庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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民主党の温暖化対策の2本の矢はホソボソ、3本目は問題だ!

2010-12-28 | 快適エネルギー社会問題
民主党は政権交代に当たっての総選挙において、雇用と経済の面で『地球温暖化対策を強力に推進し、新産業を育てます。』と高らかに謳っていた。
1年と4カ月を要して、どこまですすんだであろうか。
「温暖化対策基本法は衆議院を通過したものの、その後の政変でつまずき、未だにタナザラシのままになっている。

中身の具体策としては、「温暖化対策税」(【環境税】)導入を検討するとしていたが、これは、どうやら次期の国会で成立する雲行きになってきた。
初期の税率を極端に低くして、ハードルを下げすぎたキライはあるが、かろうじての合格点と出来る。
その次に「再生可能エネルギー電力全量買取り制度」は、来年に1月には閣議決定に持ち込み、次期国会で審議に入る予定である。
これはやっとスタート地点に立った状況である。

しかし、もうひとつの方策として『キャップ&トレード方式による実効ある国内排出量取引市場を創設する。』という公約は、完全に先送りの状態にしてしまった。
この制度は、いろいろな視点から見て、弊害は予想されるのであるが、国際的に「2020年に25%削減の実施を公約」した場合には、必須の制度になる筈であった。

だが、国際会議[COP15](2009年12月)、[COP16](2010年12月)と2年続けて、
アメリカと中国の消極姿勢によって、国際的な意欲ある削減目標の設定は反故同然になっている。
この潮流に乗じて、日本における削減目標が高すぎると産業界は一斉に反発して、「国内排出量取引制度」の中止を働きかけていた。
この制度の中身をよく理解していない民主党の議員連中は、腰が砕けてしまい、今までに議論を積み重ねて来た中身のメリット、デメリットの論点整理もしないままに棚上げしてしまった。

民主党は温暖化対策を大義名分として、雇用と経済に貢献する政策を公約していた。
旧産業の体質改革をせまり、同時に「再生可能エネルギー産業」を育成する基本戦略を、じり貧状態に陥らせている。
「3本の矢」のうち、2本は細々として力がなく、もう一本は既に折れてしまった。
これでは、強大な化石燃料社会の上に築かれた旧産業の改革は、ほとんど至難の業である。

ただ、この3本目の矢に相当する「国内排出量取引制度」は、自由市場制度の信奉者が作りたがっている「スジの悪い制度」であり、マカリ間違えば「マネーゲーム」の悪弊に翻弄されたり、お役人の権限強化につながる「社会主義化」への硬直性が懸念される。

民主党も表面的な潮流に流されずに、『新産業の育成に実効のある制度』として、もう一度、原点から『キャップ&トレード』システムを、勉強し直す期間を採るべきである。
何が本当の問題点であるか、ジャーナリスト関係者も判っていないのだから、このまま進めても、効果がないばかりか、弊害の方がすぐに露呈してしまう。
その時では遅い。(以下、次回)