
自分の判断によって、投資した資金の回収は、失敗すれば責任を問われる。
だから、必ず成功する案件にしか、投資OKの指示をしない傾向が強い。
温室効果ガスの削減における対策も、地球環境の為などと口では言いながらも、実質はエネルギー経費の削減になるかどうかで判断する。
其れが、3年で回収できるならば、GOの指示を出す。
しかし、初期の投資が大きくて、【投資回収年数】が10年かかると想定される案件については、ほとんどの経営者は、NGの判断をする。

しかし、実際の設備の使用年数を調査して想定すると、12年~15年は使用する。
つまり、10年で投資回収できる設備を導入すれば、11年目以降は利益が増える計算になる。
だが、この使用年数、投資回収年数を長く想定することには、保守的な経営者は頑強に抵抗して、否定の態度をとり、導入すれば儲けが出る設備に投資することを拒否する。
これは、いったい、どういう理由であるのか、推測してみよう。
日本の経営者はアメリカほどの短期業績を問われないが、それでも、5年程度の間に業績にプラスの兆候が出なければ、実績の出せない経営者とされてしまう。
だから、3年以内で投資回収出来て、その後は利益が出る設備には導入に積極的になる。
それほど、短期間で投資回収しなくても良い設備でも、9年以内が限度である。
だから、経済産業省の想定した、3年~9年を妥当と考えているのである。

つまり、ハイブリッド車を導入することは、利益が増えることになる。
それなのに、5年以下の使用年数しか想定しないならば、ハイブリッド車は導入しないと言う判断が正解になってしまう。
この様な事態が、産業界の保守的な経営者の間では、温室効果ガスの削減に有効な設備の導入判断において、常時行われているので、日本の削減が目標どうりに進まない。

前にも書いた様に、日本の経営者は、リスクを少なくすることに終始、頭を使っているので、政府が投資回収のリスク負担をしてあげなければならない。
落第気味の経営者でも、合格させるために「下駄を履かせる」必要がある。
この【下駄に相当する補助金】の財源をどうするかが、今後の宿題である。(以下、次回)
