日本は地球温暖化対策では、2030年目標が先進国の中では、一番低いレベルの目標しか出していない。
この分野では、日本がかって主導した「京都議定書の締結」においては、環境先進国の自信の下に意欲的な削減目標と評価されてきた。
しかし、その実戦での取り組みでは、海外での削減量をお金で買い取る「CDM」に依存する企業が続出して、日本の努力不足が目立った。
今回の「パリ協定での削減目標」は、2015年の時点での消極的姿勢が災いして、内容の乏しい甘い想定が大きく悪影響している。
特にエネルギー分野では、「石炭火力発電の温存と新設」を盛り込んでいるために、海外の有識者、経済関係者からは、お荷物と指摘された。
石炭火力発電のCO2排出は、高効率であっても「火力発電の中で、最大のレベル」になっている。
日本では、このCO2を分離して、地中に埋め留めておく手法(CCS)の手法に依存する方針を目論んでいる。
しかし、この方法は経済性に乏しく、将来は座礁資産(次世代への負債)になることは確実と指摘されている。
このような甘い計画でいるのに、G20での将来課題の方向性を主導していくとの声明だが、これでは議論が混迷するだろう。
海洋プラスチック汚染問題で、汚名を晴らす覚悟なら、パリ協定の見直しでも、決意のほどを世界に示す必要がある。