庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

デフレ経済に陥らせた最大の原因は自由貿易の節度なき信仰だ。

2017-02-10 | 経済問題

今や先進国の問題で解決策が不透明なのは、「デフレ経済への停滞」に対する有効な解決策が提示されないことである。

日本は20年以上もデフレ経済状態になり、安倍政権の「超金融緩和政策」は、初めの出だしこそは、「円安誘導効果」が功を奏して、株価の上昇を招いた。

円安効果による輸出依存企業の若干の収益増加があるが、輸入依存度の高い企業にとってはマイナスに要因しかない。

今では日本の輸出依存度は15%程度であるから、円安誘導が経済にとって好影響があるとは限らない。

それを、株価の上昇の機運に毒された「マスメディアの論調」が、「アベノミクスの成果だ」と持て囃したので、超金融緩和政策の成果だと勘違いさせる。

 

それでも、経済の活性化には、輸出依存企業の経営を支援することが、国益にかなうとしているが、今や企業利益の大半は内部留保か海外への投資にまわる。

輸出依存企業の大半の株式は外資系の所有であり、需要の増加が見込めない「日本国内への投資」は、ほんのわずかしか回さない。

株主は、日本の経済の活性化などは「関心の対象外」であり、「投下資本利益率」が最大の市場に興味があるだけである。

だからと言って、「投下資本利益率」を、新興国に対して先進国が優位に保つのは至難のことであり、幻想に近い。

安倍政権は、「TPP交渉が批准」されれば、日本国内への投資が増えることは間違いないと、盲目的に信じているだけである。

 

ここに来て、アメリカの労働者の反乱ともいえる「トランプ政権の誕生」によって、「TPP交渉の批准」は破棄された。

アメリカ国内に投資を呼び込むとの狙いが、トランプ大統領には理解不能の「盲目的な経済論」として退けられたのである。

これを持って、「保護貿易主義」の経済に逆行していくとの批判が世界中に吹き荒れているが、自由貿易をさらに推進する根拠は疑問だらけである。

自由貿易協定によって、利益を最大に得るのは、NAFTA(北米自由貿易協定)の20年間を見れば明らかである。

隣国のメキシコが経済発展して、製造拠点を喪失したアメリカは、製造業に従事していた「中産階級が激減」した。

 

トランプ大統領が、「アメリカに雇用を取り戻す」と政権公約して、これから「NAFTAの再交渉」にはいるが、成果の方は不透明である。

そんな状態にありながら、日本の安倍政権は「多国間の自由貿易協定」が、日本の経済活性化に貢献して、将来の中間所得層を充実させる、と盲信している。

安倍政権の経済政策ブレーンは、既に、超金融緩和政策の効果に白旗を掲げ、国内と投資を活性化させる別の政策の必要だというが、何も出ない有様だ。(続)


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