安倍政権の経済政策の基本は、超金融緩和によって円安に誘導して「輸出競争力を向上」させることで、輸出金額を増加させる「GDP成長」をねらっている。
しかし、一時的には円安での輸出増加があっても、輸出企業だけが潤い、輸入企業や一般国民には経費増加の負担が増えるだけのデメリットしかない。
その上に、アメリカの大統領の交代による「バイアメリカン政策」によって、今後は、アメリカへの輸出金額は確実に減ってゆくであろう。
中国経済の失速による経済成長率への貢献度は、大幅に減少する。
すでに2016年の経済成長率は1%程度に落ち込んでいる上に、2017年の予測も、日本はデフレへの停滞が懸念される状況である。
このような状況で、「規制緩和による新産業の創出」は、全く進んでいないといえるから、このままでは成長率もマイナスに落ち込むであろう。
このような状況が伝えられるから、消費する意欲はますます減少する。
安倍政権が躍起となって【官製春闘】を主導しても、国民の節約意識は高まる一方で、GDPの6割をしめる消費金額は、停滞か減少に転じる。
八方ふさがりの状況になるのは、安倍政権が日本の国の将来展望を示さずに、目先の経済成長ばかりを強調する弊害である。
国民は多少の収入が増えても、将来の生活不安のためには、できる限り節約をして「貯蓄を増やすだけに収入増加を回す」自衛心理に向かっている。
アメリカ人は、超金融緩和による「インフレターゲット政策」とか、「公共投資増加の景気対策」に反応して、消費を増やす傾向にある。
しかし日本の国民は、もっと貯金を増やして「将来の安心感」を高める事を、生活の基本にしている。
デフレ脱却が難しいのも、「日本人の長期的な堅実さを志向する心理」を十分に配慮していないからである。
【カジノの公認で、景気対策】だ、などと、不健全な心理を煽る【安倍政権には理解不可能】であろう。
経済対策の基本は、『将来の安心感と豊かな生活を志向する堅実な精神』を理想とする日本人に、応える事から始めなければならない。
その点で、エネルギー政策に関する基本が、全くできていない。
従来の自立できるエネルギーは、「原子力の平和利用である」と理想論を掲げて進めた【原発拡大政策】は、完全に破綻しているにもかかわらず、捨てきれない。
【負の遺産となる原発】を維持して、地元の雇用対策とか、大手の原発発電関連企業の既得権益を保護する身内優先の政策で、国民全体の意思に反している。
これで再稼動も微々たる状況を続ければ、国民の不安感は高まるばかりである。
ほとぼりが覚めれば、原発再稼動反対は治ると、タカをくくっていたら、東芝のように破滅に歩む事になるだろう。エネルギーの自立こそ肝心の政策である。(続)