安倍政権が世界の主流の考え方に逆行して、「再生可能エネルギー技術進化」に否定的なのは理解ができない。
いや、世界の動きに疎いのではなく、国内の守旧派産業界に配慮しているために、国内での「再生可能エネルギー技術」がもて囃されるのを、抑制しているのだ。
守旧派産業界とは、石炭火力発電業界、原子力発電業界などが代表であるが、もっと広く捉えると、石油業界、や、【電力多消費産業界】に当たる。
つまり、これらの業界は「再生可能エネルギー技術」が進化すると、自分の業界が追いやられて今まで以上に利益が激減してしまう。
経営者の首は当然、危うくなる上に「経営縮小を迫られて、社員の解雇も必要になるので、完全に社会からは罪人の汚名を着せられる。
経営者も人の子であるから、社会全体の事よりも自分と家族のこと、自社の社員の方が大事であるから、守旧派と言われる仕事でも、第一優先で取り組んでいる。
世界がなんと言おうと、政府が掛け声をかけてこようと、「先ずは、目の前の仕事」を守り、1日でも長く維持できる事に力を入れる。
大企業が、「再生可能エネルギー源の技術開発」の取り組む姿勢は当然あるが、限られた社内資源と人材を割くのは、ごくわずかである。
新技術の開発と、それによって開拓すべき新事業分野は、投資効率が大幅に悪い仕事である。
雇われ経営者にとって、自分の在任中に成果が出る事は、まずないであろう。
それならば、守旧派と言われている今の本流の事業を、少しでも長続きさせる事で、自分の成果として次に引き渡すのが、まともな選択である。
再生可能エネルギー分野の仕事は、しっかりと取り組んでいるポーズを示すのが、最も適切な事業経営である。
こうして、日本の主力の産業界は、【大企業病の経営】に陥って、世界の主流からは大きく遅れてしまったのである。
これから抜け出すためには、将来性のない事業分野を、早期に撤退させる経営戦略にして、浮いてくる経営資源と人材を、「次の時代を担う新産業分野」に当てる。
大企業の経営戦略は、「スクラップ&ビルド」にしなければならない。
ところが、安倍政権はこのスクラップにしていくべき産業を、少しでも長続きさせる事に、国民の貴重な税金を投入して、景気浮揚を図ろうとしている。
これでは、大企業経営者は、ますます、自分の時代の事業を大事にするしか、生き残る方法は見つけられなくなる。
こうして、日本の経済界は、世界が「再生可能エネルギー分野」への投資を加速している時期に、すべての資源を、旧時代の生き残り事業に投資してきた。
15年間経っても、ビルドに相当する「再生可能エネルギー」が、育成できていないのは、この自民党政権が【大企業病を慢性化】した悪影響である。(続)