
1年と4カ月を要して、どこまですすんだであろうか。
「温暖化対策基本法は衆議院を通過したものの、その後の政変でつまずき、未だにタナザラシのままになっている。
中身の具体策としては、「温暖化対策税」(【環境税】)導入を検討するとしていたが、これは、どうやら次期の国会で成立する雲行きになってきた。
初期の税率を極端に低くして、ハードルを下げすぎたキライはあるが、かろうじての合格点と出来る。
その次に「再生可能エネルギー電力全量買取り制度」は、来年に1月には閣議決定に持ち込み、次期国会で審議に入る予定である。
これはやっとスタート地点に立った状況である。

この制度は、いろいろな視点から見て、弊害は予想されるのであるが、国際的に「2020年に25%削減の実施を公約」した場合には、必須の制度になる筈であった。
だが、国際会議[COP15](2009年12月)、[COP16](2010年12月)と2年続けて、
アメリカと中国の消極姿勢によって、国際的な意欲ある削減目標の設定は反故同然になっている。
この潮流に乗じて、日本における削減目標が高すぎると産業界は一斉に反発して、「国内排出量取引制度」の中止を働きかけていた。
この制度の中身をよく理解していない民主党の議員連中は、腰が砕けてしまい、今までに議論を積み重ねて来た中身のメリット、デメリットの論点整理もしないままに棚上げしてしまった。

旧産業の体質改革をせまり、同時に「再生可能エネルギー産業」を育成する基本戦略を、じり貧状態に陥らせている。
「3本の矢」のうち、2本は細々として力がなく、もう一本は既に折れてしまった。
これでは、強大な化石燃料社会の上に築かれた旧産業の改革は、ほとんど至難の業である。
ただ、この3本目の矢に相当する「国内排出量取引制度」は、自由市場制度の信奉者が作りたがっている「スジの悪い制度」であり、マカリ間違えば「マネーゲーム」の悪弊に翻弄されたり、お役人の権限強化につながる「社会主義化」への硬直性が懸念される。

何が本当の問題点であるか、ジャーナリスト関係者も判っていないのだから、このまま進めても、効果がないばかりか、弊害の方がすぐに露呈してしまう。
その時では遅い。(以下、次回)
