競争力を失った】ことで、大量の低賃金労働者層が増加して、中産階級が弱体化する中で、国の豊かさを失っていった。

日本も同様に、生産拠点の海外展開が加速していき、国内に残った産業でも、【非正規雇用労働者の拡大】によって、低賃金化が潮流になっていく。

 

その結果のしわ寄せは、社会不安と将来への展望が持てなくなった低所得層と、【若年層の晩婚化、非婚化、子供を持たない世帯の増加】で、消費不足経済が慢性的に広がっていき、日本の人口減少社会への転落が、明確になっている。

「アベノミクス」のような見当違いの金融政策では、消費の回復もなく、次世代産業の育成も全く成果を生む様相にはならない。

やっと「賃金デフレが大きな原因」であると気が付いて、最低賃金の引上げや、「官製春闘」の掛け声で、とにかく「賃金デフレからの離脱」を図っている。

次の課題は、保護貿易政策への回帰であり、トランプ氏とウマが合うだろう。(続)


自動車の企業経営者は短期利益よりも長期の雇用を重視せよ。

2017-02-02 | 経済問題

民間企業の都合よりも、国の基本政策が優先するのは当然のルールである。

今回のアメリカのトランプ大統領が、政権公約で実行に移したのは、アメリカの基幹産業として、自動車生産をアメリカ国内に引き戻す、とした。

そのためには、これから移転したり、新規に建設する自動車生産工場を、自国内に止めるためにはあらゆる政策手段を動員する覚悟であろう。

これからの計画を実行しようとする自動車経営者は、「アメリカ人に買ってもらう自動車」は、アメリカ国内での生産を第一に考えることであろう。

北米自由貿易協定が、アメリカの製造業の流出を招いたのは明らかだから、アメリカとメキシコとの再交渉によって、自動車の製造をアメリカに戻すのだ。

 

民間企業が口を入れる段階の問題ではない。

日本の自動車企業は、一時期の日米自動車摩擦の問題が発生した時期に、輸出数量の自主規制を実施せざるを得なくなった。

そして、順次に「アメリカ向けの自動車の生産をアメリカ国内に移転」して、アメリカ人の不満を買わないようにして、順調に生産を拡大してきた。

ところが、「北米自由貿易協定(NAFTA)」が始まると、人件費の安いメキシコへの工場進出を実施し、次々に拡大してしまった。

ついに、メキシコ生産の自動車のアメリカ販売が50台以上に達して、さらに拡大しそうな勢いに、トランプ大統領が我慢しきれなくなった。

 

メキシコとの貿易協定を二国間の相互利益に向けて、再交渉をする事態になる。

自動車産業は、多くの部品製造産業を抱えて「裾野の広い膨大な雇用」を維持する産業である。

それが、自由貿易協定が変更になると、途端に計画が崩れて、次々に余分の経費が積み重なってしまうのは、経営者の判断の誤りであろう。

一時期の日米自動車摩擦熱の経緯と対応策の基本理念を踏まえていれば、メキシコへの製造工場に移転は、経営判断で小規模にとどめているのが正しい。

初めから、アメリカ向けの自動車の生産計画台数分は、アメリカ国内の工場の建設や拡大によって、供給する計画にするのが雇用の維持と地域貢献になる。

 

それを、人件費の安い国での製造をねらって、生産コスト下げることはできても、「長期的な経営判断」に立てば、大きな移転経費の膨張が損失となる。

そして、メキシコにも損害を与えた上で、アメリカ人からの評価は低い。

トランプ氏のような「保護貿易に転換する大統領の誕生」は、予測ができなかった、という言い訳は、責任逃れに使えることができても、経営者の失敗である。

新自由主義経済は、既に行きづまりの様相であり、自由貿易の拡大によって、収入格差の拡大が強要できないレベルに達していた。

収入格差の拡大を止めるには、大量の雇用の創出を実行する責務があるのだ。

格差拡大に歯止めをかける方向転換は、経営者として予測すべきである。(続)


国の貿易収支のバランスをとる責任者は誰なのか。

2017-02-01 | 経済問題

日本は幸いにして、高度経済成長時代に進歩した「ものつくりの技術」が、まだ健在で頑張っている企業が多く、輸出競争力を維持できている。

極端な円高になって「貿易収支が赤字になってしまった」時代を除けば、日本の財政は健全と言える。

しかし、将来とも安心できる状態とは言えず、常に次の時代に海外に輸出できる産業を育成していくことが、国策として重要な課題である。

一時期に日本の財政を支えたい家電製品や自動車の生産では、7割以上が海外製造に移転しているので、次世代の産業育成は急務になっている。

その産業育成を、民間企業だけに任せていると、アメリカのようになってしまう。

 

アメリカのトランプ新大統領が当選するまでは、貿易収支の赤字に無頓着で、野放図に貿易自由化を進めたアメリカの製造業は、壊滅的に衰退している。

特に中産階級を生み出した自動車関連産業では、ビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)が、製造業としての研究開発を怠たり、メネーゲームによる収益追求に重点を置いてしまった。

アメリカ全体が、ものつくりの重要性を捨ててしまって、一部の軍需産業以外の製造業は、世界に技術水準から遅れるばかりであった。

これでは、安い人件費での製造しかメリットがなくなり、メキシコやカナダに生産拠点が移転するのは当然の成り行きであった。

 

ブッシュ政権とオバマ政権と、どちらの時代にも製造業界は、海外生産しか経営が成り立たない状況になって、アメリカの貿易収支は極端に悪化した。

その上に、海外での紛争を引き起こして、軍事費が膨大に膨れるばかりで、これではアメリカの財産が流出する一方になる。

国の財政のバランスをとる責任が、大統領にあるのは言うまでもない。

ところが、「新自由主義経済論者」は、経済活動は民間に任せて、市場経済、取引の任せることが、最も効率の良い経済効果を生み出す、との一点ばりであった。

ついに、金融バブルの大破綻にあい、国の支援策の最重点が「金融業界の救済」に向けて、政府の介入で支えるしか、やりようがなくなった。

 

次に介入すべき対象は、自動車産業のように、競争力がなくなっている現状を、とにかく紅葉を回復して、活性化しなければ再生は不可能である。

トランプ大統領が、メキシコからの輸入自動車を減らすために、関税をかけてでも、「アメリカ生産の自動車」の価格競争力をあげるのは、苦肉の策である。

関税による「保護貿易」によって、自動車産業に復活の機会を与えて、貿易収支の改善を図ろうとするのは、大統領としての責務を果たす主権の行使である。

自由貿易化の長期的な理念に逆行する、とか、産業政策に政府が介入するのは時代遅れとか、評論家や理想主義者は無責任に言えるが、きれいごとに尽きる。

国が衰退に向かっている時期に、理想論ときれいごとでは無責任すぎるのだ。(続)