日本が1990年代以降に、【デフレ経済に向かって低迷】した原因は、自由化の波に乗り遅れてはいけないと、安易に考えた「似非経済学者」の悪影響である。
アメリカがなんと言おうと、可能な限り自由化を遅らせて、雇用の確保と賃金水準を高く保つ努力をするのが、正解であった。
家電製品や自動車生産の海外移転が加速する状況で、少しでも国内に生産工場を止めようとして、従業員の給与を抑えたり、非正規雇用社員を増やしてきた。
その結果が、慢性的な需要不足経済に陥り、大手企業は国内への新規投資を最小に抑えることで、余剰の資金を内部留保と海外への事業展開にまわした。
日本は深刻な失業率の増加には遭遇しなかったが、景気低迷の活性化策として、公共事業の増加を図ったりして、雇用の落ち込みを出来るだけ抑えてきた。
しかし賃金の上昇は一切なくなり、非正規社員の増加で、4割にも達する比率の人が、正規雇用社員よりも圧倒的に低い賃金で働いている。
この状況を直視しないで、「アベノミクスのような金融政策」で、国内投資を増やそうとするのは、見当違いも甚だしい。
公共事業の増加は、確かに建設業界の賃金水準を押し上げたが、それ以外の産業には効果は生まれない。
この状況のままで、超金融緩和は続けざるを得なくなって、慢性的なデフレ経済が長引くことになる。
トランプ大統領は、日本の超金融緩和政策が、円安に誘導する悪影響が起きるとして、安部首相との会談では、要求を突き付けてくるだろう。
なにしろ、アメリカの最大の問題は、失われた製造業をあらゆる方策で呼び戻して、国内の雇用を増やすことが、優先する政権公約となっている。
日本の円安誘導が、【輸出を不利にしているとの思い込み】は、対日要求の一番目に来るのは確実だ。
日本側の雇用確保はなんとか状態が収まっているが、超金融緩和を収束させる過程では、円高に以降する恐れが最大になるだろう。
日銀の超金融緩和政策は、遠からず「収束に向けての金融引き締め」に向かう。
その時期には、デフレ経済が脱却できているとは思えない。
安部政権の打ち出すべき政策は、とにかく国内需要の拡大が最大の課題であり、あらゆる政策手段を動員して、消費購買力を増加させることである。
それには、給与の増加が毎年のように実施されて、将来の不安な状況を、改善する事である。
『最低賃金の引上げを最大限に実現』し、「官製春闘の後押しを強化」することで、渋る経団連や大手企業は、確実にベースアップを実行するように仕向ける。
それを実施しないサボタージュ企業には、法人税法の改定で重税をかける。
これくらいのことを実行しなければ、日本はデフレのまま停滞するだろう。(続)