アメリカのトランプ新大統領を早々に訪問して、二国間の問題を解決するには、まず「首脳同士の人間関係を良くして信頼関係を築く」との方針であった。
世界中から、その言動に批判が強かった「トランプ大統領にとっての良き理解者」を演じた安倍首相は、歴代の日本の首相の中で、最大級のもてなしを受けた。
アメリカ大統領にとっては、四面楚歌の状況での支援者を迎えることは、理解者が増えるきっかけになると、最大級の賛辞をお返しにしてくれた。
これで、国境に壁を築くことにも、自信を深めただろう。
何しろ、日本には天然の壁(周囲が海面)が歴然とあるから、不法越境者を防ぐことで、国内治安を最大限に追求をしている先進国である。
入国審査の厳しさも、世界最高レベルの管理水準で、危険な状況の国からの「入国審査の厳格化」は、お手本にすべき国と見られる。
トランプ大統領が憲法違反として異議を挟まれた、一時的な入国審査の保留期間が3ヶ月も必要なく、日本流に見習えば、すぐに実行できる。
さらに、日本は保護貿易が基本であり、国内産業を守るためには、関税をかける事、輸入制限をする事、非関税障壁と言われる国内規制を厳しくしている。
トランプ大統領が実行したい事は、ほとんどが、日本では実行済みの制度である。
ゴルフプレーの間や食事会のレベルでの会話から、トランプ新大統領は、日本の安倍首相からの情報を、見習うべき事と受け取ったに違いない。
とは言っても、ビジネスマン出身のトランプ大統領にとっては、二国間の貿易収支が大幅なマイナスである事は、許容できない事実である。
特に自動車産業の発展は、アメリカの歴史的なシンボルであって、大量の輸入車がアメリカの労働者の職場を奪っている現状には、我慢がならない。
日本車の技術レベルが急速に進歩して、アメリカの自動車産業の発展にブレーキをかけた時期に、日本車叩きが頻繁に起きた。
金銭的な感情だけではなく、自尊心を損なわれたくらいの屈辱感であろう。
その時期以来、日本の自動車企業は輸出を少なくして、時間をかけて「アメリカ国内産業」として移籍をしてきた。
だが、今回は日本からの輸出だけでなく、隣国のメキシコに生産を移転した事が、
アメリカ人の不公平感をあおり、二国間の貿易制限の問題に発展している。
安倍首相は、トランプ大統領の厚遇に油断する事なく、アメリカ人の不公平感を和らげる心理的な政策を提言していかなければならない。
お膝元の日本の経済は、消費購買力不足が経済の活性化にブレーキを掛けている。
申し訳程度の給料増加では、日本経済の停滞は慢性的に長引いてしまう。
本来の経済政策は、日本の国内産業の将来戦略であり、節約志向一点張りからの「国民が明るい未来を描ける国つくり」の構築である。
円安誘導による輸出増加の経済立て直しは、すぐに海外の障壁にはばまれる。(続)