庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

旧時代産業の仲間入りをした家電産業の大きな過ち。 

2012-11-04 | 経済問題
日本の経済を停滞させた大きな原因に、旧時代産業の言い分を聞きすぎて、21世紀に通用する新産業の芽を摘み続けてきたことにある。
旧時代産業の代表は、付加価値の低い大量生産事業で、1990年頃までは日本経済の牽引力となっていた産業である。
これらは、日本の円がまだ180円/ドルのレートであった時代には、国際競争力があって、輸出競争力も強い状態で、日本の経済発展に貢献してきた。

しかし、高度経済成長に時代が終わり、安定成長指向に変化してからは、「高付加価値商品」が要求される様になった。
これに対応した内需指向の起業が必要なのだが、大量生産企業の過去の成功体験に染まった経団連などが力を持って、対応策を誤ってしまった。
中小規模の「多様性のある少量生産・高付加価値商品」を、軽視する経済構造に固執してしまった。
大量生産、大量消費のモノ作りを転換して行くべき段階に、相変わらずの大量消費指向の「モノ作り産業」が、勢力を持ち続けて停滞したのである。

利益配分型の政治と中央集官僚組織は、この重要な変化に対応出来なかった。
同時に、旧時代産業の経営陣も、成熟した先進国の消費者が求める『高付加価値に対応する商品・サービスの開発』が、全く出来ずに終始している。
均一的な日常消費型の商品は、すでに「価格競争国際市場」に投入されていて、日本でのモノ作りでは、確実に競争から脱落するのだ。
日本で創ることに価値のある商品は、国際市場の価格には影響を受けない「特別の付加価値」を持ったモノだけである。

かっての家電業界は、日本人ならではの高付加価値を持った商品を次々に開発し、新市場を開拓していった。
円レートが有利な時代には、優越した競争力で輸出増大で企業は成長し、円レートが高くなってからは、海外生産に移して現地での競争力を強化した。
しかし、中国や台湾、韓国の企業が力をつけて、膨大な市場を背景にした大規模投資の競争では、経営判断を誤り、大量生産のモノ作りでは敗退したのだ。
その間に、消費者の期待する次世代商品の開発の努力が不足して、「特別の付加価値」を創造できていない。

今は利益配分ではなく、「多様性と特別の付加価値」を生みだす、価値創造の競争に時代になっている。
家電業界も中央集権の誤りを犯してしまったのだ。