庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

新自由主義経済と決別して政府の賃金上昇への介入を重視。

2016-09-12 | 経済問題

先進国の経済がデフレ状態になった場合には、政府は積極的に公共投資増やして、消費不足を解消することが、従来から主張されている経済政策である。

いわゆる「ケインズ政策」であるが、これだけでは、経済の一時的な下支えにしかならない。

最近の経済専門家は、これに加えて「賃金の引き上げ」を政府主導で実施することが、必要であると説明している。

公共投資で雇用環境を改善して、さらに、賃金の引上げを実現すれば、消費不足は解消に向かい、物価上昇率を押し上げる働きが生まれる。

これこそ、デフレ脱却に必要な経済の流れになるのである。

 

旧時代の経済学を信奉している専門家は、政府が介入して賃金引上げを実施したら、企業の実力以上の人件費の負担によって、価格競争力が低下する。

これでは、海外の安い輸入品との競争に負けるから、政府介入にょる賃上げなどは「もってのほかだ!」と、激怒するだろう。

これが怖くて、民主党政権は3年もの間、最低賃金の引上げには全く及び腰で、政権公約などは、反故にされていた。

しかし、最低賃金の水準でなければ、【価格競争力を維持できない】ような業種は、そもそも、日本で生産する価値があるのかもアヤシイ。

 

の最低賃金の人件費で競争している業種はサービス業が主で、外食、コンビニ、スーパーなどの販売業で、海外の人件費と競合関係にはない。

日本は海外の労働者を制限しているから、最低賃金を引上げても【仕事を外国人労働者の奪われる】状況にはならない。

確かに外注化による零細企業での製造業は、人件費が上がれば、外注費の値上げを注文主に認めて貰う必要があるが、それをクリアーしていく課題である。

地方自治体は、このような零細な製造業の人件費増加の負担を、軽減するために生産性向上の技術支援や設備の省人化を、支えることが必要である。

自治体任せではなく、政府の中小企業支援策を充実して、最低賃金の低い地方こそ、早急の賃金引上げを実行するべきだろう。

 

アベノミクスの第二段階では、「一億総活躍社会」の目標を掲げて、「同一労働同一賃金」の美名のもとに、人件費の引上げに積極的に働きかけるのだ。

そんなことをしたら、零細企業の倒産が続出して、雇用機会が失われて失業率が増大するからダメだと言い出す「旧時代の専門家」がぞろぞろ出てくるだろう。

しかし、最低賃金を低く抑えなければ成り立たないような業種や経営者は、そもそも、これからの社会にはお荷物になるから、退場してもらったほうが良い。

それよりも、底辺レベルの賃金水準が引上げられ、非正規雇用社員の比率が下がっていけば、社会全体としての消費購買力は大幅に向上する。

これを見越して、企業は新規投資と人材の調達に動き出し、経済は好転する。(続)