現代の経済制度は、資本主義の発展によって支えられている。
どの国の国民も経済発展に向けて、経済の制度を選択する権利があるが、今では「資本主義経済」しか残されていない。
封建制度の時代では、領主や貴族だけが「経済発展の恩恵を受ける制度」であって、領民は領主に奉仕するだけで、生活をなんとか成り立たせていた。
それに不満を持った労働者が、権力を奪って「全体主義国家」や、「共産主義国家」、「社会主義国家」を作って、経済制度を運営したが、ことごとく失敗に終わった。
生き残った制度でなんとか機能しているのは、「資本主義による経済」だけが、今までは人々の生活を豊かにしてきたから、支持されているのである。
ところが21世紀になって、【貧富の格差が許容範囲を超える広がり】に達して、ついに反乱が各地で起き始めた。
それは「新自由主義経済学」が、世界各国に広がり始めて、【国際金融資本家の権力が拡大した】悪影響である。
資本主義経済は、現代の技術進化による発展社会にとっては、大きな資金投下を必要とする制度としては適切な方式である。
技術開発による新事業では、失敗のリスクがあるから、大量に資本と投下するには経営者は躊躇する。
しかし、有限責任の範囲での資本出資は、資本家にとってはリスクを最小化できるから、有望な事業には積極的にリスクをとって投資が出来る。
この新事業への投資が効率的に可能なのが「資本主義経済」の有利な点で、この制度のもとで、産業革命や技術革新が活発に行われて、国民に恩恵が回った。
しかし、新自由主義の誤った理論で、「グローバル化された世界市場」での、「お金の移動」と「自由貿易拡大」を無節操に広げたために、マネーゲームが起きた。
本当の経済発展は、技術革新と経営の効率化によって、その受益者となる国民に「消費購買力の増加」が、もたらされることにある。
しかし、お金の流れを自由化して、「投下資本の利益率」が最良の地域に移動できる制度のもとでは、先進国では「利益率が低下傾向」になる。
それは、生産拠点を留めるための競争上から、労働者の賃金を下げる必要が生まれるからである。
アメリカではメキシコに生産拠点が大量移動したのは、資本家の利益追求である。
EUでは、労働者の賃金が低い東欧諸国に移転し、それと並行して大量の低賃金労働者が移民として出稼ぎに来たので、低賃金化が進んでしまった。
これによって資本家の利益を確保ができて、資本主義の制度を利用しているのだ。
儲けた利益は、【租税回避地を利用して税金を納めない】のが定着している。
こうした資本主義は、不満の爆発で崩壊する危険性が増すばかりである。
資本主義制度を、現代の大問題に対応するように転換しなければ爆発する。(続)