G20サミットの議長役を担う日本の安倍内閣は、アメリカのトランプ大統領の翻弄作戦には、かなりの気配りを要した。
トランプ大統領の政策実現の重要度は、民主党政権に対する「反既存勢力(エスタブリッシュメント)主義」の政権公約実現だ。
トランプ大統領の政権公約には、EU諸国が主導する「温暖化対策への反発」が、アメリカ国民にアピールすると思い込んでいる。
従って、このG20サミットにおいては、「パリ協定に従う宣言」は、一切拒否する姿勢である。
そのようなアメリカの意向では、EU諸国や先進性イメージする掲げるリーダーたちの賛同は、得にくい宣言になってしまう。
そこで、新たに世界的問題となっている「海洋プラスチックごみ問題」を、大きな世界的課題として掲げることで、焦点を逸らす作戦だ。
どうやら、この戦術は功を奏したようで、環境大臣会合でも「日本が主導する大きな世界的テーマ」とすることに成功した。
最終的な「大阪宣言」に盛り込んで、今回のサミットの成果として、世界にアピールできる「日本主導の世界環境の取組み」となるだろう。
しかし、京都議定書時代のことを振り返ると、国際会議でのアピールを、国内の抵抗勢力によって、実効性を削がれるのが日本の悪癖だ。
今度こそ、世界が認める実効性のある具体策を作り出すチャンスだ。
日本の、本気度が試される先行事例に取り組める状況でもある。