約20年前の日本では、バブル崩壊後の金融混乱が収まらず、不良債券処理の優柔不断が災いして、日本全体が不況に陥っていた。
その中で、日産自体の経営悪化は、長年の非合理な企業体制を引きずって赤字体質に陥り、経営者の軟弱ぶりが、さらに経営悪化を招いた。
1兆円以上の借金を抱えて、社員の士気も衰える一方であった。
苦肉の策として、ルノーに出資支援を要請し、コストカッターの異名をとるカルロス・ゴーン氏を経営トップに迎え入れた。
4年で借金を返済する荒療治は、社員や関連会社から大きな恨みを買う仕事だが、外国人の特権を利用して、悪役を演じきった。
当時の日産的な体質の企業は、日本中の至る所にあったが、日産の荒療治に比較すれば、リストラ策もまだ温情主義に見える程度で済んだ。
乱世に秩序を取り戻すには、悪役を演じるリーダーが必要であることは、歴史が教えている。
日産の場合は、存亡の危機を乗り越えた後の、将来展望を描く段階でも、悪役を演じたゴーン氏に、頼りきっていたことである。
10年以後のゴーン氏の役割は、完全になくなっても、その威光を買いかぶって、大人物のように持ち上げた支援者の群がいた。
このようなもてはやしが、本当に自分が大人物だと錯覚を起こして、私利私欲に走った悪人に転落した。
ゴーン支援者の罪は重いが・・。