庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

地域社会の空港の民営化を国鉄の分割民営化の実績に学べ。

2010-12-04 | 交通問題・自動車
地域社会の活性化が日本の再生には不可欠であることは、誰にも異論はない。
問題はその進め方において、相変わらずの中央集権思想がはびこっていることである。
地域の国土における治山治水は、権限と責任を地域に任せて、できれば道州レベルでの自主的な長期計画を基本として進める制度を提示した。

また、地域経済と暮らしの基本となる交通体系の長期計画も、地域自治体の協議を通じて、効率的な交通網を優先度を決めて、着実な実施を積み重ねていくべきである。
鉄道と自動車道路、生活道路(自転車、歩行者)のレベルの向上を、地域の主導で活発にしていくことで、地域社会を創りだす公益活動の充実も期待できる。
ところが、相変わらずの中央集権至上主義に凝り固まった中央官僚とそれに担がれている政治家は、なんでも問題があると、霞が関と永田町の場で権限を振り回したくなるようだ。

国が管理している空港について、大半が赤字である問題を、またまた、国土交通省が取り仕切って「民営化のあり方を議論する検討委員会」を発足させて、初会合を開いたと12月4日に報道された。
全国の各県にひとつの空港を造るという、おかしな空港政策の結果、2007年の「連結収支」で黒字の空港は、わずか7空港のとどまり、大半は赤字で国の税金を投入している。

この赤字の原因には、空港に敷設するターミナルビルや駐車場の経営を、国土交通省の天下り団体に委託して、そちらの営業を有利にして黒字分をあまくだり役員が高給をとっていた、などの不条理な経営実態が明らかにされた。
これを関連事業なども一体にしての運営で採算を改善する狙いで始めた「空港政策」転換ではあるが、その程度の改革では、赤字空港はかなり残ってしまう。

すべての空港とは言わないが、ほとんどの空港の運営と改善の権限を、地域自治体、それも県では規模を小さいので、道州単位での再建計画を立てる体制に転換すべきであろう。
羽田と成田などの国の政策としての一貫性が必要なハブ空港は国土交通省の責任として、それにエネルギーを集中させるべきである。
地方空港は地域社会の長期的な交通網計画(鉄道と道路)と連携する様に、空港の利用価値を州単位の総合的な観点に立って、改革案を決定して税源を投入し、レベルを大幅に向上させる。

鉄道網を国鉄に統一した戦前から戦後にかけての時期に、運営も技術も硬直化して、大幅な赤字の累積を重ねた国鉄を、民営化によって改革した歴史を見直して、参考にすべきである。
この国鉄問題において、分割民営化の路線を決断して、政治が主導したことは記憶しているであろう。
要するに官僚が中央で統制する計画を立てて、権限を行使する時代はトウの昔に終わっている。
空港関連の整備とレベルアップ、旅客に対するサービス向上は、官庁の役割にはそぐわない事は、もはや明確である。
「民営化のあり方を議論する検討委員会」は政治主導で地域主権の公約に沿って、分割(道州単位)して、州レベルの総智を結集し、改革の中身と進め方を競うことが地域の活性化になる。