アメリカがロシアとの間で「中距離核戦力の全廃」を決めた条約を、破棄する方針を10月22日に表明した。
この条約は、当時のソ連大統領のゴルバチョフと、レーガン大統領との交渉で、1987年に締結されて、緊張緩和に大きな役割を果たした。
しかし、その後の指導者たちは30年間も何もしないで、ただ、中距離ミサイルの軍拡競争を続けて、今日の負の遺産を増やしている。
しかし、この条約は中国やインド、パキスタン、イランなど、新規の核保有国、その候補国を対象としていない。
その欠陥を放置したままでは、中距離ミサイル(射程500〜5500km)による核攻撃の脅威は増大する一方である。
ロシアは、この技術やミサイル本体を、今後の輸出商品にしたい意向があり、アメリカだけが損をしていると、トランプ大統領は言い出す。
ソ連の偉大な大統領ゴルバチョフに比べて、プーチンの核兵器削減に向けての意欲は大きく劣り、軍事力を商売にしようとする。
これでは、ロシアとの経済協力を長期的観点で取り組もうとする国は、ますます遠のくであろう。
日本との平和条約締結を急ぐ発言をしても、もう一方で、平和を遠ざける軍需品の商売ばかりを優先するようでは、信用は得られない。
日本は2島返還を急がずに、ロシアの中距離ミサイル削減に注文をつけて、核兵器削減への方向に働きかけていくべきだ。