庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

日本の中央政府は本来やるべき事をせずに安易なことに専念。

2010-12-09 | 交通問題・自動車
日本の将来の産業を担う新技術の開発が、このところ停滞し始めて、新興国の台頭、特に中国の追い上げと大胆な挑戦に脅かされている。
中国では、広大な国土をカバーできる新高速鉄道の建設がすごい勢いで進んで、今では世界最長の高速鉄道網が実現している。
その勢いを背景にして、北京で世界高速鉄道大会を開催し、各国の政府や鉄道事業の関係者を集め、将来の輸出産業として育成する姿勢を鮮明にしている。

日本は鉄道が下火になりかかった時期に、果敢に新幹線技術に挑戦して、当時としては世界最速の210km/hの営業運転を実現した。
この技術により、日本の東海ベルト地帯の産業活性化に多大に貢献し、さらに、今では北海道から九州鹿児島までを結ぶ大動脈が完成に近づいている。

同時に、万年赤字体質の国鉄改革を進め、各地域の根差した鉄道網のレベル向上を、分割民営化の各社が競って、技術とサービスを向上させてきた。

これは、分割民営化の成功面であるが、一方では高速鉄道の進化において、JR東海の様に、東海道新幹線の代替策、次世代路線の開発には、大きなリスクを抱える研究に勢いを削がれている。

本来は、次世代の高速交通手段を、国の総力を挙げて挑戦する課題であるが、一時期の流行的な技術である『リニアモーター鉄道』の技術開発にのめり込んでしまい、いたずらに研究開発費と時間を浪費している。

一方の中国では、20005年に高速鉄道の建設を始めてから、わずか5年間で7500kmを超えて、2020年までには、1万6千kmに達する計画である。
一部の路線では、営業運転速度を350 km/hを目指している。
さらに、日本の東北新幹線の技術を土台に、中国の技術者で開発した試験車両で486 km/hを実現し、将来には最高速度600 km/hを目指して研究を重ねている。

ところが日本では、車輪方式による鉄道では450 km/h程度が限度である、との技術者の理屈を鵜呑みにして、500 km/h以上を目指す東京―名古屋間の新路線を、リニアモーター式列車にすることに限定をしてしまった。
このリニアモーター方式は、大変にエネルギー効率が悪く、しかも、路線の建設費用は膨大にかさむ。
いまは、東京―名古屋間以外の計画は一切ない状態で、JR東海のみが、研究開発の責任を負わされて、体力に見合った資金を投じて感発を続行中である。

しかし、この状態では完成した時期には、とっくに中国の高速鉄道方式にあらゆる面で、負けてしまう新鉄道になり、将来の輸出産業になる技術革新には、何も結びつかない。

つまり、責任を持つべき国土交通省、または、文部科学省は、何もしない事で、みすみす、日本のお家芸である、高速鉄道産業を衰退させてしまう政策をとっているのである。(以下、次回)