庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

世界経済での原理が進化しているのにメディアの頭の中は。

2016-09-15 | 経済問題

今までの経済学が「グローバル化された世界市場」となった状況で、すべてが通要するわけがない。

労働者の賃金を、使用者側と働き手の需給のバランスで決まるやり方は、先進国側の労働者の賃金引下げの圧力となって、先進国は軒並みにデフレに停滞する。

さらに、失業率が増加して、消費購買力も大きく減少するから、新興国からの輸出にも影響して、結局は世界全体の経済成長を押し下げていく。

つまり、従来の経済学の原理である「労働者の賃金を市場取引に委ねる」やり方では、経済の活性化にはあらゆるデメリットが出てしまうのである。

これを、政府の介入で「可能な限り引上げに働きかける」ことが必要になる。

 

れほど、明らかになっている現状に対して、「賃金政策のメディアの認識」は大きく遅れている。

安倍政権が企業利益の増加分を「可能な限り賃上げに反映」を働きかけた動きを、

「官製春闘」の造語を当てはめて、余計な介入のようなイメージで報道した。

本来は労働側が団結して、「雇用者側と交渉して勝ちとるのが賃上げ」だと、思い込んでいる20世紀的な頭に、こり固まっていた。

グローバル化された市場経済では、一企業の判断では「世界中の企業との競争に左右」されるので、賃上げに対するリスクは、おいそれとは負えない。

政府や自治体が介入して、賃金引上げの機運を作り出すしか、方法はないのだ。

 

それにもかかわらず、マスメディアの論調は、賃上げは「労働者と使用者側の交渉」で決まるのが正常で、政府が介入するのは異常事態だ、と言いたいようだ。

それでは、「非正規雇用社員」が4割を超えている現実をどうみているのか。

非正規雇用者たちの労働組合があるわけではなく、個別の交渉が「圧倒的に雇用者側に有利」である現実を知らないわけがない。

大企業の労働組合は、グローバル化によって海外企業との競争にさらされている現実をよく知っている。

それ故に、労働生産性が向上しているか、企業利益が増加しているか、などの個別の事情を考慮せざるを得ない。

 

しかも最近は、世界経済の不安定の現実から企業が諸浦に備えた非常時の対応に「内部留保」を増やすことを重視している。

将来に備えて備蓄を増やすことには、日本人は違和感なく賛同する国民性である。

このようにして、日本は消費性向が低下する国民性であるから、それを放置して労使交渉に委ねた賃上げでは、「デフレ経済から離脱」することが不可能になってしまう。

それを乗り超えるには、賃金の引上げを「社会的な責任」として、企業に負担させる制度切り替えていかなければならない。

その第一番手は、最低賃金の引上げであり、春闘への政府の介入である。(続)