庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

エネルギー政策の失敗が長期のデフレ経済を招いた主原因。

2010-12-26 | 核エネルギー・原子力問題
2000年からの日本のエネルギー戦略において、「再生可能エネルギー産業」を育成し普及促進する政策は、看板だけの「自然エネルギー促進特別措置法」を成立させただけで、他には有効な政策は一切なかった。
同じ時期に、再生可能エネルギーの普及促進に向けた欧州の先進国は、各種の政策を実施して、
2010年までには、普及率が急速に高まり、なかでもドイツは10%以上の普及によって、各種の産業が興り、新規雇用の創出が実現している。

特に、森林資源を活用しながら林業の再生に役立つ「バイオマス発電」の分野と、ハイテク技術の基盤を強化する「太陽光発電」における普及促進が、大きな効果をあげている。
日本ではバイオマス発電は完全に視野の外にあり、太陽光発電は2000年までは技術も事業規模も世界一であったのに、2002年にドイツに抜かれて以来、スペイン、中国にも抜かれたしまった。
どれも、日本の政策の欠落が、せっかくの機会を逃してしまったのである。

なぜ、この様な大きな失策をしてしまったかは、大きな原因が二つある。
第一には、日本の将来のエネルギー政策を原子力に大きく依存しようとした、経済産業省のこだわりがあった。
温室効果ガスの削減に向けて、原子力発電所を大幅に増設して、火力発電所の代替にしていく計画であった。

しかし、この構想は原子力発電業界の隠ぺい体質と、身内だけの都合で作り上げた安全神話が災いして、次々に事故や不祥事が発生して、国民からは完全に信頼を失ってしまった。
それが原因して、増設の計画はほとんどが頓挫している。

第二の原因には、温室効果ガスの削減に向けて、原子力発電が順調に進まないならば、省エネルギーを促進することに重点を移してしまったことである。
「省エネ」は確かに重要であるが、これは一時的には設備の更新時などに需要が生まれるが、その後はエネルギ―消費量の減少によって、「GDP」を引き下げる効果しか残らない。

「再生可能エネルギー」に転換する政策を強力に実施すれば(一時的な電力価格の微増があるにしても)、設備投資の活発化や技術革新への投資が生まれ、総合的に「GDP」を増加させる。

2000年初頭のデフレ経済からの脱却が言われていた時期に、本命の「再生可能エネルギー産業」育成にはお金を回さず、原子力発電依存の失敗により、省エネルギー政策一辺倒に陥った。
この三分野の失敗政策によって、日本のデフレ経済は長期化してしまい、人権費の下落を加速して格差社会を拡大させてしまった。

この時期の政権は、構造改革だ!民活だ!自由市場経済競争主義だ!と見当違いの政策を声高に叫び、効果を何も生まずにリーダーばかりが交代していた。
今の日本の低迷は、この10年の経産省の誤った産業政策と、無知な政治家の連帯責任である。
では、今の政権と経産省は、「次世代のグリーン産業」育成に本気になっているのだろうか?